めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。

Deiphago / Into the Eye of Satan

Into the Eye of Satan

Into the Eye of Satan

  • アーティスト:Deiphago
  • 出版社/メーカー: Hells Headbangers
  • 発売日: 2015/08/07
  • メディア: CD

フィリピン出身(活動拠点はコスタリカ)のブラック/ベスチャルメタルバンド DeiphagoのInto the Eye of Satanをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 新譜買ったので、過去作を一通り聞きなおしてみてる。

2.内容

 Hells Headbangers Recordsから2015年リリースの4thフル。
 ノイジーに歪んだベースと、輪郭の見えない低音リフやめちゃくちゃに弾いているかのようなギターソロ、ストップ&ゴーを繰り返しグラインドコア的な混沌としたサウンドを持つドラムが構成する、超高速・ハイテンションなBestial/Warブラックメタルは不変。
 ボーカル・ギター・ドラム・ベースというトリオ編成のはずなのに、このバンドはアルバムに封じ込められた音圧というか、ミチミチとした圧迫感を感じさせる空間の埋まり方。ブラスト+ギターソロ+デスヴォイスが組み合わさると、もはや何が何だかわからない。物凄い圧力を感じるブルータルなサウンドだ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 バランス的にはこれが一番好きかなー。

4.どのような人に推奨するか

 引き続き、メロディ不要の突撃デスメタルサウンドが聞きたいエクストリームメタラーにおススメ。このバンドの中では、この4thと5th "I, The Devil"が、入手しやすさ・聞きやすさの観点で入門に良い。

マイケル・ファラデー / ロウソクの科学

ロウソクの科学 (角川文庫)

ロウソクの科学 (角川文庫)

マイケル・ファラデー / ロウソクの科学 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 本屋をうろうろしているときに「ノーベル賞受賞者が読んでいる本!」と話題になっていた。2019年ノーベル化学賞を受賞した吉野 彰さんがこの本をきっかけに化学に興味を持ったということで、買ってみた。

2.内容

 原著…といか原典は、1861年ロンドン王立研究所で行われたファラデー自身による全6回の講演会。これを見石巌さんが日本語に翻訳し1962年に角川文庫から初版が発行されたものが本作。
 1本のロウソクが燃えるという事象を出発点として、燃焼とは何か、何が燃えているのか・燃えるときに必要なもの、燃えた結果生成されるもの(水)、大気との同質性、人間の呼吸と燃焼の類似性などを、一般の人たちに向けた講演会だけあって1つ1つ丁寧に平易な説明を重ねていく。説明には常に実験(実証)が伴っている。中学理科で私もやったような、水の電気分解(2H2O⇒2H2 + O2)や、収集した水素の燃焼(ポンという音で小爆発し、水が出来る)など。これらの実験には挿絵が付いているものの、動きがないのでちょっとわかりにくいかもしれない。講演会ではこれらの実験をリアルタイムで見ながら現象を確かめられるので、見ている方はさぞかし楽しかっただろうと思う。
 後書きにもあるように、訳者のスタンスは「実験の部分だけに重点を置くのではなく。ファラデーの自然や人間に対する独特なありかたに対しても同等の比重を与え、講演の雰囲気を再現」しようとしている。この時70歳のファラデー自身も興が乗っているのか楽し気によく話す様子が見て取れる。これはファラデー自身の話術に加えて翻訳の巧緻さによるものだと思われる。まさしく講演会のように聴衆に語り掛けるスタイルで書かれたこの本は、非常に読みやすく面白い。ちょっとした中学化学の覚えなおしにもなる。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 これは名著。化学って面白いんだなって思える。本講演に沿った実験動画を見たいなぁ。

4.どのような人に推奨するか

 化学に興味がある人、ファラデーのことを知りたい人、おススメします。実験部分さえ理解できれば、子供が読んでもいい本だと思う(子供向けの企画本もありそう)。

Alcoholic Rites / Fermented In Hell

エクアドルのブラック/スラッシュメタルバンド Acoholic Rites / Fermented In Hellをレビュー。Amazonにはないので、Bandcampを貼る。

