めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。

アガサ・クリスティ / アクロイド殺し

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アガサ・クリスティ/アクロイド殺しのレビューです。

1.作品を選んだ理由

 昔買ったまま読んでなかった本を読んでみようのパターンです。原題はThe Murder of Roger Ackroydということで、そのまんま。

2.内容

 1926年の作品で、名探偵ポアロシリーズの1つ。書かれた時代背景は作品世界を理解するうえで結構大切だと思うのだ。
 ミステリなので内容の詳細を書くのは憚られるが、 イギリスのある村で富豪アクロイド氏が何者かに殺害される。物語の進行役を務めるシェパード医師と、最近村に引っ越して来た変人(名探偵エルキュール・ポアロ)が、迷宮入りかと思われる事件を解き明かしていくのだが…ポアロの会話にちょこちょこ混ざるフランス語、『灰色の脳細胞』というフレーズ、慇懃無礼な鋭い推理の語り口など、ポアロのキャラ付けがキャッチーでかわいい。ただし、実際犯人だったら相当イヤだろうな。
 序盤~中盤はややだらけて読んでしまったが、謎が解決に向かい始める後半パートからは、テンションが高いポアロの語りと、導かれる結論にドキドキしながら読めた。オチも納得。トリック部分の仕掛け部分に戻って読み返したくなるのは間違いない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 解決パートがいいね。解説によれば本書のトリックは探偵小説としては当時結構な賛否両論あったらしい。私はミステリを読む際に謎解きをする気があまりないので、問題なかった。

4.どのような人に推奨するか

 ミステリ好きはもう読んでるんじゃないかと思うが。ポアロシリーズの他の作品を読んだことがないので比較はできないが、そのアイデア・構成力とポアロのキャラは、他の作品も読んでみようと思わせる魅力があった。どれがおススメなんだろ?『オリエント急行の殺人』とか『そして誰もいなくなった』あたりがいいんだろうか。

Blood Vengeance / Iron Warfare

https://www.metal-archives.com/images/6/0/7/6/60769.jpg

ドイツのブラックメタルバンド Blood VengeanceのIron Warfareをレビュー。 Amazonに取り扱いがなかったので、画像だけ貼っておいた。

1.作品を選んだ理由

 突貫系ベスチャルブラックメタルを探してたら、なんか見つけた。チリのBloody Vengeanceとは別バンドなので注意しよう。

2.内容

 手持ちのは2015年Soul Erazerからの再発。1stフル(2004)、EP "Panzerschlag"(2002)、デモ "End All Life"が全部入ったお得盤。アルバム1枚で解散しているようなので、これを手に入れれば全カタログです。
 前半9曲が1stフル。短いイントロを挟んで、メロディ感の希薄なパワーコードで押しまくるリフにドタトタした性急なブラストビート。ずっと同じビートの単調なブラックメタルではなく、スピード変えたブラストをしてみたり、ちょこちょこキメを入れたりと、リフとリズムのスイッチで多少展開させるところがデスメタルっぽい。"War"なコンセプトも含めて、Mardukの"Panzer Division Marduk"や"Plague Angel"を思い起こさせる。ややメロディとスピードを薄めるた感じか。
 #10~#13がEP。音は大分ペラペラ。ギターが弱い分、ドラムとベースが良く聞こえる。音楽の方向性はほぼ1stと同じで、#10は "Panzershlag"は1stにも収録されている。
 #14~#18がDemoで、音楽・音質ともにEPと大差ない。1stとの楽曲のかぶりもない。全18曲52分と、各曲は短めで2~3分であっという間に駆け抜ける。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 Mardukっぽくてイイよ。Marduk聞けば?という話をしてはいけない。

4.どのような人に推奨するか

 ファストでマッチョなデスメタル寄りのブラックメタル好きに推奨。どっちかというとデスメタルかもしれん。メロディ派や寒々ブラック好きには推奨しない。どちらかというと暑苦しいWarサウンドである。

体験記:南極観測隊と動物たちII~日本から南極に行った動物 初期観測隊と歩んだ道~(国立極地研究所 南極・北極科学館)

