芥川龍之介 / 羅生門・鼻・芋粥・偸盗
- 作者: 芥川竜之介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/01/22
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
1.作品を選んだ理由
昔買って読んでなかったやつを実家から持ってきたシリーズです。
2.内容
1915年~1917年にかけて発表された短編のコンピレーション(芥川は基本短編しかないみたいだけど)。王朝物と言われる、平安時代を題材として書かれたものの、比較的初期にあたる作品群。
- 羅生門
国語の教科書でおなじみ。 - 鼻
15cmくらいの大きな鼻を持つ坊さん禅智内供が、人々に笑われるその鼻を疎ましく思って取り去るものの、やっぱり笑われるので、鼻を元に戻そうという話。 - 芋粥
芋粥を飽きるほど食べたいという芋粥好きの五位が、実際に芋粥をいくらでも食べられるという敦賀まで旅をしてみたものの、いざ大量の芋粥が出てきてそれが実現してしまったら、食べたくもなくなってしまったという話。 - 偸盗
盗人集団。放蕩美女 沙金と、それに恋慕する太郎・次郎、沙金の義理の親となる爺と婆など、人目に隠れて生きている。太郎・次郎はお互いに恋敵なので、いざとなれば相手を殺してしまおうなどと考えている。
さて、役人 籐判官の屋敷に盗みに入る計画が進む中、沙金は判官にその計画をバラしてしまい、さらには沙金は次郎に太郎以下の全員を死に追いやってしまおうと提案する。次郎はその提案を呑み、屋敷の混乱の中それは果たされそうになるのだが、自身も多勢の犬に襲われ死に瀕する。一方太郎は屋敷から逃げようとする中そんな次郎の姿を見つけ、逡巡の後「弟」を助けなければという気持ちに突き動かされるまま次郎を救助。最終的には兄弟で仲良く暮らすという、兄弟ENDを迎える。
特に羅生門と偸盗に顕著だが、非常に生死に関する描写が生々しく、平安の下層階級はこのような生活をしていたのか…などと錯覚する一方、心理描写は現代人でも非常にシンパシーを感じるものとなっている。描写力が素晴らしいです。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
芥川の文体はカッコいいね。作者は駄作扱いしているというが、「偸盗」面白いじゃないか…。各キャラクターの関係性なんかは現代的という気もするし、兄弟ENDにもびっくり。
4.どのような人に推奨するか
学校で習った「羅生門」で芥川の知識が止まっている人、あるいは、そういえば羅生門面白かったなー、となんとなく思っている人。読んでみてはいかがか。
Yvonxhe / Multicolored Libricide EP
- アーティスト: Yvonxhe
- 出版社/メーカー: Code 7 - Zero Dimensional Reco
- 発売日: 2014/05/05
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
日本のブラックメタル Yvonxhe / Multicolored Libricide EP をレビュー。バンド名読めないけど、「いぼんくしぇ」とでも読めばいいらしい。
1.作品を選んだ理由
2016年大阪のブラックメタルライブイベント Black Sacrificeで初めて知った。その場で物販で購入したと思う。
2.内容
2014年EP、Zero Dimensional Recordsからのリリース。へー、Amazonでも取り扱いあるんですか。 ガッツリと太く歪んだギターがトレモロやアルペジオを駆使したどこか物悲しいフレーズを紡ぎだす、メロディ要素が強めのプリミティブ且つオールドスクールスタイルのブラックメタル。この後紹介する1stアルバムよりメロディアス要素が減退していて、勢いのあるパワーリフで押しまくる#4なんかは前作では聞けなかった要素だと思う。リフやリズムにはバリエーションがあり、曲の差別化はできていてキャッチーですらある。ヴォーカルはいかにもブラックメタル的なざらついた吐き捨てヴォイス。録音も演奏もよく、プリミティブといってもポンコツ感は皆無。 特徴としては、曲がとても短い。どの曲も1分少々で終わり、EPは5曲8分。あっという間に聞き終わってしまう。別に短さにこだわりがあるわけではなく、無理に繰り返しなどを設けずあるがままに作曲をした結果こうなっている、ということらしい。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
内容はすごくいいけど、8分は短いよね。
4.どのような人に推奨するか
ハードコアっぽい力強さを持ったプリミティブブラック好き向け?比較対象となるバンドが思いつきにくい。私はハードコア聞かないしな…
Blasphmachine / Salvation
- アーティスト: Blasphmachine
- 出版社/メーカー: Dunkelheit Productio
- 発売日: 2015/11/13
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
