めたすらいむの舟

メタル(デス/ブラック/プログレ中心)と書評(SF/ミステリ寄り)を通じて、ものを書く練習を行っています。原則週次更新予定。

通し聴き・通し読み(随時更新)

通し聴き・通し読み(随時更新)

1枚・1冊で済ませず、同じバンドや作家を続けて聴く/読むことが多い。その記録をここにまとめた。

各行の「1本目から読む」はそのシリーズ最初の記事、「全部並べる」はブログ内検索で同じシリーズの記事を一覧にする。新しいシリーズが3本に届いたら、ここに足していく。本の方は目次から「通し読み」へ。

まずはこの3つ

  • いちばん長いのは Obituary の12本。 デビュー作『Slowly We Rot』からライブ盤『Dead』まで、2026年5月から9月にかけて書いた。
  • Rush はデビュー作から『Permanent Waves』まで7枚を順番に。 1974年から1980年までを一続きでたどれる。
  • 小川哲は2020年に2冊、2026年に5冊。 間が5年以上空いている。

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Dying Fetus / Killing on Adrenaline

  • アーティスト: Dying Fetus
  • 発売日: 1998/07/27
  • レーベル: Morbid Records
  • メディア: CD

Dying Fetus の2作目。ドイツの Morbid Records から1998年に出た1枚で、契約もこのアルバム1作きりだった。2000年の次作『Destroy the Opposition』からは Relapse Records に移る。その次の作品は前に Dying Fetus / Stop at Nothing で書いた。

後のアルバムで目立っていくテクニカルなギターリフは、この盤から始まっている。英語版 Wikipedia のジャンル欄はテクニカルデスメタルとスラムデスメタル。

なんというか音がムチムチしていて、非常に強靭なデスメタルだと思う。ヘヴィです。ブラストビートで押して、ビートダウンで落として、そこにグロウルが乗るのが気持ちいい。

後続のアルバムにあるスマートさや混沌はまだ少なくて、そのぶんデスメタル感が強い。邪悪さやメロディックな感じは無く、無調なところは後の作品と変わらない。

低音の厚さはレビューでも話に出る。Blabbermouth の再発盤レビューは、オリジナルのミックスは低音が膨らみすぎて気が散るほどで、リマスターでも直りきってはいないと書いている。MetalBite のレビュー(2024年7月29日)は、ベースを重く出しながら各パートがはっきり聞こえる音で、同時代の Incantation や Suffocation より重く聞こえると評している。

ビートダウンはどちらのレビューも推している。Blabbermouth はアルバムがダウンシフトのチャグとスラムのグルーヴで埋まっていると書き、ボーカルは John Gallagher の低いグロウルに Jason Netherton の吠えるような声が噛み合っているという。MetalBite は "Absolute Defiance" をデスドゥーム調の入りからグルーヴで押しつぶしていく曲として、"Intentional Manslaughter" を込み入ったリズムチェンジとビートダウンの曲として挙げている。

8曲で34分28秒。いちばん長いのは7分6秒の "Procreate the Malformed"。7曲目の "Judgement Day" は Integrity のカバーで、MetalBite はここにハードコアのグルーヴを聞いている。5曲目の "Kill Your Mother/Rape Your Dog" は1分16秒のジョーク曲で、メインストリームの音楽に対するバンドの立場を歌っている。

再発は2回。2007年に Night of the Vinyl Dead から赤・白・青のスプラッター盤LP(500枚限定)、2011年に Relapse からボーナストラック付きで出た。

評価

★★★★★

音がムチムチしていて強靭。ヘヴィです。

Suffocation / Live in North America

  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2021/11/12
  • レーベル: Nuclear Blast
  • メディア: CD

Suffocationのライブ盤『Live in North America』をレビュー。

2021年11月12日にNuclear Blastから出た。録音は2018年10月22日、マサチューセッツ州ケンブリッジのMiddle East Downでの公演。Frank Mullenが歌った最後の北米ツアーで、ツアー名は「Death Chopping North America Tour」。