体験記シリーズ。東京は立川の南極・北極科学館に行きました。
なんと無料で入れるんですよ。

1.鑑賞のきっかけ

 近所になにか博物館ないかなと思って探したら立川にあったのだ。あとは、白瀬矗というキーワードで引っかかったのも理由の1つといわざるを得ない…。

2.内容

 極地研究所の一部エリアが科学館として開放されている。いずれにしても無料で入れるのだが、常設展示と企画展示があり、今回は後者の企画展が「南極観測隊と動物たち」であった。2018年冬の展示で、現時点ではすでに終了している。
 南極観測隊は1956年に始まっている。初代観測船「宗谷」には観測隊員と、橇(そり)犬としての訓練を受けた22頭の樺太犬が同上した。第二次観測隊の時は天候悪化等の理由から観測隊は現地での越冬ができず、基地に犬を残置したまま帰国することになってしまった。帰国時にものすごいバッシングを受けたようだが、一番辛かったのは生活を共にしていた隊員たちではなかろうか。
 ほぼすべての犬が鎖につながれたまま死亡あるいは首輪を抜け出して行方不明になる中、唯一生き残っていたのがタロとジロの2匹という。各犬の写真が載っているが、死ぬor行方不明だらけの隊犬写真は悲しい…。
 犬の名前が適当なのがいい。クロ・シロ・アカ・アンコ・ポチ…特に『クマ』『モク』という犬が二匹ずついたので、出身地をつけて呼び分けていたというエピソードは凄い好き。『紋別のクマ』とかめっちゃかわいいやん。
 白瀬矗についても展示資料あり。彼は南極点までは到達しなかったものの、その熱意で南極観測隊派遣の40年以上前に南緯80度まで到達している。常設展エリアとしてはその他、船の紹介や各種機関、鉱物・極地の生物・オーロラなどに関する展示があった。南極観測船の「宗谷」「ふじ」「しらせ(2代目)」「しらせ(2代目)」は覚えてしまった。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 この時は企画も良かったと思うけど、無料なのにこれだけ見られるのは素晴らしい。

4.どのような人に推奨するか

 極地にロマンを感じる人は是非。実際にいろいろな展示を見るの楽しいよ。自分じゃまず行けないしね。

Ex.ギャラリー

犬のみなさん

カワイインゴねぇ

古川裕倫 / 入社1年目から身につけたいビジネスマナー以前の社会人の心得

古川裕倫 / 入社1年目から身につけたいビジネスマナー以前の社会人の心得 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 図書館で時節柄「新入社員に向けた特集」をやっていた。嫌いなタイプの本だろうなと思いつつ、手に取ってみたもの。自分は新入社員~若手とは言われない年次になってしまったが…。

2.内容

 2013年作。新入社員~若手を対象に、仕事(のみならず仕事に関わる生活)に対するマインドを心得集として紹介するもの。前提として、著者が商社(三井物産)で営業をしてきた体験がベースにあることは抑えておく必要があると思う。
 上司も人間であり感情がある・気配りをする・上司への報告の重要性・会議では発言するべき・知ったかぶらない(知らないことは知らないという)などといった一般的な部分は、目新しいものでもないがよいだろう。
 会社には何もなくても30分以上前に出社・飲み会や社内イベントには参加する・幹事を必ずやる・最初の1杯は時短のため問答無用でビール・飲み会の翌日は二日酔いで午前中何もできずトイレに籠っていようが出社すべき、といった項目はまったく共感できないし、部下にやってほしいとも思わない。営業職とシステム屋の違いといえばそれまでかもしれないが、こういう心得を持つべき会社・シチュエーションがなくてよかったなと思うばかり。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★---
 この手のマナー本はいろいろあると思うけど、参考にできる部分だけ参考にすればいいでしょう。会社・社会は一様ではないので、逆に「これは違う・合わない」と思う部分は参考にしなくていい。

