めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Incantaion / Blasphemous Cremation

 

 アメリカのデスメタルバンドIncantationのBlasphemous Cremationをレビュー。AmazonがないのでMetallumを貼ってみる。

www.metal-archives.com

  

1.作品を選んだ理由

    Incantation集めの一環で中身は知らずに購入。ジャケがChris Moyenっぽくてブラックメタル感を感じた。

https://www.metal-archives.com/images/1/9/9/0/199065.jpg?1903

 

2.内容

    2008年リリースで、その内容は1stアルバムリリース前の1991年に録音されたもの。もともとAmorphisとのスプリット盤のために録音されたものです。各曲はすべて1stアルバムに後に収録されている。

 せっかく調べたので対照表を載せる。

  [Blasphemous Cremation] ⇔ [Onward to Golgotha]
  #1 Rotting Spiritual Embodiment ⇔ #4 同名曲
  #2 Blasphemous Cremation ⇔ #3 同名曲
  #3 Godsend ⇔ #10 Deliverance of Horrific Prophecies
  #4 Profanation ⇔ #9 同名曲
  #5 Christening the Afterbirth ⇔ #7 同名曲
  #6 Eternal Torture ⇔ #11 同名曲

 実際の内容だが、低音でざらついたディストーションが邪悪で荘厳なリフを奏で、スロー・ドゥームに展開する極めて純粋なデスメタル。後発のアルバムよりスピード感が抑えられた、ズーンと重くのしかかるようなリフ・曲展開が多く、低く超ディープなデスヴォイスも相まって、非常に圧迫感・閉塞感を伴ったデスメタル

 91年録音といいつつ、サウンドはめちゃくちゃいいと思う。もちろん2000年代以降のカチっとしたクリアなサウンドではないが、低音に寄った生々しく粘り気のある音で且つ各楽器のバランスも良く音圧もあるため、アンダーグラウンド感を感じさせつつも、クオリティの高い楽曲・演奏を楽しめる。

 

 3.感想/評価(★の5段階評価)

    ★★★★-

  正直超地味だけど、Incantationはスローで禍々しい部分も魅力の一つ。このEPはそっち側の魅力を存分に出している。Dark Descentモノっぽくないですか?

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 スローでドゥームなデスメタルが好きな人へ。

 

 

斎藤孝 / 斎藤孝の速読塾

 

齋藤孝の速読塾 これで頭がグングンよくなる! (ちくま文庫)

齋藤孝の速読塾 これで頭がグングンよくなる! (ちくま文庫)

 

 斎藤孝 / 斎藤孝の速読塾 のレビューです。

 

1.作品を選んだ理由

 私は本を読まない人間ですが、ちょっといろいろと本を読もうと思って。理解しつつ高速に読書を進められるようになる技術に期待して購入しました。声に出して読みたい日本語の人、というイメージ。

  

2.あらすじ(内容)

 速読・多読の目的と手段を解説してくれる。技術面の説明よりも、心構え的な部分が自身の読書に対するハードルを下げてくれた。以下は結構参考にしている。考えてみれば当たり前のことかもしれないけど。

 ・1冊に集中せず、読み途中の本をいくつか作る。読み途中を作ってよい。なんなら途中で読むのをやめてもよい。

 ・本は基本的にいつ何時でも読める。

 ・読んだ本のポイントや好きな部分は引用したい箇所として記録し、アウトプットする。人に説明するつもりで読む。

 2割しか読まない読書法や右ページしか読まない読書法、本を汚す(書き込む)というのは余り自分にフィットしない感覚だったが、今後使えるかもしれない。

 

3.感想/評価

 ★★★―-

 説明は平易で納得感がある。各手段が自分に合うかどうかは別の話なので、合うものを採用すればいい。「これで頭がグングンよくなる」かはさておき、上記にも記載したように、心構え部分を参考にさせてもらった。

 

4.どのような人に推奨するか

 私のような読書初心者や読書に対して構えている人、手段ではなく目的としてたくさん本を読みたい人へ。

Putridity / Degenerating Anthropophagical Euphoria

 

Degenerating Anthropophagical Euphoria

Degenerating Anthropophagical Euphoria

 

 

イタリアのブルータルデスメタルバンド PutridityのDegenerating Anthropophagical Euphoriaをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 ブルータルデスメタルガイドブックで名盤として名高いことを知ったもの。ディスクユニオン御茶ノ水店で見つけ購入。

 

