めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

バリントン・J・ベイリー / カエアンの聖衣[新訳版]

バリントン・J・ベイリー / カエアンの聖衣[新訳版] のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 SFマガジンのハヤカワ文庫50周年記念号での書評で。「アホやこのひと…」とまでの最高の賛辞を送られていた本書がとても気になっていたのだ。

2.内容

 原作は1976年で、元は1983年に冬川亘訳で出ていたものが、この度の新版では大森望訳となって2016年にハヤカワ文庫SFから再登場。この作品を表現する「ワイドスクリーン・バロックSF」というジャンルが理解できたとは思っていないが、バカSFと言われるほどスケールが大きく荒唐無稽な設定がたくさん出てくるユーモラスな作品。テーマは「着る人を支配する、力ある着衣」…衣服と言う生物と言ってもいいのかもしれないが、とにかくその生命体と服飾屋を巡る壮大な宇宙の話。設定とアイデアの奔流が物凄いという点は極めて同意するけれども、別に陳腐だったり子供騙しだったりするわけではない。エンターテインメントとしての質は非常に高いし、想像を超えるような情景でありながらなんとなく絵が頭に浮かぶ絶妙なアイデアなんだよね。これは確かに面白い。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 書評を信じて良かった。

4.どのような人に推奨するか

 『天元突破グレンラガン』『キルラキル』はこの作品がベースらしい。その2作品は見たことないけど、解説の設定を読むと確かに納得できる。アニメ視聴者におススメするのと、そうでなくても映画的でエンターテインメントな作品を読みたい人に普通におススメ。おもしろい映像が頭に浮かびます。