めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

伊藤計劃 + 円城塔 / 屍者の帝国

屍者の帝国 (河出文庫)

屍者の帝国 (河出文庫)

伊藤計劃 + 円城塔 / 屍者の帝国 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 『虐殺器官』『ハーモニー』が大変よかったので、こちらも是非にと。

2.内容

 早世した伊藤計劃氏の遺稿がプロローグ、それを引き継ぐ形で残りを円城塔が書いた、異例の長編。プロローグは20ページほどの短いものであり、トータル500ページほどあるので、ほぼ全体が円城塔の手によるものと言って差し支えない。これ河出文庫から出てたんだね。なんでハヤカワ文庫じゃなかったんだろ。企画が河出だったのかな?2014年に河出文庫から文庫リリース。
 屍者を操る技術が発達した世界、というアイデアから始まる大作エンターテインメント。歴史上あるいはフィクション上の著名人物が勢ぞろいする様、屍者を操るという世界観、大英帝国という舞台設定に、平野耕太の『ヘルシング』『ドリフターズ』を思い出してしまいますねぇ。ヘルシング卿出てくるし…。円城塔は短編集しか読んだことないんだけど、「なるほど分からん」な感想が多かった短編集に比べれば、書いてあることは大分理解できるし読みやすい方に感じる。長編故の書き方なのか、伊藤計劃の引継ぎといいう意識が強かったのか…とはいえ、それでも円城塔味が強い。本編の9割以上を担当しているのだから当たり前か。本筋に加えて知的好奇心を刺激する言葉遊びやうんちくの数々がそれっぽいなあと思いましたまる。   

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 でも、よく書いてくれたよね。ありがとうございます。

4.どのような人に推奨するか

 SF的な要素を期待すると、ちょっと違うと思います。あくまで歴史改変モノのエンターテインメントとしてお読みください。