めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

V.A / 銀河英雄伝説列伝1 晴れ上がる銀河

銀河英雄伝説列伝1 晴れ上がる銀河 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 銀河英雄伝説のトリビュート作品ということで、妻が絶対に買うと決めていたものです。私も原作+旧アニメは通っているので、読みました

2.内容

 2020年、創元SF文庫から。野良の作品ではない。田中芳樹監修(といっても序文を読む限り殆ど手は入れていないと思うけど)、レーベルは創元SF、イラストも銀河英雄伝説原作文庫と同じ星野之宣さんということで、かなりの本気度を感じる作り。著者は全員知ってたわけではないけど、一線級の作家が6人参加している。調べればわかる話だし、各作品の冒頭で著者の略歴が載っているので、ここから各作家の作品に入るのもアリだね。以下、各作家さん毎の感想。

  • 小川一水 ラインハルトが新婚旅行で釣りをする話。キャラクターの特徴をよく捉えているとともに、細かいディテールの積み重ねが好印象。フェザーンには海がないので魚類部門がなく、両生類部門が魚類の調査分析をしてるとか、そういうのがイイよね。

  • 石持浅海 ヤンとキャゼルヌとその奥さんの話。会話が旧アニメのあの声で脳内再生される会話中心の一編。なんでオルタンスこんなに察しがいいんですか?

  • 小前亮 ルビンスキーに髪がある!ルビンスキーが髪剃った!という話(違う)。

  • 太田忠司 オーベルシュタインが探偵をやる話。著者がミステリー畑の方らしく、キャラを捉えつつミステリーの雰囲気になっていて、「オーベルシュタインに安楽椅子探偵をやらせたかった」の目論見通りになっている。

  • 高島雄哉 ヤンがオリキャラと演劇をしている。これはよくわかんなかった。

  • 藤井太洋 ルドルフの優生思想法施行前夜譚とフェザーン発祥。原作の登場人物は一人も出てこないが、舞台設定と時代の切り取り方が良かった。ルビンスキーは偽名?襲名制だった?と思わせる。

 軍勢で分けると、帝国3、同盟3ではある。帝国側は双璧やキルヒアイス、その他の上級大将は出ません。同盟側はヤン・キャゼルヌあたりが中心で、なぜか出現率のやたら高いジャン・ロベール・ラップに笑う。役所として使いやすいんだろーね…。あとルビンスキーも良く名前が出てきたね。ユリアンはいません。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 素晴らしいトリビュート作品。もっとやってくれて構わんよ。タイトルに1とあるんだから、2も出るんだろうね。頼むぜ。

4.どのような人に推奨するか

 基本的に原作ファンなら買って損なしかと。キャラ推し派には出てない人がいて物足りないかもしれないが、世界観推し(箱推し)の人には推奨します。