Mullenは2013年の『Pinnacle of Bedlam』のあと、仕事の都合でツアーに出続けるのをやめていて、ライブでは代役のボーカルが歌っていた。2018年3月に、引退の前にもう1回だけツアーをやると発表している。発売の告知で、ベースのDerek Boyerは前作『...Of the Dark Light』がMullenの最後のスタジオ作になる予定だったと話していて、ギターのTerrance HobbsはMullenへの礼と引退後の健闘を祈る言葉を寄せている。

ほぼベスト盤の13曲

  1. Thrones of Blood
  2. Effigy of the Forgotten
  3. Funeral Inception
  4. Pierced from Within
  5. Surgery of Impalement
  6. Dismal Dream
  7. Jesus Wept
  8. As Grace Descends
  9. Liege of Inveracity
  10. Breeding the Spawn
  11. Catatonia
  12. Souls to Deny
  13. Infecting the Crypts

高品質で、ベスト的な選曲だと思う。1曲目から"Thrones of Blood"で、『Pierced from Within』からは"Pierced from Within"と"Breeding the Spawn"も入っている。

そして演奏がマジで異常にうまい。

緩急がライブだとさらにえぐい。名曲"Infecting the Crypts"とか顕著。まあそれは前のライブ盤でもそうかな。

『The Close of a Chapter』との違い

2005年録音の『The Close of a Chapter: Live in Quebec City』とは、13曲中9曲が重なる。こちらにしか無いのは"Dismal Dream"、"Jesus Wept"、"As Grace Descends"、"Souls to Deny"の4曲。

メンバーは5人のうち2人が違う。ボーカルのMullen、ギターのHobbs、ベースのBoyerは同じで、ドラムがMike SmithからEric Morottiに、もう1本のギターがGuy MarchaisからCharlie Errigoに替わっている。

ドラムは、Mike Smithの叩く『The Close of a Chapter』と比べると、こっちがこぎれいに聞こえるかも。音質の話もあるかもしれないけど。

同じ曲を、メンバーの違う2枚で聴き比べられる。

音

音は『The Close of a Chapter』よりいい。クリアで分離がはっきりしていて、どの楽器も追える。原曲より構造やリフが見えやすい。それをよいとするかは趣味の違いがありそうだが……。

ベースはバキバキ。

ライン直って感じで、卓から直に録ったような音。ライブの空気感はやや薄いか? 海外のレビューにも「ライブ盤にしてはドライ」と書いている人がいた。

ミックスとマスタリングは、Beyond CreationやCryptopsyとの仕事があるChristian Donaldson。ジャケットはJon Zigが描いた。

評価

★★★★-

なんだかんだで、聴こうかなってなる。

Suffocation / The Close of a Chapter: Live in Quebec City

Close of a Chapter

Close of a Chapter

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  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2005
  • レーベル: 自主制作(2009年にRelapse Recordsから再発)
  • メディア: CD

2009年にRelapse Recordsがこの盤を出したとき、告知では「Suffocation唯一の公式ライブ盤」と紹介されていた。12年後の2021年、Nuclear Blastから2018年の公演を収めた『Live in North America』が出たので、今はもう唯一ではない。

元は2005年、『Souls to Deny』のワールドツアー中にカナダのケベック・シティで録ったライブで、同じ年にバンドが自主制作でCDとダウンロードで出している。Relapseからの再発は2009年10月27日(北米)。告知によると、編集を入れていないフル・セットだ。ベースのDerek Boyerが入った2004年からの時期にあたる。