1.作品を選んだ理由

 ジャケ買い

2.内容

 2013年の2ndアルバムで、Nyarlathotep Recordsからのリリース。ニャルラトホテプですね。クトゥルー神話ですね。ニャル子さんですね。どっちも読んだことないけど。

 大体想像通りの汚いブラックスラッシュアルバムです。めっちゃ南米っぽい。やたら前に出てうるさい呪詛系吐き捨てボーカル、ストレートなリフにドカドカとうるさい突進ブラストビート(頭打ち多し)が強烈なんだけど、リフそのものは軽快でキャッチーなリフをザクザクと刻んでくれている。南米でいえばMutilator "Immortal Force"とかなのかもしれないけど、あれよりもう少しだけ陽性の雰囲気が感じられるのは、この軽快なリフのおかげか。Whiplashの"Power and Pain"とまでは行かないが。  #4 "Alkol & Blood"なんて特に陽性スラッシュ感が強く、極めてストレートな刻みリフにわかりやすいタイトル連呼系コーラス、ブリッジでテンポを落として、その後再疾走と、とってもわかりやすい楽曲。そのほかもタイトル連呼系の曲は多いですね…。ちなみに、あんまりギターソロは目立たない。あるけどね。
 ブラックよりデスよりもスラッシュ成分がほぼ100%。生っぽくて迫力があり、リフや楽曲はよくできている。ボーカルがやたら前に出てくるミックスはせっかくの演奏が聞こえづらいのでどうかなぁと思うけど、演奏自体は安定していて十分うまい。B級スラッシュとして評価できる。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 バンド名が「アルコールの儀式」だからか。邪悪さや治安の悪さより、ストレートなバカスラッシュの印象の方が強いかな。

4.どのような人に推奨するか

 内容欄に挙げたような、B級で小汚いスラッシュメタルが好きな人に推奨。

荒川裕子 / もっと知りたいラファエル前派

荒川裕子 / もっと知りたいラファエル前派 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 ちょっと前に三菱一号館美術館の「ラファエル前派の軌跡展」に行ったのだけど、図書館でこの本を見かけて復習がてら借りてみた。↓これね
metal-metal-slime.hatenablog.jp

2.内容

 奥付見てびっくり、2019年3月に出たばかりの東京美術の本。図書館って新しい本も普通に所蔵されるんですね。ラファエル前派自体の解説を私がする意味はないので、書籍の話をすると、ここでは特に19世紀イギリスにおけるラファエル前派の面々…ミレイ・ロセッティ・コリンソン・ウォーターハウス等の画家を中心に大きく取り扱っている。イギリス以外の話はあまりないです。

 前にも書いたかもしれないけど、ラファエル前派はそのプリミティブ精神とサブカルチャーブラックメタルの興りに似ていて好きなんだよね。メインストリームに対する反発と先祖返りの志向について、ラファエル前派は数百年前ルネサンス時代のラファエルを規範としたが、ブラックメタルは十年前の初期スラッシュメタルを規範としようとした。あと若者が集まって結成したサークル集団(ラファエル前派ではBrotherhood)であったところ。ラファエル前派の連中は★0から★4まででランク付けした芸術の巨匠たちを「殿堂入りリスト」として列挙していたらしいのだが、これやってることが本当にただの「ぼくの考えた最強の芸術家ランキング」で面白い。ブラックメタルの連中がVenomがイイとか初期Sodomが手本とか言っているのと同じだからね。

 イギリスのラファエル前派における多くの作品とその作品背景、ラファエル前派の興りや活動、関連メンバーのパーソナリティなどがかなりしっかり描かれていて、非常に勉強になる。先に挙げた「ラファエル前派の軌跡展」をかなり補完する内容になっていると思う。本書リリースの時期は展覧会の時期とも重なるので、企画に合わせて制作された書籍だったのかも。よく出来た入門書。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 このシリーズよさげ。図書館からの借り物だけど、所有したいから買おうかなと思える出来。

4.どのような人に推奨するか

 他にも類似品あるかもしれないけど、ラファエル前派を知りたい人におススメ。発売が近年であるという点と、絵も大きく載っている点がイイです。

Mattias Ia Eklundh / Freak Guitar - The Road Less Travelled

スウェーデンのテクニカル/ヘヴィメタルバンド Freak Kitchenのギタリスト、Mattias IA Eklundhのソロ作品をレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Steve Vaiから知ったスーパーギタリストシリーズで、ギターインストものが好きなので買った。Freak Kitchenも良かったしね。

