めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

ロバート・A・ハインライン / 月は無慈悲な夜の女王

ロバート・A・ハインライン / 月は無慈悲な夜の女王 のレビュー。

1.作品を選んだ理由

 『夏への扉』に続く2作目、アメリカ3大SF作家へのチャレンジ。

2.内容

 まぁとりあえずタイトルがクソカッコいいよな。現代は『The Moon is a Harsh Mistress』で割と直訳なわけだが、語呂が良すぎる。原作は1966年で、1976年にハヤカワ文庫より発売されたらしい(この版自体は2010年)。こちらは月が植民地と言うか、どうも流刑地のような扱いで、数少ない(と言っても300万人いる)月世界人たちが地球人の管理化で暮らしている。そんな中で、技師のマニーと自律するスーパーコンピューターのマイクくんが地球世界に反旗を翻す。このマイク君がユーモラスでありながらも、特に情報戦において通信/情報の改ざんはお手の物と、めちゃくちゃに強い。一方でコミュニケートが電話機ベースだったり入出力が紙ベースだったりするところが現代からすると不思議だが、SF作家は特にこの点を進化するものとは考えなかったようである。月の独立記念日アメリカ独立(1776.7.4)の300年後だったりするのもアメリカンな感じがする。700弱のページ数には圧倒されるが、登場人物は多くないし、話の筋も難しいことはないので、まぁのったり読むといいね。   

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 『夏への扉』は結構ラブロマンスな側面があったんだけど、こちらは基本的に恋愛要素のないハードボイルドな世界観で、それがいい。コンピュータ マイク君とのとの友情もいい感じ。

4.どのような人に推奨するか

 コンピュータサイエンス、月の独立戦争と言ったキーワードで面白そうと思う方。かなりの長編なので、もう少し短い作品でSFを読みなれてからの方がいいのかもしれない。