タイトルの「The Close of a Chapter(章の終わり)」は、なんか意味深だけど、何か意味あるんだろうか。

13曲の出どころ

全13曲で、アンコールの"Funeral Inception"で終わる。出どころのアルバムで分けるとこうなる。

  • 『Effigy of the Forgotten』(1991年): "Infecting the Crypts"、"Liege of Inveracity"、"Effigy of the Forgotten"
  • 『Pierced from Within』(1995年): "Thrones of Blood"、"Breeding the Spawn"、"Pierced from Within"
  • 『Despise the Sun』(1998年のEP): "Catatonia"、"Despise the Sun"、"Funeral Inception"
  • 『Souls to Deny』(2004年): "Surgery of Impalement"、"Subconsciously Enslaved"、"Immortally Condemned"、"Tomes of Acrimony"

ツアーの名目だった新作からは4曲で、残りの9曲は再結成前の3作から3曲ずつになっている。EPの『Despise the Sun』が、フルアルバムの2枚と同じ3曲を取っている。"Breeding the Spawn"は1993年の同名アルバムの曲で、『Pierced from Within』で録り直した版がある。

『Pierced from Within』の記事で一番よく聴く曲に挙げた"Thrones of Blood"と、『Souls to Deny』の記事で一番繰り返し聴いた"Surgery of Impalement"は、どちらもここに入っている。

同じ曲を別のメンバーで聴ける

2021年の『Live in North America』は、2018年10月22日にマサチューセッツ州ケンブリッジで録った公演で、Frank Mullenが歌った最後の北米ツアーにあたる。こちらも全13曲で、そのうち9曲がこの盤と重なる。重ならないのは"Dismal Dream"、"Jesus Wept"、"As Grace Descends"、"Souls to Deny"の4曲。

メンバーは5人のうち2人が違う。

  • 両方: ボーカルのFrank Mullen、ギターのTerrance Hobbs、ベースのDerek Boyer
  • ドラム: 2005年はMike Smith、2018年はEric Morotti
  • もう1本のギター: 2005年はGuy Marchais、2018年はCharlie Errigo

特にドラム。Mike Smithは『Effigy of the Forgotten』の頃からのドラマーで、在籍は1990〜1994年と2003〜2012年。Eric Morottiは2016年からで、スタジオ作では『...Of the Dark Light』と『Hymns from the Apocrypha』を叩いている。"Infecting the Crypts"や"Liege of Inveracity"のような1991年の曲を、録った当時のドラマーと、25年あとに入ったドラマーとで聴き比べられる。

入門としてすごくいい

音質はいいし、曲もいい。音は固めというか、近作のSuffocationって感じの音だと思う。

ラインナップも、『Effigy of the Forgotten』からのドラマーMike Smithがいる時期。新作のツアーなのに13曲中9曲が再結成前の曲で、初期の曲を大切にしているんだと思う。

これ1枚で初期から『Souls to Deny』までの曲がまとめて聴けるので、入門としてすごくいいんじゃないかな。 ライブ盤にしては音がよくて音の壁のように潰れていないし、ベースがすごくよく聞こえる、ベスト盤として使える、

ただ、Suffocationはスタジオアルバムも音質・パフォーマンスともに悪くないので、入門であっても普通に1st『Effigy of the Forgotten』や3rd『Pierced from Within』を聴けばいいとも思う。と思うのは、自分がMorrisoundのあの黒さが好きだからかも。それでもこの盤には、ベースの唸り具合と、硬質なサウンドとパフォーマンスで初期曲を聴けるという価値がある。

評価

★★★--

入門編としてはいいけど、入門でも1stや3rdを聴けば足りる。ベースの唸りと硬質な音で聴ける初期曲の分で★3。

Suffocation / Suffocation

Suffocation

Suffocation

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  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2006/09/19
  • レーベル: Relapse Records
  • メディア: CD

『Suffocation』は2006年9月19日、Relapse Recordsから出た5作目のスタジオアルバムで、ベースのDerek Boyerが正式なベーシストとして入った最初の作品になる。再結成後の1枚目『Souls to Deny』の録音時はベーシストがいなくて、Terrance HobbsとドラムのMike Smithがベースを分担していた。

録音は2006年5〜6月、『Souls to Deny』と同じFullForce Studios。プロデュースはバンド自身。全11曲で44分14秒。ジャケットはJon Zig。

