めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Sargeist / Tyranny Returns

Tyranny Returns

Tyranny Returns

フィンランドブラックメタルバンド SargeistのTyranny Returnsをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 Sargeist 入門4作目かな。

2.内容

 2001年リリースのデモ集。このCD盤はMoribund Recordsからの2004年再発リリースなので、何なら他の作品より流通しているのでは。
 ここで聞けるサウンドは後発のメロディアスなスタイルとは趣を異にする。和声的なフレーズは少なめで、パワーコードの動きでじんわりと攻め立てるような雰囲気重視の曲が散見される。また、後発アルバムでは聞けないシンセサイザー音の導入が見られる。#3 "Night Of Sacred Wisdom"では呪言のような語り風のボーカルにストリングス音が重なるブラックメタルをやっていたり、#11 "Postludium: Silver Womb Of Mother Moon"でアウトロ的な位置づけではあるもののクリーン系のアルペジオから始まりストリングスを纏ってゆったりと雰囲気のある曲をやっていたりと、かなり毛色が違った曲も聞ける。Depressive系ブラックメタルみたい。
 音質については、遠くで鳴り響くポコポコドラムとジャリジャリに歪んだギターはデモだしこんなもんじゃないか?というレベル。ベースが良く聞こえ、ボーカルも迫力があるので、トータルバランスは悪くない。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 ファン向けのデモ集なのでこんなもん。だいぶ方向性が異なりますな。

4.どのような人に推奨するか

 1stフル以降とは結構違うことをやっており、音質もプリミティブ度が高いため、基本的には推奨しない。Sargeistのカタログをある程度聞いたファンが、さらに踏み込んで聞いてみたいと思うならば買えばよいもの。