4.どのような人に推奨するか

 テーマ的に新入社員~若手を対象としているが、別に推奨はしない。旧態依然の商社・営業では大いに参考になるのかもしれない。冒頭書いたが、著者の背景を踏まえてつまみ読みする分にはよいかも。

Hour of Penance / The Vile Conception

Vile Conception

Vile Conception

イタリアのブルータルデスメタルバンド Hour of PenanceよりThe Vile Conceptionをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 先に4th~7thを聞いていて超気に入っていたので、過去作も手に入れたかったのだ。

2.内容

 2008年リリースの3rdで、これはUnique Leader Recordsからのリリース。メンバーは4th "Paradogma"と同じで安心だし、レコーディングも後発作品と同じローマの16th Cellar Studioでやっているらしい。
 ということで、4thのHour of Penanceが好きならこちらも間違いなしの、超高速ブラストビートにカッコイイヘヴィリフとキメを詰め合わせた素晴らしいブルータルデスをやっていて、10曲37分を気持ちよく聞きとおせる。音質もアンダーグラウンドからは縁遠いハイグレードさで、弱いところナシ。
 安定の出来すぎて、逆にあまり語ることがない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 3rd~5thが今のところ好感度が高くリピートしている。
 1st,2ndは見たことないが、聞いてみたいなあ。

4.どのような人に推奨するか

 激烈でハイグレード・ハイスピードなデスメタル好きには間違いなくおススメ。このバンドを好きな人は、カタログとしてこれも持っておこうね。

Crucem / 3rd Demo

日本(東京)のブラックメタルバンド Crucemのデモ盤をレビュー。

1.作品を選んだ理由

 2016年2月大阪のBlack Sacrifice (Mortiferaが来たとき)に見に行って、その時に確か無料で貰ったやつだと思う。その後、東京でもライブを1回見たな。ライブで初めてしったので、それがきっかけ。

2.内容

 おそらく2015年のデモ。なぜおそらくなのかというと、手持ちのものはMetallumにも掲載されていないっぽいのである。曲目からすると先行でリリースされていた#1 "Buried in the Frozen Silence"に、3rd Demoの3曲をまとめた形の全19分という代物。
 コールド系のメロディアスなブラックメタルをやっている。#1はブラスト・ツービートを主体としてヒンヤリとした感触のシンセサイザーが絡み、どこを切りとっても泣きのフレーズが主張する勢いのある良曲。#2 "Strength and Blood"も前曲の方向性を受け継ぐ疾走曲。#3 "Ash of the Saint"でシンセのみの静謐なインストを通じ、最終曲の#4 "Legion of Angrn Grind"に至る。こちらは3連系のミドルテンポでじわじわと進む行進曲のような感じで、繰り返される生気のないシンセサイザーのメロディやギターメロディが耳に残る。音質はやや薄く荒いが、各音は良く聞こえ渾然一体としたパワーも感じられるので、ブラックメタルとしては良いといえるもの。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 応援したいなーと思っていたのだが、けんか別れ?みたいな感じで解散状態のようです。ほぼ同じメンバーでGalga Falmulという後継バンドに取り組んでいるもよう。

4.どのような人に推奨するか

 おススメしたところで入手できないが、シンセ強めもプリミティブブラック好きに推奨できるサウンド
 BandCampはあったので、貼っておきます。でもこれにも#1は収録されていない…。  crucem.bandcamp.com

体験記:「今年の漢字」展(漢字ミュージアム)

体験記シリーズ。京都の漢字ミュージアムに行きました。

1.鑑賞のきっかけ

 大阪・京都旅行に行く際に、これも一つの目的にした。
理由としては、完全に以下の動画です。ワイは拓司ファンか何かか?