2.内容

 2004年リリースの2ndソロアルバム。Freak Kitchenがあくまでボーカルを中心とした歌モノハードロック・ヘヴィメタルであるのに対して、これはエンターテインメントに全振りした楽しい(主にマティアス自身が)ギターアルバム。ワケの分からないギターサウンドとアイデアが満載。音の感触はマティアスなのでヘヴィなディストーションギターなのだけど、楽曲は言語で表現するのが難しい。近い作品を挙げるとするならSteve Vaiの"Flex-able"だと思うんだけど、それよりももっとファニーでシニカルな雰囲気が渦巻いているところがあって、Frank Zappaの一部作品だったり、メタル寄りだとElectrocution 250(こんなの知ってる人がいるのか)あたりが想起された。
 アイデアでいうと…#3 Print This!は、プリンタの印刷音をリズムに見立てて楽曲を展開する、ルロイアンダーソンのTypeWriter的な曲。#8 Chopstick Boogieは不思議な丸っこいアタック音のギターが聞けるが、多分曲名の通りお箸で弾いてるんだろうな…。有名な楽曲としてはDeep Purpleの"Smoke on the Water"をカバーしてるが、歌メロをマティアス流のハーモニクス満載に弾き倒すトンデモアレンジ(曲のストラクチャーは結構普通だけど)。まあいろいろやっている。
 やりたいことやってみました的ギターインストアルバムであり、とっつきやすいとは言い難い。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 ガチファン向け。楽曲のそのものに何度も聞きたくなるような魅力があるとは思わない。

4.どのような人に推奨するか

 Freak Kitchenのテクニカルな要素だったりマティアスのギターそのものに魅力を感じた方におススメ。それ以外の人は特に入手しなくていいと思った。

Freak Kitchen / Move

Move

Move

スウェーデンのテクニカル/ヘヴィメタルバンド Freak Kitchen / Moveをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Freak Kitchenの手持ちを一通り聞いていくぞ、の続き。

2.内容

 2002年リリースの5thフル。ここからリズム隊のメンバー2名がチェンジしているが、基本的にMattias IA Eklund<Vo, Gt>のバンドなので、大きな影響を感じたことはないです。メンバーのファンだった人すまん。
 全然作がポップ、前作がハード&ヘヴィに振り切ったサウンドだとするならば、この5thはその中間かしら。すなわち、1stや2ndのような感触に近づいたとも言えるのだが、自分はこの作品がかなりいいと思っている。ギターのサウンド自体は非常に骨太でファットだが、低音ゴリゴリのリフ一辺倒ではなくフレーズにバリエーションがあって非常によろしい。変則拍子も効果的に用いながらも、基本はキャッチーなメロディックロック。この作品は歌メロとテクニックのバランスがいいような気がしております。
 Youtubeで見たんだったか、真っ白な空間でただ3人が演奏しているだけのMVは#2 "Nobody's Laughing"。この曲が大変すばらしくて、基本的に全編5拍子で進む曲で、一発で覚えられるわかりやすいリフにコーラス、5拍子であることを忘れるスムースでメロディックなヴァースと、ポップ・ヘヴィ・テクニカルが鼎立している名曲。明るいミドルテンポの曲においてインタールードの高速変則拍子インストパートが光る#4 "Humiliation Song"、優しく歪んだギターとコーラスが印象的な#8 "Seven Days In June"、Meshuggah的リズムトリックリフが全編を貫くプログレ厨に刺さる#10 "Hateful Little People"あたりが好きかな。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 思い入れもあるけど、3rd~5thが好きなのです。

4.どのような人に推奨するか

 Freak Kitchenを最初に聞く場合、これでいいんじゃないですか?テクニカルな面がお好みなら4th "Dead Soul Men"へ、ポップな面がお好みなら3rd "Ⅲ"へと、次へのパスがわかりやすいのでおススメです。

