Symphony X / The Divine Wings of Tragedy
Divine Wings of Tragedy (Spec) (Dig)
- アーティスト:Symphony X
- 発売日: 2004/01/13
- メディア: CD
アメリカのプログレッシブパワーメタル、Symphony X / The Divine Wings of Tragedyをレビュー。
1.作品を選んだ理由
最近Symphony Xばかり聞いていますシリーズ。
2.内容
1996年に日本のZero Corporationから(1997年にInside Out Recordから)リリースされたバンドの第3作。日本で先行発売されるくらい人気だったんですねえ。
20分を超える大作の表題曲を始めとして、楽曲の構成力がどんどん上がってきている。一方でネオクラシカルで妖艶なメロディにも磨きがかかっており、ヘヴィさとメロディとプログレッシブさのバランスが彼らのカタログの中で最もいいんじゃないかと思わせる。
ところで、このアルバム、発売当時はヘヴィになったとかPanteraっぽくなったとか言われたってマジですか?2nd "Damnation Game"と連続で聞いても全然そうは思えないんだが。当時の感覚ではそうだったのか?#1 "Of Sins and Shadows"のリフだけ聞いてそう判断したとかかね。
閑話休題。1曲1曲の質の高さは過去最高です。#1 "Of Sins and Shadows"のテンションの高い歌メロに中間のQueen的な大仰なコーラス、からのギターソロとキーボードソロのバトルは素晴らしい。#2 "Sea of Lies"はRacer XのTechnical Difficultiesかな?というような細かく刻まれるリフとエキゾチックなメロディ、超高速なシーケンスギターフレーズが聞きどころ。#3 "Out of the Ashes"はイントロからクラシカルなメロディにハープシコードの乱舞で最高にニヤニヤできる。#4 "Accolade"はImages and Words期のDream Theaterを思わせるキラキラしたキーボードを中心にメロディックに展開するエピック曲。こういう曲がこのバンドはうまい。#5 "Pharaoh"はタイトルそのまんまにエジプシャンな音階で展開される佳曲。#6 "Eyes of Medusa"は本作の中では最もヘヴィ寄りの曲かな。地を這うようなザクザクしたリフを中心に展開するミドルテンポの楽曲。#7 "The Witching Hour"はイントロから1st "Masquerade"レベルの怪しげなメロディが連発されるニヤニヤもんの楽曲。#8 "The Divine Wings of Tragedy"はオープニングの重層的なコーラスから心を引き付けられる。このバンドの集大成のように彼らの音楽性・パターンが詰めこまれた聞きごたえのある曲。#9 "Candlelight Fantasia"はラストにしてゲロ甘で最高にメロディアスなパワーバラード風の楽曲。とにかくサビメロが超いい。
このアルバムは本当に楽曲の魅力が凄いです。メロディもインストパートもどうにも「キャッチーになりきれない」絶妙なラインであり、それが一聴した時の地味さにつながるわけですが。周回で聞きこんでいくと、どこもかしこも聞いてて面白いパートばかりです。プログレメタルおじさんも納得。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
文句なしに素晴らしい。
4.どのような人に推奨するか
基本的には2ndの延長です。ネオクラ要素、プログレメタル要素がバランスよく配合されて高レベルにブラッシュアップされている。パワーメタルっぽい曲よりエピックな曲の強力です。ネオクラ・プログレメタル好きに超おススメです。このバンドを初めて聞く方は、これが1作目としていただくのが良いでしょう。ちなみに、初期より最近の作品の方向性を知りたいのであれば、後2015年作"Underworld"を推奨します。