マレーシアのデス/ブラックメタル Blasphmachine / Salvationをレビュー。
1.作品を選んだ理由
バンド名が「ぶらすふぇましーん」だしこれはイケるやろ草、と思って購入。前知識はなかったものの、果たしてその通りであった。出身のコタバルって、マレーシアの中でもシンガポール寄りじゃなくてタイ国境側に近いのね。
2.内容
2015年リリースのEP。Dunkelheit Productionからなので、手に入りやすいのだろうか。結成が2012年らしく、現時点でフルアルバムが1枚もなく、SplitかEPのみ。
ファットなギターサウンドで色気のない低音リフをズムズムと弾き出し、重いドラムが前のめりなブラストビートをたたき出す。これに低めの音で呪詛のように吼えるボーカルが加わるという、1st Wave Black Metalゆかりの真っ黒デスメタルでございます。この手のバンドにしては妙に音質が良く、生々しい勢いを保ち音圧があるサウンドを披露している。音楽的な比較対象としては、Archgoatや#8でカバーもしているBlack Witchery、同じアジアだとなんだろう…Heresiarchとか。とにかくそんな感じ。
EPといいつつカバー曲含め8曲27分あるので、個人的にはアルバムとして聞いている。この界隈だとフルアルバムでも30分未満とかあるし。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
何気にリピート率が高い。音質も含めバランスが良い出来。
4.どのような人に推奨するか
比較対象に挙げたようなバンドが好きな人にはいいのでは。ただ、他の作品があまりに少数リリースすぎて全く手に入る気がしない(or CDでのリリースすらない)ので、追っかけるのは困難。
横山純一 / 輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来
輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来 (ブルーバックス)
- 作者: 横山順一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/10/21
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る
横山純一 / 輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来 のレビューです。
1.作品を選んだ理由
物理化学に関する本を読みたいなと思っていたところ、講談社ブルーバックスというレーベル知った。端的には科学をテーマとした作品が多いということだが、専門書ではなく、門外漢にわかるように解説した書であることが特色。その中でも発行年度が近々で面白そうなものを選択してみた。
2.内容
2015年作品。タイトルと序章ダライ・ラマ14世の話からオカルト系かと思わせるが、本編は極めて真っ当な物理学・宇宙学。宇宙の組成と量子論、宇宙の加速膨張~宇宙の始まりと終わり~タイトルにつながる宇宙の再生と、流れを追って、且つそれぞれの理論が理由とともにわかりやすく解説される。
そもそも量子論って何?といった内容も説明が入り、またそういった研究が為された過程・歴史にも触れてくれており、研究に関連するノーベル賞受賞も取り上げられてることから、知識を身に着ける上ではとても嬉しい(原子模型:トムソンのブドウパン型模型⇒長岡半太郎の土星型モデル、とか)。なお、数式はあまり出てこないので、中学理科程度の理解があれば読める内容となっている。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
いい本だった。正直内容は半分も理解できていないと思うけど、何度か読んで理解してみたい。・・・ごく部分的だが政治批判みたいなパートがあって、それは要らなかったな(もったいない)。
4.どのような人に推奨するか
宇宙論に興味があり、中学生レベルの理科が判る人であればどうにか読めると思うので、おススメ。
Sex Messiah / Eastern Cult Of Sodomy
日本(神戸)のブラックメタルバンド Sex MessiahよりEastern Cult Of Sodomyをレビュー。Amazonリンクはない。
1.作品を選んだ理由
最初に知ったのは、2014年のBlack Sacrificeで、Mortifera来日時のサポートアクトとして。まぁライブは行けなかったんだけど。コンピは買ってて、この度1stアルバムが出たとのことで購入。
2.内容
2018年1st、Nuclear War Now!からのリリース。スゴイやん。以前はスプリットやコンピしかなかったので、これが初めての単独アルバム作品となる。
音楽性は、所謂1st Wave Blackmetalで、Venom~Sarcofago~Blasphemy等に連なる「汚いブラック/スラッシュメタル」。日本ではブラック・デスでもメロいバンドが多い(と勝手に思っている)中、ひたすらカルトでメロさやキャッチーさの欠片もない音を出している。それがイイんだな。
