めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。

Rush / 2112

2112

2112

カナダのロックバンド Rushの2112をレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Rush全作シリーズ。表題曲はかなり聴いた。

2.内容

 1976年リリースの4th。Mercuryからのデジタルリマスター盤。「もっと売れる曲を書けや。売れなかったらこれで終わりやぞ。」と脅されたRushが、なぜか大作主義をさらに推し進めた結果出来てしまった20分の表題曲を含む彼らの出世作

 #1 "2112" は素晴らしい出来でめっちゃ聞いた。舞台は人類が宇宙で暮らすようになって久しい西暦2112年、主人公はRed Star Federationという連合国家の一惑星(多分これが地球)に住んでいて、そこでは「寺院」が絶対的な権力を持って領民を統治している。主人公たちは管理された社会に何も疑問を抱かず、ある意味平和に暮らしているのだが…というところから始まる7Partから成る組曲。うーん、これは全部解説してしまおう。

 Part1 "Overture"はインスト。ここから続くPart7までの組曲の各パートを構成するモチーフやリフを詰め込んだ、まさしく序曲の役割を果たす曲。ドライブ感のあるギターと、多くのキメで非常に盛り上がる。曲終盤の不思議なギターメロディはチャイコフスキーの"序曲1812年"から採られているらしい。インストと言ったが、ラストを飾る一説"and the Meek shall inherit the Earth(そして敬虔なものたちが地球を継承するだろう)"はPart1に含まれる。
 Part2 "Temples of Syrinx"は、寺院視点の曲で彼らによる「素晴らしく平等な」管理社会が語られる、ハイトーンシャウトとヘヴィなリフで構成されたハードロック曲。先にいっておくと、基本的に刺々しいハイトーンで歌うパートは寺院視点で、そうでない柔和なトーンのパートの場合は主人公視点である。
 Part3 "Discovery"はタイトルの通り、主人公が洞窟で「触れると音を出す不思議な未知の道具」を発見し、この道具が奏でる音色に魅了された主人公がみんなに自慢しよう!と思いいたるまでの話。まあ、この道具というのはギターです。ギターをチューニングし、弾き始め、弾き語りをするといったところを表現したアコースティックな楽曲。主人公ギター覚えるの早くない???ギターの音を初めて聞く主人公が語る音の表現が美しくてすごく好き。”notes that fall gently like rain..."。
 Part4 "Presentation"。続いて、主人公は寺院にてこのギターのすばらしさを力説するも、しかし神父たちはにべもなくこれを否定し「こんな余計なおもちゃのせいで昔の人類は滅んだ。馬鹿な考えは捨てろ。」と一蹴される。ここでは主人公視点と寺院視点が交互に登場し、その歌い分けは実に見事。2回目のコーラスが終わった後に、急なテンポチェンジにOvertureのリフと性急なギターソロと焦燥感を煽るパートが登場するのだが、寺院が「この痴れ者を追い出せ!」と兵士をけしかけ、主人公が抵抗するような雰囲気が感じられる。
 Part5 "The Oracle:Dream"。神託ですね。失意のうちに自宅に帰った主人公は、その夜夢を見る。ずっと以前に滅んだという昔の人類は、まだどこかで生きていて、地球を取り戻そうとしている。シンバルのチョークとキメ全開のリズミック且つメロディックなこのパート、私は大好きなんだが、なぜかライブ盤ではこのパートが飛ばされる…。"I stand a top of spiral stair, the oracle confronts me there"のところ、神託的な厳かさと前向きな希望と力強さが同居していてとても良い。
 Part6 "Soliloquy"ではちょっと時間が飛んだのか、おそらく反乱に失敗したと思われる主人公が、気づいてしまった管理社会の歪みを打ち倒せないまま、ベッドで静かに息を引き取ると思しき場面が描かれる。マイナーで悲しいメロディーを歌い上げるパート。自分としては主人公はここで死亡したと思っているのだが、どうなんでしょうか。"My life blood spills over..."だもの。
 そしてPart7 "Grand Finale"、これもインスト。Overtureにはなかったスピード感のあるリフとドラムフィルの嵐で大盛り上がりの中、楽曲はエンディングを迎える。最後の警告…"Attention All Planets of Solar Federation..We have assumed control"というのは、地球及び太陽系を取り返した旧人類のメッセ―ジなのだろうか。旧人類が連合国家支配下に置いたという警告であり、つまり、主人公の夢は果たされたということなのだろうか?