Freak Kitchen / Dead Soul Men

Dead Soulmen

Dead Soulmen

スウェーデンのテクニカル/ヘヴィメタルバンド Freak Kitchen のDead Soul Menをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Freak Kitchenの手持ちを一通り聞いていくぞ、の続き。なお、自分はこのアルバムを一番最初に聞いたので、この作品が基準です。

2.内容

 2000年リリースの4thフル。ポップ度全開だった前作3rdからうって変わって、ゴリゴリでヘヴィなギターが全開な骨太ロックサウンドになっている。#1 'Silence!"からして、7/16拍子のヘヴィでハイスピードなリフを中心に、疾走するコーラス、シャッフルリズムで変態度の高い中間パートとギターソロと、3rdから2nd/1stを飛び越えてよりヘヴィでテクニカルな方向性を示している。
 クリーントーンアコースティックギターの出番は激減し、ディストーションサウンドによる歪んだリフが中心になっている。そのリフも刻み速弾きハーモニクスとなんでもアリで印象的なものが多い。複雑な拍子やリズムチェンジがマシマシなうえ、全体的に曲のテンポが上昇傾向というか、コーラスパートでさえも複雑な拍子のリフで押し通す勢いがあり非常にアッパーな雰囲気がある。前作の反動かしら。#7 "Dead Soul Men"とか#10 "Supermodel Baby"とか、ちゃんとメロディアスなコーラスを持つ曲もあるものの、全体としてはヘヴィ&テクニカル!

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 最初に聞いたので思い入れ補正もあると思うけど、自由度の高いギターと変拍子が好きで高評価。

4.どのような人に推奨するか

 1st~4thまでの中では一番テクニカルで変拍子が多いので、プログレメタル嗜好の人におススメする作品ならこれ。メロディ派は3rdを聞いてください。

東海林さだお / ガン入院オロオロ日記

ガン入院オロオロ日記

ガン入院オロオロ日記

東海林さだお / ガン入院オロオロ日記 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 妻が買ってきた。「ショージの本を買ってきたよ」というから芸人の品川庄司かと思ったら、東海林さだおだった。東海林さだおって、あの『アサッテ君』の東海林さだおやな?4コマ漫画しか知らなかったよ…。

2.内容

 2017年に文藝春秋社からリリース。筆者がガンで入院した時の体験エッセイを表題とする、エッセイ集(対談、鼎談形式の章もアリ)。

 病気そのものはあまり主眼でなくて、入院生活の「異界」ブリを軽妙な文体で、そこらへんのおっさんが病院帰りに話すような感じで書かれている。患者の命を握るガラガラ(イルリガートルスタンド…この本で初めて聞いたけど、今書くときにはもう忘れていたので調べた)、自分に何の根拠も選択肢もない食事のむなしさ(でもそれって学校給食とかも一緒かもね)、排せつを含めた全ての行動が病院管理下でお任せ状態になるある種の幼児退行状態…私は入院したことないからわからないけど、いろいろと出てくるもんだね。病院内のしょぼくれたおっさんが、電話で部下らしき人に叱責するのを見かけるシーン。きっと会社では重厚なスーツに身を包み要職に就いているのだろうが、ひとたび電話が終われば、ヨレヨレの病院服をしょぼくれたおっさんにたちどころに戻るという場面はなんだか諸行無常感がある。

 ちなみにタイトルの内容は前半1/3程度。後は雑多なエッセイです。鼎談・対談パートは、もともとは雑誌の文藝春秋かなんかに載ってたのかしら?『ねにもつタイプ』の岸本佐和子さんと、オリンピックがいかに嫌いでやめるべきかといった対談内容は…彼ら個人の感想なので文句はないが、テーマとしてあまり気持ちいいものではないね。批判的であること自体は別にいいんだけど、多分表現が気に食わない。対談形式がそもそも好みに合わないというで点もあるかも。でも、開会式と競技は全部やめて閉会式だけやろうとかいう提案だけはちょっと笑った。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★---
 何もない時に読む本。

4.どのような人に推奨するか

 特におすすめとかはしないけど、あまり何も考えずにぼーっと活字を読むことができるぞ。

Freak Kitchen / (self-titled)

Freak Kitchen

Freak Kitchen

スウェーデンのテクニカル/ヘヴィメタルバンド Freak Kitchen のセルフタイトル作をレビュー。セルフタイトル作なのか、「Ⅲ」なのかよくわからんのだが…。