2.内容

 その名の通り漢字のミュージアム。京都河原町の超観光地のど真ん中にあってビビる。企画展として、毎年漢検ミュージアムが主催し年末に清水寺で揮毫される『今年の漢字』が特集されていた。大字揮毫の過去作、応募された漢字、当時の世相などが年代順に並んでいて非常に興味深かった。
 2018年の漢字は『災』であった。1995年から今年の漢字は始まっていて20回以上の歴史があるが、オリンピック年には過去三回『金』が選ばれているのは面白い(複数回当選は多分『金』だけ)。他になかったのか?とも思うし、一方でそれだけの大きな出来事なのだという気もする。また、得票数で決まるのであればどうしても話題になったイベントに偏るのと、常用される漢字から皆が思いつく範囲で考えるのが一般的だろうから、わかりやすい結果である。
 2019年は確実に改元関連がエントリーされる思うが…平和と令和をかけて、『和』はあるんじゃないかな?
 2Fは主に資料室で、図書室エリアと漢字体験エリア。魚の漢字当てゲームがあったけど、難しかった。あと漢検10級から1級までの問題サンプルが置いてあり、挑戦できる。準1級からはほんとに異次元だね。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 この時の企画展は個人的には当たりだったかなと思う。

4.どのような人に推奨するか

 企画展は置いといて、まあこの漢字ミュージアムのためだけに京都に行くものではないと思うが、河原町にあるのでこの付近に観光に来た人は(一般的には四条・河原町あたりには来るケースは多いと思う)、ついでに寄ってみてもいいと思うよ。

Ex.ギャラリー

入口

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今年の漢字揮毫(2017年)

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東大生図鑑 Vol.1

東大生図鑑 Vol.1 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 2019年5月の五月祭に妻と遊びに行きました。そこで、この本を手に入れました。というか、この本を買いに行くのが1つの目的でした。すぐ買えてよかった。五月祭、規模がめちゃ大きくてびっくりしました。

2.内容

 2019年作。綺麗に製本されたフルカラー70ページほどの同人誌的な冊子。発刊の趣旨は上記サイトの管理人紹介ページを見るのがよいと思うが、簡単に言えば「東大(生)は世間の注目を集め偏見の目で見られがちで、どのようなものか知られていない」というもの。すまん、ワイはみんな頭脳王みたいな連中なんだと思ってたで・・・
 様々な学部からピックアップされた東大生が、美麗なイラストヴィジュアルとともに学生の特徴と本人エピソードで紹介されている。イラストはリアル寄りの絵だが、全員イケメン&美女に見える。 解説を読めば、王道のインテリみたいな人もいれば、Youtuberやアイドル的な人もいる。何をすればいいかわからず悩むやつもいれば、お気楽に草を生やしまくっているやつもいる。あたりまえだけど様々な人がいます。東大生でなくても個の人生があってそれぞれのエピソードがあるので、こういった冊子は成立するはず・・・だが、なんかみんな誰もが非常にキャラ・エピソードが濃いように見える。自分なんかでもテーマを持ってインタビューされればこんな風に特徴を持った人物像が出来上がるものなのだろうか?
 終盤は勉強(受験)テーマのパートもあり。購入層としてはやはり高校生以下がメインターゲットということなのかしら。学園祭で売っているわけだし、高校生も多かったと思います。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 ★3と4の間くらいなんだけど、コンセプトと手作り感で+1。
 QuizKnockのこうちゃんさんが載ってます。相対的という話もあるが、めっちゃ優等生っぽい紹介ページで草。

4.どのような人に推奨するか

 自分はYoutuberからこの本を知ったものだが、冷静に考えるとどういう人が購入するのだろう。よくわかりません。上記Webサイトに本誌とは別の東大生紹介があるので、それを見て興味を持った方は、通販もあるようなので手を出してみては?

Ex.ギャラリー

冊子

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パンフレットと羊の焼串。焼串とタピオカの屋台多すぎw

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Sargeist / Tyranny Returns

Tyranny Returns

Tyranny Returns

フィンランドブラックメタルバンド SargeistのTyranny Returnsをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Sargeist 入門4作目かな。