 …などとそこそこ語れるくらいには好きである。それぞれに繋がりが明確にありつつも、個々のリフやメロディは単体で見ても優れており非常にキャッチーさがある。素晴らしい完成度だと思うんだよなぁ。
 一方のB面は小粒な佳曲が揃っているが、特に”A Passage to bangkok"が好き。コロンビア・ジャマイカ・モロッコアフガニスタンカトマンズと様々な地名が出てくる歌詞と、怪しいオリエンタルなリフ・メロディーが特徴的。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 正直B面曲にはそんなに思い入れないんだけど、A面の2112だけでこの価値がある。

4.どのような人に推奨するか

 Rushを聞くなら、これは鉄板だし間違いない。1枚目に買ってもいいでしょう。歌詞も併せて楽しんでほしい。ドラマチック・プログレッシブなハードロック好きへ(ただし、複雑な展開や変拍子が多いわけではない。そういうのは次回作から)。

Rush / Caress of Steel

Caress of Steel

Caress of Steel

カナダのロックバンド RushのCaress of Steelをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Rush全作シリーズ。Progressiveタグをつけるならここからだと思うんだよね。

2.内容

 1975年リリースの3rd。Mercuryからのデジタルリマスター盤。前作Fly By Nightから半年ほどでのリリースってすごくない?このリリースペースが70年代っぽい。

 一気に大作主義に寄ったイメージのある3rd。5曲中2曲で、13分・20分といった長尺曲をやっている。#1 ”Bastille Day”は勢いのあるハードロックだが、コーラスのメロディとベースラインが妙にメロディアスでちょっと哀愁もある感じ。何度聞いても、3:50のところで強拍と弱拍がひっくり返る(Metallicaの"Fight Fire with Fire"現象やね)。歌詞はフランス革命を題材としており…タイトル見ればわかるか。
 #2や#3はミドルテンポでやや落ち着いたポップロックな曲。#2 "I Think I'm Going Bald"⇒禿げると思うよ、は草。邦題は『老いてゆくのか』だったと思う。そういえばアルバムの邦題にも触れていなかったが、これは『鋼の抱擁』だったかな?まぁ、そのまんまだね。   申し訳ないが、大作の2曲はちょっとあんまり印象に残っておらんのだよなぁ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 ということで、こんな感じ。

4.どのような人に推奨するか

 第1期の中では、"Fly By Night"・"2112"を買って気に入れば、その合間であるこの作品もご購入を検討ください。

Rush / Fly By Night

Fly By Night

Fly By Night

カナダのロックバンド RushのFly By Nightをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 全作やっていくぞー。ここから4thまでは、所謂"第1期"。

2.内容

 1975年リリースの2nd。基本的に"Counterparts"あたりまでの作品は、すべてMercuryからのデジタルリマスター盤で持っています。

 オーディションによりNeil Peartが加入し、3人が揃ったぞ!というアルバム。基本的な路線は前作を踏襲したロックンロールでありつつ、#1"Anthem"で既にタイト且つ手数の多いドラムが炸裂しており、これにはワイもニッコリ。楽曲もまだまだ3分~4分でシンプルな構成のものが多く、プログレ度はさほどでもない。むしろポップさが増したといってもいい。#5 ”Fly By Night”は歌詞も含め前向きでなんだか優しい楽曲で好きです。”#2, #6あたりは歌詞も含め1stの延長といった印象がややあるが、他はNeilが歌詞を担当するようになったことで全然感触が変わっている。"By-tor and the snow dog"では、急にHades(冥界)とかStyx(三途の川)とか言い出したぞ的な。まあ、この着想は2匹の犬の喧嘩であり、それをもとにファンタジーに発展させたということらしいのだが、70年代Neilの歌詞はファンタジー・歴史が多いイメージがあるね。中間のインタールードの不思議なギターメロディ・ドラムフィル・1音ずつ音を減らしていくブレイクと、次作以降の楽曲につながる雰囲気を感じさせる。

 変則拍子、組曲、歌詞の進化と、Rushのベースラインが一気に整った感がある作品となっております。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 やっぱドラムがイイね。アルバム全体で見ると、弱いというか、あんまり聞かない曲もある。でも、個人的には第1期はこれと"2112"が好み。

4.どのような人に推奨するか

 まだまだハードロックなので、複雑さ・プログレさを求める人はもう少し後の作品から入ってどうぞ。これも、Rushの中では、最初に買う作品でなくていいかな。でも優先順位は高いと思います。

Rush / (self-titled)

Rush

Rush

カナダのロックバンド Rushのデビュー作をレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Dream Theaterから遡って知ったこのバンドは心の故郷みたいなところがある。

