バリントン・J・ベイリー / ゴッド・ガン
- 作者:バリントン J ベイリー
- 発売日: 2016/11/30
- メディア: Kindle版
バリントン・J・ベイリー / ゴッド・ガン のレビューです。
1.作品を選んだ理由
『カエアンの聖衣』が面白かったので、こっちの短編集も手を出して見たよ。
2.内容
1962年~1996年にかけて発表された日本独自編集の短編集だそうです。2016年にハヤカワ文庫SFからリリースされた、比較的新しい書籍ですね。こういうの出してくれるとありがたいですね。あと表紙がカッコよくてイイですね。やはりSFの表紙はこういう、とりあえずウィトルウィウス的人体図が配されたワケの分からない絵であるべき。1作ずつの解説はしないけど、印象に残ったやつを3編。
1つは『ロモ―博士の島』。H.G.ウェルズの作品い『モロー博士の島』ってのがあるらしいですね…それはイイとして、自身の性的志向を自由に変動させられる薬があったら…という話。かなり露骨な性描写と皮肉的なお話の転がし方が頭に残ってしまう。近年ジェンダー論はいろんな方向に話が行っているような気がするが、一つの世界として読んでみて欲しいと思える作品(怒る人がいそうな気がするが…)
2つめは『ブレインレース』かな。大脳に足が取り付けられ、自身の肉体に追いつくために走るというなかなかトンデモない設定。ブラックでコミカル。
3つ目は『空間の海に帆を掛ける船』かな。上位次元に存在する船が、まるで水上に浮かぶ3次元世界の船の沈んだ部分を水面下かから見ているような形で、下位次元である我々の宇宙空間から見えたら…と言った話。次元が違うので、端っこに手を突っ込んだところで、数十メートルは先にあるはずの向こう側から手が突き出てしまうという…頭に絵が浮かぶ佳作。
結構一発ネタで持っていく人なので、そのネタも妙味が合うか、楽しめるかどうかがカギになってきます。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
ユーモアが利いた作品の方が好きな感じ。
4.どのような人に推奨するか
藤子F短編集のような奇想SFが楽しめる作品。各テーマ(というかネタ)も分かりやすく提示されるし、翻訳も読みやすいと思います。高尚さや技術論よりもエンターテインメント性をSFに求める人に推奨いたします。