小川一水 / ツインスターサイクロンランナウェイ
ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA)
- 作者:小川 一水
- 発売日: 2020/03/18
- メディア: 文庫
小川一水 / ツインスターサイクロンランナウェイ のレビューです。
1.作品を選んだ理由
端的に言って表紙買い。望月けいさんの繊細な筆致と抑制された暗めで淡い色使いの美少女絵に魅かれました。目についた理由は「百合SFフェア」という帯が目を引いたからですがね。本作の前に同フェアで『少女庭国』を買ったりしました。こういうフェアでこうやって買う人間もいるんだから、出版各社は是非こいった宣伝を打ってほしいものです。きっかけになります。
2.内容
元となる話は『アステリズムに花束を』というハヤカワ文庫JAのオムニバス作品集に短編として収録されているらしいですね。それが人気だったので、長編として再構成&文庫書き下ろししてハヤカワ文庫JAから2020年にリリースされたものが本作であるようです。なるほど。
世界観とお仕事がまずステキである。人類の生息域が宇宙に十分広がった世界で、ガス惑星の大気を泳ぐおさかなを捕まえる漁師たちが暮らしている。漁師は夫婦の男女ペアでやるのが当たり前(それ以外は規則的にも社会通念的にも認められてない)という中で、主人公のテラちゃん(大きい子)とダイオードちゃん(ちっちゃい子)が女の子二人ペアで漁に挑んでいきます。
冒頭の伝説(昔話)、テラちゃんの日常、ダイオードちゃんとの出会い、漁の成功/失敗、ダイオードちゃんの家族、危機にスペクタクル、伝説との邂逅とお手本のようにわかりやすいストーリー展開。たくさんの造語を交えつつ世界観を丁寧に描写しつつ、あくまで主人公の2人にフォーカスされていてすごく読みやすかったです。
自分はそんなに気にならなかったけど、はわわ少女と強気ロリのキャラ造型とセリフ回しはややテンプレ的な嫌いもあるかな?妻は「男が書く女子感が強い」と言ってました。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
順当にエンターテインメントで面白かったです。
4.どのような人に推奨するか
キャラも世界観もストーリーもちゃんと描写されていて、そのままアニメになりそうな作りこみだなぁと思いました。少女二人がキャッキャウフフしているので、百合SFと言えば百合SFかもね。なんか続編を執筆中という話を見かけた(2021/2現在)ので、続編出るなら読みたいかな。