2.内容

 1974年リリースの1stで、手持ちのはMercuryからCD再発でDigital Remasteredって書いてあるヤツ。

 北米を中心に人気を博し、特にそのテクニカルスキルとライブ力からミュージシャンからの評価が高いRushであるが、まー日本では人気のないことないこと。まぁ理由は分からなくもないんだけど。同時期デビューのQueenみたいに所謂「顔がカッコイイ」バンドではないし、曲が特にラジオ向きでポップというわけでもなく、ボーカルも甲高く耳優しい声とは言いづらい等、理由はいくつか思い浮かぶ。でも、スゴイバンドなんだよ。

 この1stは、「前夜」といったところ。なぜならGeddy Lee<Vo, Ba>とAlex Lifesonの両輪は揃っているが、Neil Peart加入前であり、ドラムは彼らの友人であったというJohn Rutseyが担当しているため。Geddy/Alex/Neilの3人がRushだから仕方ないね。

 楽曲はもうアレです、ブルージーさを含んだ快活なロックンロールと言ってよいでしょう。初期Led Zeppelinのようなと形容されるのも判りみがある。"What You're Doing"とか、ちょっと"Heartbreaker"みたいじゃないですか?そんな中で高音のハイトーンシャウトをかましまくる若き日のGeddyのボーカルと、ブリブリと主張するベースは既に際立ったものがある。The WhoJohn EntwistleやYesのChris Squireが好きだったというGeddyのベース音は、よく動きアタック音が強い、真似したくなるようなサウンドで、既に後年の雰囲気がある。ギターもシンプルながら厚いコード感やウォームなソロの感触はAlexっぽさがある。ドラムはすまん、普通。Neilの手数に比べると、落ち着いて聞こえるね。曲にプログレ感がまだ少ないというのもそう思う要素の一つかな。

 70年代のライブでは、”In The Mood”は良く演奏していたイメージがある。明るくてアンコールっぽいからかな?あとは、後年でもよくプレイされていた"Working Man"と30周年記念メドレーの先頭に組み込まれた"Finding My Way"を抑えておきましょう。あと、Rushと言えば歌詞の面白さがよく取り沙汰されますが、ここでは「ヘイベイビー遊びにいこうよ」的な歌詞が多いので、こちらもあまり気にしなくてOK。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 ライブ盤で聞いた数曲以外は思い入れ度数は低いです。

4.どのような人に推奨するか

 Rushの名作を集めて、初期はどんなことやってたんだろう?と気になる人へ。Rushを聞こうと思って最初に買う作品ではないので注意。  

Incantation / Blasphemy

Blasphemy

Blasphemy

アメリカのデスメタルバンドIncantationのBlasphemyをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Incantation集め。タイトルがいいね。

2.内容

 2002年リリースの5th。またメンバーがJohn McEntee以外変わっとるやん。いうまでもなく音楽性に変化はないが、サウンドや曲は前作より3rdを髣髴とさせる。ギターの音色や曲のブルータルさ(ファストパートが増えた)などに、多少アンダーグラウンドへの揺り戻しが感じられる。#1~#11まではいつものデスメタルサウンドで何の問題もないのだが、#12, #13は計26分のアウトロとなっている。アルバム単位で聞くものとしては、こういうのがあるとリピートしづらい(飛ばせばいいんだけど)。#9なんかはほぼ全編通してハイスピードな曲で、ちょっと珍しい気がする。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 めんどくさいCDの仕様によりマイナス。楽曲単位ではとてもいいと思います。

4.どのような人に推奨するか

 Incantationでいえば3rdが気に入った方にお勧め。

Incantation / Dirges of Elysium

Dirges of Elysium

Dirges of Elysium

アメリカのデスメタルバンドIncantationのDirges of Elysiumをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Incantationを集めの一環。後追いです。

2.内容

 2014年リリースの10th。毎回変わらず安定のデスメタル。このバンドは地味だがリフと曲に非常にまがまがしい雰囲気が合って良い。どのアルバムも安定して素晴らしい。ジャケットも、ゴアではない絵画的な怖さで非常によろしい。

 音質はクリアで何の問題もなし(Edge of Sanity他のDan Swanoによるミックスであるようだ)。オールドスクールっぽく湿ってムチムチした太めのギターが不穏で暗いリフを紡ぎ、スローとブラストを行き来する展開は相変わらず。ブラストと言ってもいわゆるブルータルデス勢のようにクソ速いブラストではなく、ツービートの正統進化のようなリズムを感じられるブラストなのである。