2.内容

 2001年リリースのデモ集。このCD盤はMoribund Recordsからの2004年再発リリースなので、何なら他の作品より流通しているのでは。
 ここで聞けるサウンドは後発のメロディアスなスタイルとは趣を異にする。和声的なフレーズは少なめで、パワーコードの動きでじんわりと攻め立てるような雰囲気重視の曲が散見される。また、後発アルバムでは聞けないシンセサイザー音の導入が見られる。#3 "Night Of Sacred Wisdom"では呪言のような語り風のボーカルにストリングス音が重なるブラックメタルをやっていたり、#11 "Postludium: Silver Womb Of Mother Moon"でアウトロ的な位置づけではあるもののクリーン系のアルペジオから始まりストリングスを纏ってゆったりと雰囲気のある曲をやっていたりと、かなり毛色が違った曲も聞ける。Depressive系ブラックメタルみたい。
 音質については、遠くで鳴り響くポコポコドラムとジャリジャリに歪んだギターはデモだしこんなもんじゃないか?というレベル。ベースが良く聞こえ、ボーカルも迫力があるので、トータルバランスは悪くない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 ファン向けのデモ集なのでこんなもん。だいぶ方向性が異なりますな。

4.どのような人に推奨するか

 1stフル以降とは結構違うことをやっており、音質もプリミティブ度が高いため、基本的には推奨しない。Sargeistのカタログをある程度聞いたファンが、さらに踏み込んで聞いてみたいと思うならば買えばよいもの。

Sargeist / Satanic Black Devotion

Satanic Black Devotion

Satanic Black Devotion

フィンランドブラックメタルバンド SargeistのSatanic Black Devotionをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Sargeist 入門3作目。いいバンドなので見かけたら買っている。

2.内容

 2003年1stフル、Moribund Recordsからのリリース。3rd "Let The Devil In"や4th "Feeding the Crawling Shadows"との比較になるが、基本的な音楽性は初期から一貫しており、メロディたっぷりのトレモロリフと軽い音のドラムがブラストするプリミティブスタイル。メンバーも基本的に変わっていない。ボーカルは基本的にのどがつぶれそうな高音系の喚きヴォイスなのだが、#5では悲しいリフに合わせてちょっと毛色が異なる悲鳴のような負け犬ヴォイスを披露している。スウェーデンのSilencerのNattramnを想起させる悲壮で辛い声で、これが結構スゴイ。
 サウンドは3rdの音をもう少し小ぢんまりとさせた感じだが、メロディが良く聞こえてバランス良好。音楽性とメロディの質は1stから十分備えている、クオリティの高い作品です。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 3rdと同じくらいの評価。この1stと3rdが作風としては近く、4thはプリミティブ度が高くなる。なお、2nd "Disciple of the Heinous Path"は持っていないです。

4.どのような人に推奨するか

 基本的に3rdと同じ評価になるので、どっちかを先に聞いて、気に入るようであればもう1作も買うといいでしょう。両方からいずれかを選ぶのであれば、個人的には3rdからがいいと思う。

森見登美彦 / 夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

森見登美彦 / 夜は短し歩けよ乙女 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 完全にタイトルと表紙。あとは2007年本屋大賞2位、山本周五郎賞受賞の触れ込み。表紙は中村佑介氏というんですね。

2.内容

 元は2006年作。京都及び京都大学(らしき大学)を中心として、「黒髪の乙女」と「先輩」との恋模様を双方の視点から描いたお話。ストーリーは完全にライトなのだが、耳慣れない表現・成句や、舞台か戯曲家といったようなややわざとらしい言い回しを用いた独特な文体。後半第四部は「先輩」は風邪で寝込んでおり大半が独白・思索・妄想なのであるが、「黒髪の乙女」の視点とリンクしてどちらが現実なのかわからなくなるような不思議な感覚もあり。あと、二部の「本屋の少年」はなんだったのか?言動が非現実感が強くて実在しない少年(何かしらの化身?)だと思って読んでいたが、そういうわけでもなさそうで、
 そういった特徴を持ちつつも、繰り広げる内容は少女漫画的というかラブコメである。「黒髪の乙女」は一言で言えば、自覚なき「あざとさ」を持つ不思議ちゃん的な描写をされているように感じた(女性はどのような感想を持つのだろうか、とか思ってしまったが)。鈍いこの子は作中先輩との出会いを「奇遇ですね」と片付けつづけるが、最終的には「出逢ったのも何かのご縁」と距離が縮まり仲良くなる(付き合うとは言わない)。ハッピーエンドと言えるであろう。良かったね。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 ワイくらいの年齢になるとちょっと気恥ずかしいくらいの青春小説。電気ブランなどのうんちくや、日本語の語彙の観点で、「ほぅ」と思いながら読んでいました。タイトルは大正時代の流行歌「ゴンドラの唄」の一節「命短し恋せよ乙女」が由来だそうで、語呂がイイ。表紙とタイトルはかわいくて好き。