アルバムとは言え、内容は7曲27分とコンパクト(ジャケットからは8曲に見えるが、トラックとしては#3-#4がまとまっている)。曲の長さも一様ではなく、1分台の曲から7分間じわじわと進むミドルテンポ曲もある。速いパートよりミドルテンポの曲が目立つ。速いパートは所謂スラッシュ的なザクザクとした刻みではなく、ささくれたギターサウンドでトレモロリフを紡ぎだす感じはブラックメタルのそれ。ミドル~スローの曲は、Celtic Frostとか後期Dark Throneのような印象で、低音パワーコードのリフを繰り返しながら展開する。電子音(シンセサイザー)によるノイズ音楽的なパートも装飾的に使われている。
とってもRAWでノイジー且つエコー感ある音質はアンダーグラウンドブラックメタル的だが、実際各音のバランスは良好で悪い音ではない。演奏もしっかりタイト。ただ、その曲とサウンド、そして死を連想させるイラストがコラージュされたジャケット等、カルト度は非常に高い。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
リピートして聞いていこうと思います。この真っ黒な音楽をやっているバンドの中心人物が女子ってのがなんとなく嬉しい推しポイントの1つである。日本のバンドだし応援していきたい。
4.どのような人に推奨するか
比較対象にも挙げた1st Waveの汚いブラック・スラッシュが好きな人に推奨。Amazonにはないので、専門店で買うべし。Disk Unionにもあります(自分はDisk Unionで買った)。
Wintersun / (self-titled)
- アーティスト: Wintersun
- 出版社/メーカー: Nuclear Blast Americ
- 発売日: 2004/10/05
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る
フィンランドのメロディックデスメタルWintersunのセルフタイトルアルバムをレビューです。
1.作品を選んだ理由
昔からご高名は兼ねがね聞いていたが、そもそもメロデスあまり聞かないし機会がなかった。新宿ディスクユニオンで見かけてなんとなく購入。
2.内容
2004年リリースの1stで、EnsiferumにいたJari Maaenpaaが、サポートのKai Hafto[dr]のみを迎え、それ以外はすべて自身の手で作り上げた実質ソロアルバム。Nuclear Blastより。なお、Ensiferumは聞いたことないです。
端的に言って、良質なメロディーに溢れたメロディックデス・フォークメタル。疾走曲は同郷で言えばKalmahやChildren of Bodomの1stっぽい雰囲気で、細かく刻みトレモロするギターに、キラキラしたストリングス、クラシカルなギターソロやブラストビートはまさしくそんな感じ。一方ミドルテンポの曲ではもっと郷愁感のあるフレーズが展開され、個人的にはBorknagarを想起する。シンセサイザーのキラキラ感は、部分的にArcturusの1stのようでもある。デスヴォイス、朗々と歌うクリーンヴォイス、やや歪んだハイトーンなどと様々な顔を見せるボーカルも、それら2バンドの雰囲気に近いものを感じる。
サウンドは低音に寄りすぎず固くなりすぎずの生っぽさを残したもので、ギターフレーズと各種メロディがよく聞き取れる好バランス。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
総じて曲が良い。これは名盤と言われるのもわかる。なお、比較対象に挙げたArcturusの1stも私は大好きです。
4.どのような人に推奨するか
フォーキーなメロディックデス、キラキラシンセサイザーが好きな人は是非聞きましょう。全部疾走曲じゃないとダメな人には推奨しないですが。
井出洋一郎 / 聖書の名画はなぜこんなに面白いのか
- 作者: 井出洋一郎
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2010/02/26
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
井出洋一郎 / 聖書の名画はなぜこんなに面白いのか のレビューです。
1.作品を選んだ理由
西洋絵画見るのに聖書の知識あったほうが面白いようなので、ブックオフで適当に探して目についたこちらを。
2.内容
2010年作品。聖書のストーリーに沿って旧約~新約の順に紹介。外典等も含めており、3章では聖人が取り扱われる。まさに聖書の流れとエピソードを共に紹介してくれるところが長所。絵画と説明は体感3:7くらいで、絵画が表すエピソードとアイコン・属性をしっかり説明してくれる。マリアが羽織る白と青の衣、白百合、月など。
同題材の他著名作品は作者・作品名の紹介だけに留まっていて、(調べてみてねというころなのだろうけれど)、絵が載っていないのは残念。1単元ごとに挿入される対話形式(生徒と先生のQAを模した形式)の解説は、おおむね面白く気になる点を聞いてくれているものの、偶にパッとしないやりとりがある気がする。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