 このアルバムの特徴としては、それが割と極端に表れている部分だろうか。前半の曲はのっけからハイスピードなブラストビートでドロドロしたリフを刻む曲が多く、ランニングタイムも短めになっている(2分の曲など)。一方で、物凄くテンポを落としたドゥームデスが印象的な部分もあり。特にアルバムラスト曲は16分を超える大曲では、ほぼ全編をスローテンポで雰囲気たっぷりに進んでいく。アルバムトータルでは10曲50分とそんなに長くない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 形容詞のいらないデスメタル。安定している。前半に早い曲が並んでるからか、ちょっと他のアルバムとは違う印象を持つ。これも愛聴できそう。

4.どのような人に推奨するか

 勢いやブルータルさより、雰囲気とリフ・曲がよいデスメタルを聞きたい方へ。このバンドは「純粋なデスメタルってどういうもの?」って言う人に聞かせたいですね。

栗原道子 / これだけは知っておきたい「レポート・報告書」の基本と常識

これだけは知っておきたい「レポート・報告書」の基本と常識

これだけは知っておきたい「レポート・報告書」の基本と常識

栗原道子 / これだけは知っておきたい「レポート・報告書」の基本と常識 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 新入社員の時に買った模様。超久しぶりに目を通してみた。

2.内容

 2008年初版のフォレスト出版からのリリース。所謂ビジネス本の一種。まぁこの手の内容の書籍は、いつの時代もそう大きく変わりはしないので、今読んでも通じる内容だと思う。著者はビジネス関係の研修講師を長く務めた経歴の持ち主であるらしい。

 一般的な企業で求められるようなレポート・報告書を対象とした解説本(学術のそれではないぞ)。書籍の構成としては1~3章で、報告書・レポートとは何か、基本的な書き方・魅せ方を説明。多分この辺は、どの本を見ても似たような内容が書いてあるんだろうと思う。個人的に今でも一番意識してやっていることは、第3章の「一枚主義」。必要な内容を取捨選択して簡潔・端的にまとめるという意味での具体的な施策が、レポートの分量を1枚に抑える(つもりで書く)ということ。障害報告書や打合せ資料などを作成するケースは数多いが、1枚に収まる報告書というのは今でも気にしている。実際には、1枚という言葉には、1ページ・2ページ(両面1枚)・4ページ(2in1の両面)のケースを含ませているが、最大でも4ページまでかな…。後は「時間をかけずに即作る」も意識しているかな。
 書籍としてのアピールポイントは第4章~5章で、具体的なシチュエーションに応じた報告書・レポートの事例が載っている。日報・週報・月報・議事録といった一般的なケースから、障害報告・OJT報告・イベント実施報告といった具体的な活動に即した内容までをカバーしていて、ある程度そのまま参考にできる場合もあると思う。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 なんだかんだ、今の自分のレポートはこれが土台になっている気がする。

4.どのような人に推奨するか

 新入社員さんや、レポート・報告書が苦手な人へ。こういうのって、年次を重ねていてもヘタな人はヘタだよなぁ。

Cognitive / (Self-Titled)

cognitivenewjersey.bandcamp.com

アメリカのデスメタルバンド Cognitive から、バンド名と同タイトルのアルバムをレビュー。 AmazonないのでBandcamp貼っておく。

1.作品を選んだ理由

 安かった(380円)のと、見た目からして絶対デスメタルだろうなと思ったので。

2.内容

 2014年リリースの1stフルで、Pathologically Explicit Recordingsというところからのリリース。2011年結成だから、若いバンドだね。

 基本的な路線はテクニカルデスメタル。ベースはブラストビート頻出のSuffocation系のブルータルデスメタルであるともいえるのだが、このバンドの「テクニカル」の方向性としては、非人間的な高速フレーズではなく、展開の複雑さやフレーズの多彩さにより重点が置かれている。ディストーションがかったギターによる不協和音アルペジオや、休符を挟んだ刻みリフには、現代的なDjentを思わせる感覚があるのだが、リフやギターソロはメロディ感が結構ある。オールドスクール感のある重心の低いサウンドも相まって、無機質さは低い。ノルウェーのExtolとかの、そういう雰囲気もあるかな。変則拍子やリズムチェンジが多い。#6ではアコースティックギターとストリングスによる静謐な曲も披露している。

 とまあ、いろいろやってくれているのだが、なんというかトータルの印象としては余り面白くはないのだった。なんでだろうね。なんか煮え切らない感じ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 普通。いいところはあると思うが…。あと、音質は非常に好バランス。

