めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

森見登美彦 / 夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

森見登美彦 / 夜は短し歩けよ乙女 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 完全にタイトルと表紙。あとは2007年本屋大賞2位、山本周五郎賞受賞の触れ込み。表紙は中村佑介氏というんですね。

2.内容

 元は2006年作。京都及び京都大学(らしき大学)を中心として、「黒髪の乙女」と「先輩」との恋模様を双方の視点から描いたお話。ストーリーは完全にライトなのだが、耳慣れない表現・成句や、舞台か戯曲家といったようなややわざとらしい言い回しを用いた独特な文体。後半第四部は「先輩」は風邪で寝込んでおり大半が独白・思索・妄想なのであるが、「黒髪の乙女」の視点とリンクしてどちらが現実なのかわからなくなるような不思議な感覚もあり。あと、二部の「本屋の少年」はなんだったのか?言動が非現実感が強くて実在しない少年(何かしらの化身?)だと思って読んでいたが、そういうわけでもなさそうで、
 そういった特徴を持ちつつも、繰り広げる内容は少女漫画的というかラブコメである。「黒髪の乙女」は一言で言えば、自覚なき「あざとさ」を持つ不思議ちゃん的な描写をされているように感じた(女性はどのような感想を持つのだろうか、とか思ってしまったが)。鈍いこの子は作中先輩との出会いを「奇遇ですね」と片付けつづけるが、最終的には「出逢ったのも何かのご縁」と距離が縮まり仲良くなる(付き合うとは言わない)。ハッピーエンドと言えるであろう。良かったね。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 ワイくらいの年齢になるとちょっと気恥ずかしいくらいの青春小説。電気ブランなどのうんちくや、日本語の語彙の観点で、「ほぅ」と思いながら読んでいました。タイトルは大正時代の流行歌「ゴンドラの唄」の一節「命短し恋せよ乙女」が由来だそうで、語呂がイイ。表紙とタイトルはかわいくて好き。

4.どのような人に推奨するか

 少女漫画的ファンタジーな世界観や荒唐無稽なお話がお好み、且つ難しい言葉でこねくり回した文章が好きな人にはいいのではないかな。合わない人には合わないと思う。自身は、文章自体を楽しみながら、で読んでた。