いつものSuffocation印

中身は、いつものSuffocation印。『Souls to Deny』や、その前のミニアルバム『Despise the Sun』(1998年)と近い印象だったと思う。

ほかの人のレビューも読んでみた。Brave Words & Bloody Knucklesのレビュー(2006年9月)は、『Pierced from Within』以来はじめて本来の調子に戻った作品だ、と書いている。リフに切れ味がある曲として挙げているのは"Abomination Reborn"、"Redemption"、"Entrails of You"。

復活作と言われても、後から入ったから知らんけど、高品質な復活作ですよね。

Sputnikmusicのレビュー(2007年)は5点満点の4.0。いちばん褒めているのはMike Smithのドラムで、ツーバスとフィルが曲を押し上げていると書いている。"Redemption"は、メロディアスなところと激しさを混ぜた曲として、アルバムでも強い1曲に挙げられている。逆にBoyerのベースは、曲の印象にあまり残らないと辛めだ。

このアルバムだと、サウンド的にはあまり目立たないのかもしれない。でもBoyerは、ベースをめっちゃ低く構えて、立てて弾く人だ。ライブだと見た目も含めて目立つし、テクニカル! もったいないね。

最後はまた録り直し

通常盤の最後の11曲目"Prelude to Repulsion"は、1993年の『Breeding the Spawn』からの録り直し。日本盤にはボーナスとして、同じく録り直しの"Anomalistic Offerings"が12曲目に入る。あの記事で録り直し先を一覧にしたうちの2曲がこの盤にある。『Hymns from the Apocrypha』の記事では『Blood Oath』から4作続けてアルバムの最後が録り直しだと書いたが、この盤も通常盤では最後が録り直しなので、数えると5作続いていたことになる。

"Abomination Reborn"と"Bind Torture Kill"にはミュージックビデオがある。"Bind Torture Kill"は2007年、History Channelのドキュメンタリー『The Dark Ages』の宣伝映像でバンドが演奏する曲にも使われた。

評価

★★★★-

よく聴いた。★4か5で迷う。

Suffocation / Hymns from the Apocrypha

Hymns From The Apocrypha

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  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2023/11/03
  • レーベル: Nuclear Blast
  • メディア: CD

新しいボーカルのRicky Myersは、Disgorgeというデスメタルバンドではドラムを叩いている人だ。ドラマーがSuffocationのマイクの前に立った。彼が歌うSuffocationのアルバムは、これが最初になる。

2023年11月、Nuclear Blastから。9作目のスタジオアルバムで、Frank Mullen最後の『...Of the Dark Light』から6年空いた。全9曲で41分22秒。ギターのTerrance HobbsとCharlie Errigo、ベースのDerek Boyerは前作と同じ顔ぶれで、ドラムのEric Morottiはこれが最後の参加作になる。

前作はJoe CincottaのFull Force Studiosで録って、ミックスとマスタリングはChris "Zeuss" Harris。今回はCryptopsyのギタリストでもあるChristian Donaldsonが、バンドと一緒にプロデュースして、ミックスとマスタリングまでやっている。録ったのはバンドの地元ロングアイランドのInLine Studio。ジャケットはGiannis Nakos。

中身は、近作の例に漏れず高品質なデスメタルの路線。そのうえで重心が低くて、攻撃性が高い。わりと好きかな。

Boyerは2017年のバイオグラフィーで、2000年代に重く叩きつける音が出ていたのは、ツアーのPA担当だったCincottaがそのままプロデューサーだったからだろう、と話している。そのCincottaから離れた今作のほうが、割と重く叩きつける音になっていると思う。プロデューサーの違いもあるのかも?