4.どのような人に推奨するか

 スピード命ではなく、プログレデス的な雰囲気。そういった音楽が好きな人に推奨する。純デスメタルを求める人には合わない。

Sabaton / Heroes on Tour

Heroes On Tour

Heroes On Tour

スウェーデンのパワーメタルバンド Sabaton / The Great Warをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 旧作揃えるのが面倒なので、ベスト盤の代わりにライブアルバムを購入してみたよ

2.内容

 2016年リリースのライブアルバム、Nuclear Blastからのリリース。DVD付きのライブ作品もあるようだが、自分のはCD単体で購入。元は2015年ドイツWacken Open Airでのライブらしい。
 内容自体はライブをそのまま封入した感があり、特殊ギミックは感じられない。演奏が非常にウマイうえに演奏は原曲に忠実(コーラスも含め再現度はばっちり)、サウンドもクリアで、2016年時点におけるSabatonのベスト盤としての役割を果たしている。当時直近のスタジオアルバムである"Heroes"からの楽曲が6本あるが、それ以外は各作品から満遍なくといったところ。大半は"The Last Stand"のツアーでもやっていたので、ライブの試練を生き残った楽曲たちということなのだろう。”Swedish Pagans"なんかは観客が一緒に冒頭からシンガロングするところも含め、もはや定番やね。
 敢えて言えばクリアすぎるのでライブ的な臨場感に欠けるという指摘も可能だが、それはライブ盤に何を求めるかの志向性の話なので。私としては、ライブでも高レベルなSabatonの楽曲と演奏を楽しめるという意味で、とても価値があると思います。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 冒頭述べたように、ベスト盤として最適。

4.どのような人に推奨するか

 直近の作品(The last Stand以降)でSabatonを知った人は、過去作追うの面倒だったらこの作品を買うと、ライブの定番曲は結構網羅できるのでおススメ。で、気に入ったら以前のスタジオ盤も買っていこう。

Sabaton / The Great War

Great War

Great War

スウェーデンのパワーメタルバンド Sabaton / The Great Warをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Sabatonの新作だぞー。購入。

2.内容

 2019年リリースの9thフル、Nuclear Blastからのリリース。Ward Rebordsからの日本盤を買っています。ただし通常版。限定版の「ヒストリーエディション」って何だろう?今回は全編が第一次世界大戦がテーマとしているわけだが、日本盤の解説には歌詞の対訳だけでなく、各曲の題材となった戦いや人物の解説がついており、世界観を理解するうえで助けになる。

 楽曲の方は、相変わらずJoakim Brodenの野太く歌い上げるボーカルと分厚いコーラスワークを中心に据えた、キャッチーで純粋なミドルテンポ中心のヘヴィメタルとなっている。サウンドの品質、楽曲の出来ともに前作に劣らない出来。アルバムリリースに先駆けてYoutubeで公開されていた"Bismarck"は、やや地味なリードトラックだなぁと思っていたのだが、アルバムには収録されていない(フィットしなかったので収録しなかったが、もったいなかったのでYoutubeでリリースした、ということらしい)。そのあと投稿された"The Red Baron"の方がノリノリで、昨今のSabaton感がある。アルバムの楽曲イメージは後者の方が近く、全体的に勢いがある。

 メロディの充実度だけでいえば前作以上ではないでしょうか。というか、前曲Sabatonらしさを非常に感じることができ、曲の構成も似たようなもんなのに、各曲をちゃんと際立たせることが出来ているのは、偏に作曲と編曲のうまさだと思うんだ。リズムとアクセントのつけ方でメロディを強烈に印象付けてくる。好みのトラック"82nd All the Way"のコーラス後半、"Devil Dogs"の出だし(3連系のダサ曲でこれも最高)、"The Future of Warfare"のコーラス等、リズムと一体となったビッグなコーラスが素晴らしいデス。"The Great War"は前作にもこんなメロディなかったっけ?と思わせるが、いい曲なので構わんです。ギターソロやフレーズも前作以上に充実していて、おいしいギターが多い。ちょっとパワーメタルっぽさが増えたという印象。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 安定の超高品質なSabaton印の金太郎飴。