対談形式がパートが好きでないという個人の嗜好による減点で、内容は良い。折に触れ見返すと思う。
4.どのような人に推奨するか
キリスト教と西洋絵画に詳しくない私のような入門者向けかと。
Anticristo / Diablo salmos
チリのブラックメタル AnticristoよりDiablo salmosをレビュー。
Amazonがなかったので画像だけ。
1.作品を選んだ理由
御茶ノ水ユニオンかどこかで見かけてレーベル買い。Deathrash Armageddonなので。
2.内容
2015年2nd、Deathrash Armageddonからのリリースなので多分そこそこ流通している。1stはCD-R、3rdはカセットとのことで、見たこともないです。
内容的には、荒々しいトレモロリフとブラストで疾走するブラックメタルだが、所謂北欧系との相違点が何点か。
まず、トレモロリフといいつつ北欧的なメロディアスさになっておらず、どこか暑苦しい感じがする。ギターのふぉーーんとしたフィードバック音から開始するパターンが多いのも、荒々しさだったりライブ感を助長する。疾走ばかりでなく、テンポを落としゆったりとしたフレーズを紡ぐなどアレンジに工夫が見られる。ボーカルはリバーブの効いた、ガナリ・吠える感じのデスヴォイス。
音質もドカドカと乱雑ではあるが、各音がバランスよく聞こえつつも渾然一体となっており、アンダーグラウンドとしてはよい方。ベースもよく入っていて、高音シャリシャリ系ではなく、結構重めのサウンドとなっている。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
真っ黒な音楽をやってくれているものの、何かパッとせずあまり聞かない。
4.どのような人に推奨するか
The Crown / Doomsday King
- アーティスト: Crown
- 出版社/メーカー: EMI
- 発売日: 2010/09/27
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
スウェーデンのメロディックデス/スラッシュメタル The Crown / Doomsday Kingをレビュー。
1.作品を選んだ理由
気づいたら再結成してたけど、メンバーチェンジがあったとのことでしばらく買ってなかった。ほとぼりが冷めた頃になんとなく入手。
2.内容
2010年リリースの再結成後7th。楽器陣は同メンバーだが、Johan Lindstrand
所謂デスラッシュをやっていることには変わらないが、解散前6thからまた少し変わって、音と曲は4th~5th頃に戻った感じかな?ギターの黒っぽい歪みは往年のスウェディッシュデスみたいな感触があって、とってもオールドスクール。ストレートに刻むタイプの真っ当なデスラッシュ曲が多く、ロックンロール風味は減退。ボーカルの違いによるのかもしれないが、ブチ切れたような圧倒的なハイテンション感もやや薄めか。
The Crownに期待されている音楽を体現してくれているし高品質とは思うけど、なんというか個性が薄まってやや「普通になった」感は否めない。リフの感じがCarnal Forgeっぽいような気がしてきたが、それでもカッチリしすぎない粗野な感触は、ドラムスの演奏によるところが大きいのかもしれない。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
いろいろ書いたけど、変に比較しなければ良作やで。
4.どのような人に推奨するか
The Crownの入門に買っても損しない出来。The Crownの作品群としてみる場合、上記の理由から本作の優先度は低くなると思います。そして、この後の作品は聞いてないんだよなぁ~。
望月 麻美子, 三浦たまみ / いつでも名画に会える 日本10大美術館
いつでも名画に会える 日本10大美術館 (ビジュアルだいわ文庫 023J)
- 作者: 望月麻美子,三浦たまみ
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2017/11/11
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
望月 麻美子, 三浦たまみ / いつでも名画に会える 日本10大美術館 のレビューです。
1.作品を選んだ理由
書店で見かけて。「名画は嘘をつく」シリーズ同様、ビジュアルだいわ文庫からだったこともきっかけです。
2.内容
2017年作品。ビジュアルだいわ文庫自体が新しめのレーベルのようです。絵画そのものを切り口とするのではなく、それが所蔵される日本の美術館を切り口といした紹介本。
一般の話題は企画展になりがちだが、この本では常設展として美術館自身が所蔵する作品と、それが収集された経緯、ひいては美術館設立の経緯が扱われる。結局我々は美術館単位で絵画を見に行くのが基本なのでその情報が得られるのは嬉しいし、美術館自体も建造物という一つの美術品と言えるので、その観点から説明があるのも嬉しい。