1.作品を選んだ理由

 Freak Kitchenの手持ちを一通り聞いていくぞ。

2.内容

 1998年リリースの3rdフル。このアルバム最初に聞いて思ったのは、「ポップ度が高いなぁ」ということ。彼らのカタログの中でも実際、かなり軽めの作風になるであろう。#1 "We've Heart it All before"からして、アコースティックギターから始まりヘヴィな低音リフは殆ど顔を出さない一方で、よりキャッチーになって普通の歌モノロック感が増している。曲単体で聞くと全然いいと思うんだけど、1st/2ndのゴリゴリなギターとテクニカルな部分が好きな人には、このアルバムは物足りない感覚を覚えると思う。アコースティックギターの出番は大分増えているのと、ピアノ・マリンバといったその他の楽器も聞こえてきますよ。
 歌メロとコーラスがかなり強く前面に出ているので、歌モノとしてはこれまでの1st/2ndよりも全然評価できる。#1のほか、#3 "Michael and The Syndrome"とか、#11 "Tiny Little Second"とかわかりやすくて、ちょっと哀愁感のあるコーラスがあってええやんと思う。それに、ヘヴィリフや複雑なリズムが減ったとは言え、テクニカルなギターソロとテンションの効いたリフ/コードワークは健在。ヘヴィさの代わりにこれだけメロディが充実しているなら文句ない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 実は個人的にこのバンドにおけるヘヴィ要素はあんまり重要じゃないので。好きな曲は多い。

4.どのような人に推奨するか

 この作品は多分一番ポップでテクニカル度は低いので、一番メタラー向けではないと思われる。むしろメロディックロック好きに推奨します。

Freak Kitchen / Spanking Hour

Spanking Hour

Spanking Hour

スウェーデンのテクニカル/ヘヴィメタルバンド Freak Kitchen / Spanking Hourをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Freak Kitchenの手持ちを一通り聞いていく。

2.内容

 1996年リリースの2ndフル。前作からの違いはあまりなくて、引き続きシンプルなメロディーにコーラスワークを持ったロックサウンドに、一癖も二癖もあるリズムとギターが絡む音楽性。
  サウンド的には今回の方がよりビッグでプロフェッショナルな感じがする。楽曲の方向性は大体一緒なんだけど、各要素がより洗練されたというか。エクストリームな部分はよりエクストリームに、キャッチーな部分はよりキャッチーになったのではないでしょうか。ギターの変態度やややこしいリズムはある部分では強烈になっている一方、全体の印象としてはよりメロディアスな方向性に行っている感じがした。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 1stと2ndは結構近いと思うけど、2ndの方が好きかなぁ。

4.どのような人に推奨するか

 メタラー向けという気はしないが、ヘヴィでテクニカルなギターとキャッチーなロックが行ける人に。このバンドの最初の作品としても聞きやすいと思う。この作品はメロディ寄りという気がする。

体験記:ルノワールとパリに恋した12人の画家たち(横浜美術館)

artexhibition.jp

体験記シリーズ。ルノワールとパリに恋した12人の画家たち 展に行きました。

1.鑑賞のきっかけ

 企画展そのものを目的として行ったのではなく、そごう美術館の『不思議の国のアリス展』に行ったついで。あとこの美術館も行ったことが無かったので見てみたかった。 ↓アリス展

2.内容

 横浜そごう美術館から日産自動車の本社ギャラリーを抜けてみなとみらい方面へ。途中のMARK ISで軽食を取り、目の前の横浜美術館へ。横浜来たのは大分久しぶりだったんだけど、グランモール公園含め幾何学的に整備されていて綺麗だなと思った。

 初めての美術館で入口に戸惑いつつ、チケットと音声ガイドをゲット。本展示会はフランス・パリのオランジュリー美術館(オルセー美術館と兄弟関係にあるような美術館らしい)のコレクションを借り受けることで実現したもので、19~20世紀を生きたヨーロッパの画家たちの名作が楽しめる。
 タイトルにルノワールを冠しているのは、取り上げられたメンバーの中で最も有名だからだろうか。展示会は計13人の画家たちを1章で1名ずつ順番に紹介していく極めてストレートな構成。一人一人の作品点数はそんなに多くなく5~6枚が基本。出品リストを見るとわかるが、1作品のみの画家もあった。美術館単位の企画展だと「どの美術館が何の作品を保有しているか」の勉強になるね。
 音声ガイドは上白石萌音さんとBGMピアニストに福間洸太朗さん。可愛くも落ち着いた良いガイド。