4.どのような人に推奨するか

 男臭くキャッチー&ポップなメタル好きに。前作"The Last Stand"を気に入った人なら絶対買って満足。

Sabaton / The Last Stand

ザ・ラスト・スタンド

ザ・ラスト・スタンド

スウェーデンのパワーメタルバンド Sabaton / The Last Standをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 最初に知ったのは何だったかな?2015年のLoudparkでめっちゃ評判を上げて、知ったのはそのあと。その2015年のLoud Parkは当時大阪に住んでて見ていないんだが、YoutubeのNuclear Blastのチャンネルでいくつか聞けたのでそこからかな。

2.内容

 2016年リリースの8thフルですか?Nuclear Blastからのリリース。毎度のことながら、Warをテーマとした世界観で男臭くキャッチーな楽曲をやっている。この作品から聞き始めたのであまり比較はできないのだが、クリアなサウンドとキャッチーなメロディー、絶妙にクサいキーボードやギターフレーズ 、シンガロングできるコーラスという、"The Sabaton"な要素がたっぷり入った素晴らしい作品だと思う。ミドルテンポでどっしりとした楽曲とヘヴィメタル然としたストレートなリフと楽曲構成、キャッチーでわかりやすく盛り上がるコーラスとフレーズ、Joakim Brodenの暑苦しく男臭いミドルレンジの歌声(メロパワ的なハイトーンではないです)がSabatonの核だと思っております。

 Youtube効果とライブでの印象から、水戸黄門の「ああ人生に涙あり」的な3連リズムを持ったスローで力強い"Sparta"(ライブではちゃんとウー!ハー!してきた)、疾走感とメタリックな単音リフに彩られた"Blood Of Bannockburn"、分厚いコーラスに荘厳さを感じる"The Last Stand"(YoutubeのSabaton楽曲でエンディングに本楽曲の"In the name of god..."からのラストコーラスがシームレスにつながっていて、最初はそういう曲なのかと思ってた)、西南戦争西郷隆盛をテーマとし、歌詞にも日本語が登場する極めてキャッチーな"Shiroyama"あたりが、やはり好みの曲である。
 奥さんもSabatonに関しては凄く好きであり、一緒にライブに行ってくれたのである。テーマは戦争なんだけど、政治批判とか未来への警鐘といった個人の主張的な要素はあまり感じられず、As Is(ありのままの事実、こういうことがあった)を描くような歌詞が非常に好感度高いようだ。37分というランニングタイムもいいよね。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 イイゾーこれ。

4.どのような人に推奨するか

 メロパワとは違う、暑苦しく男臭い、キャッチー&ポップなメタルなので、そういうのが好きな人に。メタル初心者にも非常におススメですぞ。

糸井重里 / オトナ語の謎。

オトナ語の謎。 (新潮文庫)

オトナ語の謎。 (新潮文庫)

糸井重里 / オトナ語の謎 のレビューです。
正確には、ほぼ日刊イトイ新聞 編、糸井重里 慣習。

1.作品を選んだ理由

 タイトル買い。妻に聞いたらなんかこれ昔流行ったらしいね。

2.内容

 2003年に新潮文庫からのリリース。糸井重里氏と言えば、数々のキャッチコピーで知られるコピーライターさんといった印象。パッと思いつくのは、おいしい生活とか、Mother 2のあれ(大人も子供も、おねーさんも)くらいだが。
   一言でいえば、「悪魔の辞典」の会社員版といったところ。悪魔の辞典ってご存じでしょうか?一般的な単語をブラックユーモア的な視点で再定義して辞書形式で紹介していくやつです。この書籍もまさしくそういった形式で「別途」「物理的に」「五月雨式」「落とし込む」「泣きを入れる」と言った会社勤めにおいてよく聞くような単語を、お仕事的な観点で再説明したもの。(会社勤めという表現は、社会人という言葉が嫌いで使いたくないからです)
 自社でツーカーで通じている言葉って、他社では通用しないんだろうなと思っていた。仕事のプロセスとかの話でなく、流布している表現とかの話ね。しかし、この本を読むと「あぁ自分も言っているな」「自分の現場でもよく聞くな」と思わせるオフィス用語がとにかく多くて、非常に共感を覚える。そしてこれらの用語に対して若干の皮肉を込めつつ納得感のある説明をしてみせる手腕は見事。イトイ新聞の力なのか、糸井重里氏の力なのか知らんが、非常に面白く読めました。

 ページ数は多めだけど、1ページあたりの文字数が少ない為、1時間程度でさらっと読めます。息抜き。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 面白い!