4.どのような人に推奨するか

 少女漫画的ファンタジーな世界観や荒唐無稽なお話がお好み、且つ難しい言葉でこねくり回した文章が好きな人にはいいのではないかな。合わない人には合わないと思う。自身は、文章自体を楽しみながら、で読んでた。

Sargeist / Let The Devil In

Let the Devil in

Let the Devil in

フィンランドブラックメタルバンド SargeistのLet The Devil Inをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Sargeist 入門2作目。

2.内容

 2010年3rd、Moribund Recordsからのリリース。Moribundは大手だし老舗。そこそこ流通がいいのか、この作品は見かける気がする。
 先に4thを紹介しており、そこから大きく変わる部分はない。流麗なメロディに溢れたメロディック&プリミティブなブラックブラックメタル。4thよりこの3rdの方がエコーが効きすぎず音質がくっきりしていて、歪みすぎないギターからは気持ちいいメロディーが耳に入ってくる。ドラムは各音聞こえやすく、ブラスト多めではあるものの、スロー・ミドルの展開もあり緩急が感じられる。全体的に3rdの方が音が厚めで聞きやすい。どっちがイイかは好みの問題で、メロディと楽曲の質が高いことに変わりはない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 これも間違いなく素晴らしい。プリミティブ度が低く聞きやすいので流麗なメロディが楽しめる。

4.どのような人に推奨するか

 今作はプリミティブ過ぎず良質なサウンドと良質な泣きメロが両立しているため、メロディ派のブラックメタル好きなら行けるはず。Taakeの1st(Nattestid...)なんかに近いじゃないかなと思うが、あちらよりさらに聞きやすいと思います。

Sargeist / Feeding The Crawling Shadows

Feeding the Crawling Shadows

Feeding the Crawling Shadows

フィンランドブラックメタルバンド SargeistのFeeding The Crawling Shadowsをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Yvonxheのレビュー書いてたら、メロディックなプリミティブブラックが聞きたくなったのでした。聞くの何年かぶり。大阪に住んでいた時に、黒屋(実店舗)で購入した記憶がある。つーか黒屋閉店してるんだ・・・

2.内容

 2014年4th、World Terror Comitteeからのリリース。Shatraug(Horna)のソロプロジェクトとして開始され、フィンランドブラックメタル人脈のBehexen, Satanic Warmasterあたりのメンバーが集っている。Sargeistというバンド名は、Sarg(独:棺)とGeist(独:精神)という2つのドイツ語を合成した言葉が由来だそうです。
 音楽性は先に挙げたメンバーから想定できるとおり、メロディの強いプリミティブブラックをやっております。コード感のあるトレモロフレーズで曲全体を包み支配するギター、何を叩いているか判然としない遠い音でスタスタしたブラストビートを続けるドラム、喚き系と威厳のある低音系のデスヴォイスをエコーがかった音で叩きつけるボーカルなどが主たる構成要素。音質はプリミティブブラックとしてみたときには標準的なプロダクションといえるレベルで、エコー感も相まって雪原で演奏しているような空間の広がりを感じさせる。
 同列で挙げたバンドと比較しても、ひと際メロディ要素が強いのが特徴。曲のパターンはどれも似たようなものだが、全編通してでマイナー調で「泣き」の入ったメロディアスリフを間断なく披露している。メロディの質と豊富さで押し切るプリミティブブラック。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 泣きメロだらけ。#5 Return of the Ratsとか素晴らしい。