9曲目の"Ignorant Deprivation"は、1993年の『Breeding the Spawn』からの録り直しで、この曲だけFrank Mullenがゲストで歌っている。あの記事で、収録曲のほとんどが後の作品で録り直されていると一覧にしたうち、いちばん新しいのがこれだ。作詞のクレジットは当時のドラマーMike Smithのまま。

これで『Blood Oath』から4作続けて、アルバムの最後が『Breeding the Spawn』の曲の録り直しになった。前作の記事ではこれを「この時期の締め方」かもしれないと書いたが、ボーカルが替わってもそのまま続いている。

評価

★★★★-

近作の流れを踏襲しつつもバランスがいい。メンバーの違いがあるのかしら? カッコいいです!

Suffocation / ...Of the Dark Light

Of the Dark Light

Of the Dark Light

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  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2017/06/09
  • レーベル: Nuclear Blast
  • メディア: CD

Suffocationの『...Of the Dark Light』をレビュー。2017年6月、Nuclear Blastから。全9曲35分17秒で、Suffocationのアルバムでいちばん短い。

ドラムのEric MorottiとリズムギターのCharlie Errigoはこれが初参加で、ボーカルのFrank Mullenはこれが最後。残っているのはギターのTerrance HobbsとベースのDerek Boyerだけで、メンバーはかなり入れ替わっている。プロデュースは『Souls to Deny』と同じJoe Cincottaなので、再結成の1枚目とMullen最後の1枚が同じプロデューサーになる。

最後の9曲目"Epitaph of the Credulous"は、『Breeding the Spawn』からの録り直し。『Blood Oath』も『Pinnacle of Bedlam』も最後の曲が録り直しだったので、この時期の締め方になっていたのかもしれない。

Morrisoundが好きすぎるのかもしれない

きれいで品質も高いけど、あまり印象に残らなくて、聴き返す頻度が低い。前作の記事ではドラムが替わって音がどう変わったかを気にしていたけど、今回はそこを聴き分けるほど聴き返していない。

『Effigy of the Forgotten』や『Pierced from Within』の、タンパで録った音を基準に聴いてしまっている気がする。デスメタルって、多少の粗さや雑味、もっと言えば人間味があるほうがいいと思うときがある。この盤はきれいすぎるのかも。好みの問題だけど。

評価

★★★--

低いというより、まだ評価に至っていない感じ。前作でも似たようなことを書いた。まあ、現時点では高くはない。

Suffocation / Pinnacle of Bedlam

Pinnacle of Bedlam

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  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2013/02/15
  • レーベル: Nuclear Blast
  • メディア: CD

ドラマーが替わると、バンドの音はどこまで変わるのか。Suffocationを順に聴いてきて、これがずっと頭の隅にある。

『Blood Oath』の記事で、Mike Smithのドラムはフルアルバムではあれが最後になる、と書いた。それ自体は間違っていないのだが、クレジットを見直したら、この『Pinnacle of Bedlam』でも最後の1曲だけゲストで叩いていた。完全に抜けたわけではなかった。ほぅ。

2013年2月、前作に続いてNuclear Blastから。気づけばすっかり大手のバンドだ。全10曲で38分22秒と、今回もコンパクトにまとまっている。本編のドラムはDave Culross。ギターのGuy Marchaisはこれが最後の参加作になる。

いきなり高速

1曲目の"Cycles of Suffering"は、頭からいきなり高速で来る。

『Blood Oath』のミドルテンポの幕開けとは真逆で、アルバム全体でもスピードが上がって、攻撃的なデスメタルになったなという感じ。ギターサウンドもドラムも含めて、高品質なブルータルデスメタル、というのが一番近い言い方だと思う。

で、ドラムが違うのが大きく感じる。メンバーが替わったと知っているからそう聞こえるだけかもしれない。ただ、4曲目の"As Grace Descends"あたりで裏拍のブラストが目立つからかな、という気もしている。気のせいか。

"As Grace Descends"自体は、前作の流れを汲んでいるのだろうか。アイコニックなリフで爆走しつつ、メロディックでダークなギターソロを差し込んでくる。スピードを落とすところもダークなままで、明るくはならない。