4.どのような人に推奨するか

 数年以上会社勤めやった人が読むと、「あるある本」として非常に楽しめる内容だよ。何なら、会社勤めを始めたばかりの新入社員なんかが読んだら、有用なんじゃなかろうか。社内で出回っているワケの分からない表現の意味が、分かるかもしれない。

Rebaelliun / Annihilation

Annihilation -Reissue-

Annihilation -Reissue-

ブラジルのデスメタルバンド Rebaelliun / Annihilationをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 だいぶ前(多分10年とか前)に安く手に入れたんだが、先日1stを見つけて久しぶりにこっちも聞いてみる。

2.内容

 2001年リリースの2ndフルで、Hammmerheart Recordsから。この後2002年にいったん解散してしまうらしいんだが、2015年に復活し、2016年には3rdアルバムもリリースしている(なお、持っていない模様)。

 あまり説明する必要のない、Krisiun/Morbid Angelライクな暴虐性・攻撃性に富んだブラストビート主体のオールドスクールデスメタル。前作1stより各パートのパワー・スピードが増している感じがあり、とってもマッチョな雰囲気。基本的にはやっていることは変わっていないので、正統進化したといえるのではなかろうか。力任せにブラストし続けるドラムと、低音トレモロで邪悪且つメロディ感のあるリフを奏で、且つ超高速の速弾きギターソロをそこかしこに挟み込むギターは、とても力強いサウンドを表出している。前作のようなインストもなく、全曲爆走している。#8 "Bringer of War"なんかは比較的リフのメロディがしっかりしていて、冷涼感はないがややファストブラックみたいな雰囲気も感じる(赤ジャケ時期のDark Funeralとか…この作品もジャケット真っ赤だし)。

 真っ赤なジャケットがぴったり似合う、激烈にι(´Д`υ)アツィーな高速デスメタル。全曲同じような雰囲気ではあるんだが、結構それぞれに印象的なリフ・メロディが配されているので、区別はつくぞ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 こうして聞き比べると、2ndのパワーとエネルギーはスゴイ。音圧・バランスも素晴らしい。

4.どのような人に推奨するか

 Krisiunファン、速いMorbid Angelのファンに推奨。高速厨であればかなりオススメ。カッチリしすぎないオールドスクール味は推しポイント。

Rebaelliun / Bvrn the Promised Land

Burn The Promised Land -Reissue-

Burn The Promised Land -Reissue-

ブラジルのデスメタルバンド Rebaelliun / Bvrn the Promised Landをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 かなーり前に2nd "Annihilation”を持っていたのだが、ディスクユニオンで手持ちにないこの作品を見かけたので購入。

2.内容

 1999年リリースの1stフルで、Hammmerheart Recordsから。バンド名はどういった意味なのだろうか?ちなみにアルバムタイトルは"Burn ..."だと思うが、意図的に"Bvrn..."とされている。ブラックメタル勢も良くやる手法だが、古ラテン語ではu/vの区別がなくvがこれを兼ねていたからということ。前にも書いたかな?"Trve Cvlt"などと書いてあれば、それはトゥルーカルトなのだ。手持ちのは1999年のデジパック盤で、ボーナストラック(デモ2曲)を含む。

 で、音楽の話をすると、まぁバンド名と出身国から想像がつく通り同郷のKrisiunと同じような音楽性である。乱暴に言えば、Morbid Angelの禍々しいリフの雰囲気や華々しいギターソロを継承しつつ、彼らのリチュアル(儀式的)な雰囲気を暴虐性・攻撃性にかなり偏らせたサウンド。流麗というよりは力任せな感のある人間味のあるブラストビートが曲の突進力に大きく寄与している。#5で怪しい雰囲気を纏ったインストを挟んで、残り8曲は大体爆走している。モダナイズされカチっとしたデスメタルではなく、あくまでオールドスクールデスメタル。まぁなんというか、本当にKrisiunですわ。音がどっしりしているのが良い。

 デモ2曲は本作に収録された#1, #4のもの。どっちも言われなきゃデモってわからない程度には高品質で、本編と大差ない。録音レベルが結構違っていて、"At War"はなんだか音量は小さい。"Spawning The Rebellion"の方はデモの方がドラムが近くて生々しいので、デモ版の方がイイ説もある。不思議だねぇ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 ギターソロの乱舞が印象に残る。激しくて良い。

4.どのような人に推奨するか

 Morbid Angelが高速になったようなオールドスクールデスメタルを求める向きに推奨いたします。

体験記:円山応挙から近代京都画壇へ(東京藝術大学大学美術館)

okyokindai2019.exhibit.jp

体験記シリーズ。「円山応挙から近代京都画壇へ」に行きました。

1.鑑賞のきっかけ

 どこだっけ?新宿駅京王線のどこかで見かけたポスターで、行かねばと思ったやつ。以前「奇想の系譜」展に行って、伊藤若冲とか長澤芦雪を知ってるんやで。あと、東京芸大って行ったことなかったから(行ったことない博物館に行きたい)。