4.どのような人に推奨するか

 プリミティブブラックな音質に馴染んでいることが前提にはなるものの、とにかく良質な泣きメロが入っているので、メロディ派のエクストリームメタル好きに推奨します。

体験記:谷崎潤一郎文学の着物を見る(アサヒビール大山崎山荘美術館)

体験記シリーズを始めます。美術館や博物館、ライブ体験記などを予定します。
また、記事が見づらいことに気づいたので以後の記法を変更していきます。

1.鑑賞のきっかけ

 大阪・京都旅行に行く際に、一つの目的にした。理由としては、妻が『文豪とアルケミスト』で文豪熱が高まっていたことが主な理由。この時の私は、谷崎潤一郎は読んでいなかったと思う。

2.内容

 2018年冬の展示。谷崎潤一郎の作品は最初に読んだ『春琴抄』でその耽美な世界観と表現に感動を受けたものだが、ここでは谷崎の作品に出てくる女性たちが聞かざる着物をテーマとして展示が行われていた。『細雪』『痴人の愛』などと様々な作品に表れる女性の着物の柄を再現したものが数多くあり、特に矢絣の着物が綺麗で印象に残っている⇒矢絣 - Wikipedia
 この建物は京都の山崎にあるわけだが、もともとは実業家である加賀正太郎が建てたもの。谷崎は東京生まれだが、関東大震災を機に関西へ引っ越しており(引っ越し後に書かれたのが『細雪』だったりして、京都や大阪の雰囲気が作品世界に反映されている)、それから交流があったとのこと。企画展が為されるのも納得である。
 常設展の所蔵物についてはサイトに詳しいが、当時見ることができて記憶に残っているのは以下のもの。館内は写真がNGだったので列挙のみ。

 あとは、建物内にカフェが併設されていて、パンケーキか何かを食べてました。山上にある別荘なだけあって、窓からの眺望は非常に綺麗だった。快晴と11月の紅葉のおかげという説もある。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 当時は谷崎読んだことなくて行ってたので、今行ったらもっと楽しめると思うんだなぁ。

4.どのような人に推奨するか

 表題の企画展はもう終わっているのでその点は置いといてだが、自然に囲まれた別荘の雰囲気と地中美術館のアート感は結構いいものですよ。便がイイとは言い難いが、山崎駅から歩いて20分程度なので、健脚な人ならちょっとした散歩ついでに行けるかと。

Ex.ギャラリー

入口

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茶店があるベランダからの眺望

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Yvonxhe / De Praestigiis Daemonum

De Praestigiis Daemonum

De Praestigiis Daemonum

日本のブラックメタル Yvonxhe / De Praestigiis Daemonumをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 EPと同じタイミングで、Black Sacrificeの物販で購入したと思う。SOCORE FACTORYはめっちゃ小さいところで、物販のところに普通にメンバーがいた気がするが覚えてない。

2.内容

 2012年1stフル、Zero Dimensional Recordsからのリリース。タイトルは16世紀ネーデルラントの医師Johann Weyer著作から取られているのだろうか。英語では"On the Tricks of Demons"で、「悪霊の幻惑」などと訳されるらしい。
 こちらの方がリリースは先だが、音楽的な方向性は大体同じで、メロディアス・プリミティブ・オールドスクールスタイルの3拍子揃ったブラックメタル。各曲のランニングタイムはやはり短く、1~2分でさらっと終了する曲が13曲並ぶ計24分のアルバムとなっている。
 EPと比較すると、全体的にこちらの方が泣きメロ要素が強い。コード感のあるトレモロアルペジオを使ってギターのみで美しいメロディを紡ぐ様は、何となくSetherialの1stとかThy Primordialの1stのような北欧メロディックブラックの楽曲をも想起させるが、プリミティブ且つメロディアスな感触はJudas Iscariotとかを思い出したりもする。足して2で割って曲を短くしたら、こんな感じになるかも。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 良い。曲が短いのが惜しいような、これはこれで完成しているような。

4.どのような人に推奨するか

 メロディック・プリミティブなブラックメタル好きにおススメしやすい音となっております。