この曲に限らず、この辺のSuffocationはハーモニーリフが多い。メロディに富んでいる、という意味ではない。リフが重なって響きを作っている、という意味で。

最後の1曲だけ、元のドラマー

10曲目の"Beginning of Sorrow"は、1993年の『Breeding the Spawn』からの録り直しだ。あの記事で、収録曲のほとんどが後年に録り直されていると一覧にしたうちの1曲で、その録り直し先がここになる。そして、この曲だけMike Smithがゲストで叩いている。

評価

★★★--

高品質なブルータルデスメタルなのは間違いない。じゃあよく聴くかというと、あんまり聴かないんだよね。なんでかな。自分でもまだわからない。

Suffocation / Blood Oath

  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2009/07/03
  • レーベル: Nuclear Blast
  • メディア: CD いつもAmazonリンク張ってるけど、見つからず・・・

1曲目の"Blood Oath"が、ミドルテンポで始まる。

Suffocationの新作の頭と聞けば、変拍子のリフとブラストでいきなり殴ってくるものだと身構える。そこへ硬い音で、腰を落としたリフが引きずるように鳴り出すので、最初は正直ちょっと地味に聞こえた。……気がしないでもない。

2009年、Nuclear Blastから。2006年のセルフタイトル作をひとつ飛ばして、先にこっちを聴いている。理由は後で書く。

きれいなMorbid Angel

"Blood Oath"は3分56秒。2分くらいからブラストの爆走はちゃんと来る。ただ曲全体で目立つのは、スローに引きずる感じのほうだ。速いところも速いのに、性急さや前のめり感が無い。悪い意味ではなく、どっしり構えたまま速く走っている、という感じ。

で、実はベースがバキバキ。今回の専任ベーシストはDerek Boyerで、『Souls to Deny』でベースをギターとドラムが分担していたのとは話が違う。ヘッドホンで聴くとこれがとにかく気持ちいい。ギターも輪郭がくっきりしていてヘヴィ。

聴いていて何かに似ていると思ったら、Morbid Angelだった。全体にダークな空気があって、フラッシーなギターソロもそっち寄り。きれいに録ったMorbid Angel、というのが一番近い言い方な気がする。

2曲目の"Dismal Dream"は3分18秒の爆走曲。ここでもリフがメロディックとすら言える動きをしていて、それがかえってダークさを強調している。ギターがハモったりするのもそれっぽい。6曲目の"Mental Hemorrhage"も同じ手触りだ。

いや、全体としてはちゃんとSuffocationなのだ。ただ、そういう要素が結構目立つ。悪くないけどね。

"Marital Decimation"の答え合わせ

飛ばして先にこっちを聴いた理由がこの10曲目、"Marital Decimation"。『Breeding the Spawn』の記事で、あの盤の曲はほとんどが後年に録り直されている、と書いた。そのうちの1曲の録り直し先がここだった。1993年に「曲はいいのに音で損をした」と思っている曲が、16年後にどう鳴るのかを確かめたかった。

聴いてみると、リフと勢いで押していく感じで、アルバムの他の曲とは結構違う。……と書いてから、わかったうえで聴いているからそう思うだけかもしれない、という気もしてきた。

いや、やっぱり曲調が違う。初期っぽい。

脱線すると、この盤でSuffocationは初めてBillboard 200に入っている(135位)。デビューから20年近く、あれだけ影響力のあるバンドがここで初チャート入り、というのがどうにも不思議で、むーん、デスメタルの「売れる」と「効く」は別の物差しなんだなと改めて思った。Mike Smithのドラムは、フルアルバムではこれが最後になる。

評価

★★★★-

ヘッドホンでベースを浴びるための一枚。ダークさに寄ったぶん地味に聞こえる瞬間はあるけど、悪くない。

Suffocation / Souls to Deny

Souls to Deny

Souls to Deny

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  • アーティスト: Suffocation
  • 発売日: 2004/04/27
  • レーベル: Relapse Records
  • メディア: CD