2.内容

 会期ギリギリで行ってきた。行ったことない博物館といいつつ、結局場所は上野公園のすぐ近くやんけ…。都美、国立西洋美術館国立博物館などいろいろありすぎて回れませんな。しかし、芸大生はこんな芸術に囲まれた界隈で生活しているんですね。

 さて、円山応挙(まるやまおうきょ…「えんざん」ではないです。1敗)。江戸後期に活躍した画家で、頓に写生(スケッチ)を重視したとのことで、動物・植物や自然を捉えた題材とした絵画が多いのが特徴。なお、落款は「應擧」で当たり前だが旧字ですね。
 本展示では、応挙をはじめとて、応門十哲と呼ばれた著名な弟子たちの作品と、そこから近代(昭和初期くらいまで)の日本画を数多く展示しております。明治維新後って西洋画の流行が一気に入ってくるイメージがあったけど、同然日本画日本画で続いているんだなぁ。作品の並びは全然時系列ではないので平気で100年飛んだりするんだが(上村松園さんなんかは20世紀にもご活躍で本人の写真まで残っとるからな)、制作年代をちゃんと見ないとしれっと見過ごしてしまうくらい画風に統一性を感じられた。同じ一門の系譜にあるからかもしれないけど。
 最初の目玉は兵庫県大乗寺から持ってきたという『松と孔雀図』の屏風絵。金屏風に描かれた松と孔雀は単色の墨で描かれたとは思えないほど濃淡による表現が豊か。屏風そのもの持ってきたんか?あと、お寺の紹介も「奈良時代行基さんが開いた…」とか当然のように言ってたけどマジか?東大寺の大仏つくったあの行基さんですか?応挙の時代よりさらに1,000年位前やんか。戦乱で荒れ果ててたらしいが、密蔵という坊さんが再建に取り組み、なんやかんやあって応挙一門に屏風図を依頼する運びになったらしい。あと、この寺の客殿にある屏風絵の作品群は東西南北に四天王(持国天増長天広目天多聞天…覚えた)の属性に対応する作品を配置しており、これが立体曼荼羅(仏教の世界観をわかりやすく表すもの)の体を成しているらしいぞ。

 その他で感動した作品。応挙の『狗子図』。芦雪の犬と一緒だ!となった。あと『写生図鑑』のうさぎ。うさぎさん!うさうさ!これはカワイイですわ。後は、ちょっと年代は飛ぶんだが、作品名は『しぐれ』だったかな?木島櫻谷(このしまおうこく)だったと思うのだが、鹿の屏風絵。この作品に限らないのだが、動物の毛並みの繊細な表現は美しいものが多かった。弟子、岸駒(がんく)の孔雀絵。物凄く執拗な孔雀の書き込みにくらくらした。特に首元の羽のあたり。あれはスゴイ。あとこれも応挙だが、忠臣蔵を題材とした『大石良雄図』。これはとにかく着物の「透け感」の描写が素晴らしい。ダイナミックに水の動きを捉えた『保津川』も力強くてよかったね。最晩年の作とは思えん。最終版に配置されていた配置されていた近代画家 上村松園の『楚蓮香之図』、細さ・手足のしなやかさ(特にうちわみたいなものを持つ手!)が非常に繊細で幽玄な美しさで、ちょっと見入った。

 おっ、こうして振り返ると結構覚えてるな。しかし、皆さん読みが難しいわ名前がなんとなく似てるわで覚えづらいんだよー。画号に繋がりがあって、望月玉泉の一門に玉xxがいたりするのでややこしい…。

 いつものように音声ガイドも借りた。声優の羽多野さんは知らんかった。大乗寺の住職が映像付き(液晶に画面が映るのだ)で語ってくれるのが面白かったが、展示中にあれ見るのはなんか微妙ですね。展示エリアが地下と3階に分かれていて、エレベーターで行ったり来たりする動線がどうにもイケてないので、そこはどうにかならんかなーと思ったけど、展示そのものはとても良かったです。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 良かったよー。日本画をもっと知りたくなってきた。

4.どのような人に推奨するか

 会期がもう終わってしまうので、日本画に興味がある人は行っておくべきかな。うーん妻と一緒に行きたかった。

Ex.ギャラリー

すべて撮影禁止なのでポスターのみ