10大と銘打っているものの、実際にはコラム的にその他33館の美術館が紹介されるため、ガイドブックとしてとても有用。絵画1枚1枚に対する解説も、必要十分・最低限の内容を抑えていると思われ、この点も入門書としてよくできていると思う。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
先日ギュスターヴモロー企画展を見た汐留パナソニック美術館や、ドービニー企画展を見た損保ジャパン日本興亜美術館も載っていた。何度か足を運んだことがある国立西洋美術館にも再度行こうと思えたし、岡山県や山梨県の美術館に行ってみたくなった。
4.どのような人に推奨するか
どこの美術館に行こうかな?と迷っている人にもいい指針になるし、建築物としての美術館に興味がある人にもいいと思います。今ちょうどコルビュジエ展を西洋美術館でやっているしね。
The Crown / Possessed 13
- アーティスト: Crown
- 出版社/メーカー: Metal Blade
- 発売日: 2003/10/21
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
スウェーデンのメロディックデス/スラッシュメタル The Crown / Possessed 13 をレビュー。
1.作品を選んだ理由
The Crown作品集め。解散前の最終作ですね。
2.内容
2003年リリースの6th。手持ちのはボーナスCD付属のデジパック仕様。5thで脱退していたJohan Lindstrand[Vo]が復帰し、4thと同じ編成で作成された。
前作がデスメタル色が強まっていたのに対し、今回はガッツリとしたスラッシュに戻ってきている印象。4thのような機械っぽさ・整合性の代わり、ロックンロール的な荒々しさとドライブ感・ヘヴィさが大幅にアップしている。どこかのレビューではDeath'N Rollなどと表現されていた(響きがカッコよくないからあまり好きな言葉ではないけど)。
チューニングも5th譲りで、多分一音下げのD。1つ1つの音が太く、特によく歪んだデカい音でベロンベロンと目立つベースが相当に強力。楽曲もメロディ要素はほぼ排され、ザクザクとした低音リフで押しまくる疾走曲が多い。ミドルテンポなデスメタル曲は#8, #11で、あとは大体スラッシュビートで突っ走っている。問答無用でテンションが上がる。
ボーナストラックは1994年以前のデモ集。本編とは異なる、メロディ要素の強いデスメタルが収録されている。#12-#13は4thのアウトテイクかな?Bathoryカバーの#12が刻み速すぎで最初ビビった。ブラックメタル感は殆どなく、The Crown流のスラッシュサウンドに変貌している。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
4thと並ぶ名盤。4thと6thがツートップかな。
4.どのような人に推奨するか
4thと併せて、「デスラッシュを聞くならこれは抑えておきたい」系の作品。ボーナスはあくまでファン向けボーナスで必聴とまでは言えないものなので、単独盤を買っても全然問題ないと思う。
デカルト / 方法序説
- 作者: デカルト,Ren´e Descartes,谷川多佳子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/07/16
- メディア: 文庫
- 購入: 31人 クリック: 344回
- この商品を含むブログ (203件) を見る
1.作品を選んだ理由
学生時代に買ってそのまま読んでなかった…実家から取ってきて読んでみた。
2.内容
1637年、デカルト41歳の処女作品。本来は科学論文の序文として書かれたものであり、それゆえ序説とある。デカルト自身が「序説が長すぎて読み通せない人のため」にこれを6章に分けて解説している(優しい)が、ここではその6章の解説はせず、読んでいて個人的に面白かったポイントを述べる。
- デカルトは静かに暮らしたい。この時41歳だが、余生は研究・思索に時間を費やしたいし、それ以外の事には煩わされたくなかった。本を書いて無用な批判や意見も欲しくなかった。
- デカルトは「我思う故に我あり」の言葉で知られがちで、実際この序文にもそのフレーズは登場する。彼の思想のベースを成す言葉ではあるが、そこに至るまでのプロセスや、この思想を研究にどのように適用するかが書かれており、そこが面白い。デカルトは自然科学・数学の研究者でもあり、以前紹介した数学物語でも登場する。中学生で習う座標(二次平面)はデカルト座標とも呼ばれる。
- 当時は宗教改革の時代。第6章ではガリレイがカトリックの異端審問で彼の説を否認された事件に触れ、そのコメントに慎重に言葉を選んでいる様子が見て取れる。デカルト自身も刊行を取りやめた本がある。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
デカルト自身の研究に対する考えや思想が素直に書かれていて面白い。内容自体をちゃんと理解できたとは思っていないが、訳注・時代背景も込みでなるほどと思える内容。
4.どのような人に推奨するか
学校で習ったあの人の著作を読んでみよう、的なスタンスで読んでみるくらいでいいと思います。本編100ページもないので、短い時間で読める。
