めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

柞刈湯葉 / 人間たちの話

人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA)

人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA)

柞刈湯葉 / 人間たちの話 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 ハヤカワ文庫JAでSFもの読みたいなぁと思ったときに、『日常』などで知られるあらいけいいちさんの表紙が目に留まりました。表紙がキャッチーで何より。

2.内容

 2020年にハヤカワ文庫JAからリリースされた作者初のSF短編集。寒冷化が進んだ地球で雪原の旅を続ける少年を描いた『冬の時代』が、なんだかエモーショナルで好きです。長編にしてくれてもええんやで。たのしい超監視社会は作者自身も言うようにオーウェル1984』をベースにした喜劇的オマージュ。突然部屋の真ん中に岩が表れる『記念日』あたりも好きですね。藤子F氏の短編の中で「おやじロック」とかいう室内設置用の実質ただの岩が売られていたが、あれを思い出した。
 全6編。1編あたり50ページ前後で長くもなく、小難しいこともなく、各アイデアを楽しく読めた。作者の他の作品が出たら、今後も買おうと思った。横浜駅SFはまだ読んだことないけど。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 良き。

4.どのような人に推奨するか

 結構ポップなSFで、作者のアイデアを楽しむ系の作品です。世界観自体がハードであっても、表現がポップなので読みやすいし読後感がいいです。そういうのをお求めであればおススメです。