 ちなみに、企画展のチケットで常設展(コレクション展)も見れる。疲れててざっとしか見なかったので感想は省略するが、江戸~第二次世界大戦後までの長い期間の中で様々なテーマ設定の元、近現代画家による絵画・彫刻などが紹介されていた。企画展よりこちらの方がボリュームがあるくらい。プリツカー賞を受賞している丹下健三の設計による美術館そのものも見どころ!

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 …と、総じて良かったと思う。個人の問題だけど、ハシゴすると後半は集中力が低下していてよくないね。

4.どのような人に推奨するか

 テーマ通りのわかりやすい企画展なので、興味ある画家が出品しているならば行ってみては。常設展も含めるとボリューム大なので、ハシゴせず単独鑑賞の方がいいかも。

Ex.ギャラリー

館内の看板

展示内で唯一撮影可能だったポールギヨーム邸宅のミニチュア再現

外観。綺麗。

Freak Kitchen / Appetizer

Appetizer

Appetizer

スウェーデンのテクニカル/ヘヴィメタルバンド Freak Kitchen / Appetizerをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 久しぶりに聞いたので。ワイはテクニカル・プログレッシブなメタルから入ったので、こういうの好きじゃよ。

2.内容

 1994年リリースの1stフル。Mattias IA Eklundのテクニカルでぶっとんだギターとリズム隊によるリズムトリックをふんだんに取り入れつつ、シンプルな構成やメロディーにコーラスワークを持ったキャッチー&ファニーなメロディックロックをやっているバンドです。
 Mattiasはボロボロに錆びついた弦に、テープレコーダーだかをアンプでとしてこのアルバムのギターサウンドを作ったとかなんとかありますが、本当でしょうか?鋭くも分厚く歪みよく伸びるギターサウンドからは、全くそのようなチープさは感じ取れない。まぁ確かに2作目以降の方がよりファットなサウンドだとは思うが…

  #1 "Blind"で即わかるFreak Kitchenの特徴。一般的な4拍子のドラムに11/16拍子のギターリフ、ヘヴィながらも歌心のあるブリッジと、わかりやすいキャッチーなコーラス、どうやって弾いているのかさっぱり分からないギターソロと、基本的な要素が詰まっている。#2 "Appetizer"のギターソロなんかは、彼らのFunnyな要素が出ていると思うのだが、喜劇アニメのような陽気なメロディがちょくちょく登場するのも特徴。#4 "Hollow"のようにJazzかBossaNovaかというような複雑なコードを用いた湿っぽい曲もあり、音楽的な知識への造型の深さを感じさせる。
 Mattias自身によるボーカルは、所謂ハードロック/ヘヴィメタルのハイトーンだったりオペラティックなボーカルワークでは全くなく、ややシャウト気味に歪みつつもメロディをしっかり歌い上げるロック的な歌唱。そこが物足りないという人もいるかもしれないが、とにかくボーカルはヘヴィメタル的な印象を弱めている。悪い意味ではなく、キャッチーな曲調と相まって、聞きやすさにつながっていると思います。歌詞は結構皮肉っぽいらしいのだが。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 様々な曲調が納められていて、1stにしてバラエティに富んでいるが、そのどれもがFreak Kitchenらしい。

4.どのような人に推奨するか

 自分はStve Vaiなどのソロギタリスト勢から、Mattias及びFreak Kitchenに到達した。Vaiのテクニカルさをさらにエクストリームにしつつ、キャッチーな歌モノをやっている感じ。メタル要素にはあまり期待せず、基本は歌モノであることを認識して聞いてね。

Genocide Shrines / Manipura Imperial Deathevokovil

スリランカのブラック/スラッシュメタルバンドGenocide Shrines / Manipura Imperial Deathevokovilをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 何年か前にレビューサイト等で絶賛されていたのを見て欲しかったんだけど、現物を見たことが無かった。この度入手しましたのよ。

