めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

アーサー・C・クラーク / 幼年期の終わり

幼年期の終り

幼年期の終り

アーサー・C・クラーク / 幼年期の終わり のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 SFマガジンのハヤカワ文庫50周年記念号で、柴田勝家さんがレコメンドしてたので。『2001年宇宙の旅』は読んだことあったけど、こっちはなかった。

2.内容

 原作は1953年、翻訳は福島正美さんによるもので、解説も含め1969年。文庫化自体は1979年で、特に新訳版は出ないまま今に至っている模様。装丁の変更とかはあったと思うけどね。手持ちは2019年の41刷。ちな、Arthur.C.ClarkeのCはChralesらしいですね。
 一言でいえば、オーバーテクノロジーを持つ宇宙人が来たぞ、です。ほんとにそれだけ。その宇宙人との関わり方と受け入れ方、時代の変遷、人類と地球の来し方行く末を描く壮大な作品である。柴田勝家さんの書評にあった「おっ、人類規模で見たら小せぇ悩みだったな」っていう感想がスゴイ好きなんだけど、他のSF作品ですら狭い世界に見えてしまうまでの理不尽さ・無常さ・スケールの大きさが凄い。作中の『宇宙は人類のためにあるのではない』という表現がこの作品を表しているような気がする。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 読物として冗長に感じるところはなくはないが、翻訳は古く感じないし、名作です。

4.どのような人に推奨するか

 スケールの大きい、人間という種族の未来についての物語です。詩的なエンターテインメントでありながら、哲学的な示唆に富んだ作品をお求めの方に。