ジャケットを見た瞬間に「あ、Dan Seagraveだ」とわかる絵というのがあって、これはまさにそれだった。青灰色の、骨なのか建築物なのか判別のつかない有機的な塊。Morbid AngelやEntombedのあの筆致と同じ手から出ているのが、説明されなくても伝わってくる。デスメタルのジャケットで「誰が描いたか」が一目でわかる人って、そんなに多くない気がする。

で、中身の話。Suffocationの4作目『Souls to Deny』は2004年4月27日、Relapse Recordsから。前作『Pierced from Within』から9年空いている。間にバンドは一度解散していて、2003年に再結成してから最初に出したのがこれだ。ニューヨークのPort JeffersonにあるFullForce Studioで、2004年の1〜2月に録音。プロデュースはJoe Cincotta、マスタリングはScott Hull。全8曲で38分20秒と、カタログの中でもかなり短い部類に入る。

9年ぶりの復帰作というのは、期待と不安が半々で聴き始めることになる。ブランクのあいだに耳のほうが変わっているかもしれないし、バンドのほうが変わっているかもしれない。結論から言うと、変わっていたのは音の質感のほうだった。

"Deceit"と"Surgery of Impalement"

1曲目の"Deceit"で、まず音の硬さに気付く。『Pierced from Within』のMorrisoundの鳴りが「厚みと輪郭の両立」だったとすれば、こっちは輪郭のほうに全振りしている。ギターの歪みが乾いていて、リフの刻みの一つ一つが分離して聞こえる。2000年代のデスメタルらしい音、と言ってしまえばそれまでなのだが、Suffocationの複雑なリフとは相性がいい。何をやっているかが見える。

Frank Mullenのボーカルも、9年前より前に出ている。低いガテラルの芯は変わっていないのに、埋もれずに言葉の切れ目がわかる。これは録り方の違いだと思う。

4曲目の"Surgery of Impalement"が、このアルバムで一番繰り返し聴いた曲だ。3分51秒で本作最短、つまり余計なものが削がれている。しかも中身は全部入りで、出だしは3連のリズム、そこからブラストで爆走に入る。1分半あたりでテンポを落としてギターソロ。ビートダウンというほど腰を落とすわけでもなく、速度だけ落として旋律を通す感じで、これが済むとまた爆走に戻る。基本的に攻撃的な曲なのだが、2分半くらいに引きずるようなスローリフが一度挟まって、そのうえで最後にもう一度爆走して終わる。3分51秒にこれだけ詰めておいて、詰め込んだ印象にならないのがうまい。

6分3秒ある"Immortally Condemned"は本作で一番長いが、取り立てて他と違うわけでも、掴みづらいわけでもなかった。長さのぶん展開が多いだけで、やっていることは地続きだと思う。むしろ引っかかるのはここでも音の質感のほうで、「おや」と思うのはそっちだ。

ベーシストがいないアルバム

面白いのはここで、このアルバムの録音時、バンドにベーシストがいない。 クレジットを見ると、ベースはTerrance Hobbsとドラムを叩いているMike Smithが分担して弾いている。

Smithの復帰も大きい。『Breeding the Spawn』の後に一度離れて、『Pierced from Within』ではDoug Bohnが叩いていたわけだから、Smithがフルアルバムで戻ってくるのは11年ぶりになる。加えて、オリジナルメンバーのギタリストGuy Marchaisがここで初めてレコーディングに参加している。結成初期にいた人が、再結成でようやく盤に名前を刻んだ、という格好だ。

こういう内情を知ってから聴くと、音の硬さが「予算や環境の都合」ではなく「今のメンバーでもう一度やる」という意思表示に聞こえてくるから不思議なもので。まあ、これは後付けの聴き方なので、話半分に。

評価

★★★★-

復帰作として十分以上。"Surgery of Impalement"の全部入りっぷりだけでも元は取れる。音の質感で「おや」となる分を引いて、★4がちょうどいい。