2.内容

 2015年の1stフルアルバムで、Vault By Dried Bone Recordsからのリリース(どこや…)。2011年から活動の結構新しいバンド。みんなスリランカ知ってますか?インドの先っぽにある小さな島国ですよ。仏教国で、お茶(セイロン)が有名です。

 そんなところから出てきた、Blashpemyスタイルのベスチャルブラックメタルアルバムです。曲のストラクチャーは結構デスメタル寄りで、高速ブラストビートやフィルインを多用したハイスピードなプレイと突進力はとってもデスメタル的。ギターは真っ黒に歪んだサウンドトレモロリフをかき鳴らすわけだが、これがリチュアルで崇め奉りたくなるような雰囲気を持ったメロディがちょいちょい聞こえて、リフだけでいえばちょっとだけMorbid Angelのような感触も。

 それでもやはりベスチャルブラックメタルっぽさを主張するのは、ドカドカとやかましくエコー感のある生々しいこの演奏!プレイングスキルは非常に高いと見え、粗野で乱雑でありながらポンコツな印象は全くなく、逆にその荒々しさが渾然一体とした邪悪な雰囲気を作っている。曲(リフ)が単調にならないように工夫が凝らされていると思うし、そのリフが聞き取れるサウンドになっている。単純にデスメタルとして聞いても魅力的。真っ黒で妖しいジャケもカッコイイですね。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 これは話題になるだけある。素晴らしい。

4.どのような人に推奨するか

 Blashphemy、Revenge(J.Read関連)、Bestial Raids等の突貫ベスチャルが好きな人には強力におススメ。

時実象一 / 研究者のコピペと捏造

研究者のコピペと捏造

研究者のコピペと捏造

時実象一 / 研究者のコピペと捏造 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 図書館でタイトル借り。

2.内容

 2018年に樹村房社からリリース。研究者の世界における論文の剽窃や捏造の解説集。旧石器時代の発掘捏造、STAP細胞などのニュースになった事例なども紹介されている。剽窃や捏造は必ずしもこれをその意図があって行うものではなく、よい研究結果を示すための誘導的な資料の切り取りなどが結果的に捏造に該当してしまうというケースが多いようだ。まあそうかなという気がする。自分は研究職じゃないけど、レポートや報告書を書く際は結構都合のいい情報を切り取って提示したりしますよ…。  日本の麻酔学者が2位を倍近く引き離す捏造数で世界1位を誇る(誇れないけど)という話が面白かった。研究論文が評価される流れ、査読の仕組み、論文の「取り下げ」等についても知ることができるので、それなりに面白い本。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 まぁ雑学本のレベル。

4.どのような人に推奨するか

 私のようにタイトルで「おやっ」と興味を持つ人は雑学本として読んでみては。

Deranged / Obscenities in b-flat

Obscenities in B Flat

Obscenities in B Flat

スウェーデンデスメタルバンドDeranged / Obscenities in b-flatをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 スゴイ昔に2nd "High on Blood"を名作だってことで買ったことがあるのだ。

2.内容

 相変わらず血まみれなジャケットだなぁ。2006年リリースの6thフルで、Listnable Recordsからのリリース。今も活動してアルバム出しているっぽいねぇ。

 スラッシュ由来のやや乾いた音で刻み中心のヘヴィなリフを持つオールドスクールデスメタル。北欧だけど所謂スウェディッシュデス的な感じではなく、US系のストレートでテクニカルなデスメタルをやっておる。ファストなブラストビートをポコポコと叩きツーバスを打ち鳴らすが、全体的にリフが面白くなく全体的勢いをあんまり感じないというか。ボーカルはドスの効いたグロウルでいいと思うんだけど、ブルータルデスメタルというほどの元気や速さがあるわけではなく、リフや展開が特徴的ともあまり思えないので魅力が薄い。サウンドプロダクションによる部分もあるかもしれないかなぁ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★---
 あんまし!

4.どのような人に推奨するか

 うーん、B級US系デスメタルを聞きたい人に。でもできれば2ndから聞けばいいと思うよ。