The Crown / Crowned In Terror
- アーティスト: CROWN
- 出版社/メーカー: METAL
- 発売日: 2002/04/08
- メディア: CD
- この商品を含むブログ (2件) を見る
スウェーデンのメロディックデス/スラッシュメタル The Crown / Crowned In Terror をレビュー。
1.作品を選んだ理由
先に7th(再録版)を買っていて、しばらく買う気しなかったのだが…7th購入から5年後くらいにふと思って購入(Amazon履歴より判明)
2.内容
2002年リリースの5thだが、前作まででボーカルを担当していたJohan Lindstrand[Vo]が脱退し、At The Gatesなどで知られるTomas Lindberg[Vo]が加入して制作された。
楽曲自体は7thでの紹介の通り、デスメタル感のやや強まった爆走デスラッシュであり4thの延長である。7thと聞き比べると、前のめりなドライブ感よりもカッチリとした整合性・タイトさが強調されている。高音で喚くタイプのTomasのボーカルスタイルの違いも相まって、よりデスメタル度が高く感じられる。
曲のアレンジ自体はほぼ一緒(7thではクリーンボイスがあった#5が、こちらはデスボイス一辺倒などの違いはある)であるものの、音質と演奏によって結構印象が異なるアルバムになっている。好きなら聞き比べる価値はあると思う。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
別に出来は全然悪くないのに、割とすぐに出戻りのJohanと再録しちゃうのは、ちょっとTomasにかわいそうな気がする。Johanへの思い入れ補正を抜けば、こっちの方がイイまである。
4.どのような人に推奨するか
7thが出ている今、バンドの作品としては基本的には7thを買えばいい話ではあるので、こちらを敢えて購入するかというと微妙なところ。4th、6th-7thの解散前の名作を聞いて、さらに彼らのカタログを聞いてみたい!となった人、あるいはTomas LindbergとThe Crownのコラボレーションに興味がある人はどうぞ。
多摩六都科学館 / 世界でいちばん素敵な夜空の教室
- 作者: 多摩六都科学館
- 出版社/メーカー: 三才ブックス
- 発売日: 2015/12/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
多摩六都科学館 / 世界でいちばん素敵な夜空の教室 のレビューです。
1.作品を選んだ理由
本屋で自然科学コーナー見ていた時に、これの「元素」が平積みされていて、その装丁の美しさに目を惹かれたことがきっかけ。
2.内容
2015年作。テーマは星・星座で、表紙から想像がつく通り、情報量の多い学術書ではなく、美麗な写真を中心とした写真集、兼解説書といったところ。
説明内容も、「星とは何か」といった基本的な定義から、季節別の星座や代表的な用語の説明が入る。書籍としてみた場合あっさりと読めてしまうが、写真も込みで折を見て手に取りたくなる本だと思う。写真のロケーション(主としては日本の山々)が載っているのもいいですね。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
このシリーズちょっと集めたくなるね。元素と宇宙は欲しいな。
4.どのような人に推奨するか
写真集的な本のつくりで、堅苦しくも小難しくもないので、小学生高学年~中学生くらいから読めるいい本だと思います。きれいな写真でヴィジュアル的。
熊倉 功夫, 江原 絢子 / 和食とは何か
- 作者: 熊倉功夫,江原絢子
- 出版社/メーカー: 思文閣出版
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
熊倉 功夫, 江原 絢子 / 和食とは何か のレビューです。
1.作品を選んだ理由
妻が図書館から借りてきたシリーズです。
2.内容
2015年作。2013年、日本の「和食」がUNESCOの無形文化遺産に登録された。この申請に必要な提案文書に書かれるべき内容やその検討過程をテーマとして、登録する無形文化の内容、担い手、特徴、区分などを説明しながら、ややもするとあいまいな「和食」の定義を提示してくれる。
UNESCO上の登録内容は「正月を例として」となっており、お屠蘇・お雑煮・お節料理をベースと日本人がどのようなシーン・位置づけで食すか、どのような意味づけと歴史があり保護すべき対象であるか、ということを説明する。本書はこれだけにとどまらず、洋食の影響を踏まえた和食の変遷、食器、食材、調理方法等なども概略的に扱う。ページ数も100ページ弱と薄めであり、「和食とは」の文化的な定義を説明してくれる手に取りやすい本であることは間違いない。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
UNESCOへの登録内容と、その内容が正月料理を基本としていることを知れた。やや斜め読みしたけど、いい本だと思う。
4.どのような人に推奨するか
「和食」とは何か、どういった経緯でUNESCO登録されたか知りたい人に。