2.内容

    2011年リリースの2nd。超高速・超ヘヴィな模範的ブルータルデスです。ギターは低音でメロディのないリフを刻み続け、キュルキュルしたハーモニクス音を頻繁に混ぜアクセントをつけていく。ドラムは兎に角全編通してブラストビートの嵐で通常のノレるリズムは殆ど発見できないが、ブラストの中でもフレーズに緩急がついており突進一辺倒という感じはしない。ボーカルは1stから変わった(専任になったらしい)ようで、自分はこちらのほうがディープなデスボイで好み。

 1st同様にどの曲も2~3分とコンパクトだが、1stに比べてテクニカルさと突進力が上がっている。曲は複雑で識別できないが、よくあることだしアルバム単位で気持ちいいので気にしない。トータル25分という長さもあり、何度も聞き返せる。デスメタル的に淀んだ暗い雰囲気を残しつつ各楽器が良く聞こえるサウンドも文句なし。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★★

 世の評価に違わず、傑作だと思います。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 ブルータルデス好きは是非。見つけたら買いましょう。Amazonでも普通に買えるみたいだけど…

 

Terror 2000 / Slaughterhouse Supremacy

 

Slaughterhouse Supremacy

Slaughterhouse Supremacy

 

スウェーデンスラッシュメタル Terror 2000のSlaughterhouse Supremacyをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 下記にて説明する有名バンドメンバーによるプロジェクトであることが理由でした。あとは一時期いわゆるデスラッシュものにハマっていたため。

 

2.内容

    2000年リリースの1stSoilworkやDarkaneのメンバーによるスラッシュメタルのサイドプロジェクトだそうで。超高速の刻みと爆走スラッシュビート、絶叫ヴォーカルにて突撃する高品質なスラッシュ。全曲高速ではあるものの、リフはしっかりと構築されており、ややメロウなフレーズも挟まれることからオーセンティックなヘヴィメタル要素も感じる。近代的な2000年代のメタルサウンドであり、演奏力も高く安心して聞ける。どの曲も3~4分で、トータル32分。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★-

 やっていることは極めたまっとうなスラッシュメタルだが、単純に質が高い。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 デスメタルにはならない高速スラッシュメタル好きに。ベテラン勢はスピード落としたり、曲が構築的になっていったりもするので、こういう単純突撃スラッシュメタルはうれしいですね。

 

Putridity / Mental Prolapse Induces Necrophilism

 

Mental Prolapse Induced Necrophilism

Mental Prolapse Induced Necrophilism

 

 

イタリアのブルータルデスメタルバンド PutridityのMental Prolapse Induces Necrophilismをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 2ndがものすごい高速ブルータルデスで気に入ったので。新宿ディスクユニオンにて購入。1回スルーしたんだけど、色別割引で少し安くなってたので。

 

2.内容

    2007年リリースの1st。2018年にデモ等を収録した再発版が出ているようだが(上記Amazonリンクはそれ)、私が買ったのは初期のPermeated Records版です。Encyclopedia Metallumには1,000 copiesって書いてあるが本当か?

 内容的には典型的ブルータルデスメタル。ボーカルは何を言っているかさっぱりわからない系の超低音グロウルで、ギターは低音の刻み中心にハーモニクスを混ぜていく、よくあるパターンで混じりっけのない純粋なブルータルデスというやつ。2ndを先に聞いているので比較になるが、以下のような印象。

 ・演奏はすでにめちゃくちゃうまい
 ・各楽器よく聞こえるが、音は2ndに比べ少し荒々しい感あり。
 ・スピードを落としてミドルテンポで攻めるパートが結構ある印象。2ndの方が突撃パートが多いと思う。
 ・ボーカルの違いが結構全体の印象を変えている(どっちがいいとかではない)

 どの曲も2~3分とコンパクト(最後の曲だけ8分弱あるが、後半半分はホラーなSEなので不要)で、正味25分くらいのアルバムです。でも、ブルータルデスはこれくらいのランニングタイムでいいんだよね。30分前後が適正だと思います。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★-

 2ndと比較するから上記の感想になるだけであって、単品として評価したら普通に高品質なブルータルデスです。最後の長いゴアSEはいらない。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 ブルータルデス好きはどうぞ。でも、2nd先に買ってからでもいいと思う。ボーカルが違うので、それは好き好きがあるかもしれないです。

 

Sauron / Conquest Through Attrition

アメリカのブラック/スラッシュメタル SauronのConquest Through Attritionをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 高円寺RecordBoyで安く見かけて買った記憶がある。Sauronって、ロードオブザリングの敵キャラよね。

 

2.内容

    2016年リリースの3rd。キャッチーでわかりやすいリフにツービートで爆走するスラッシュメタル(ブラストはないが、一歩手前のスピード感)。なぜブラックスラッシュとカテゴライズされるかというと、ごく初期のSodom的な感覚をそのまま延長させたような音楽性だからかな。

 しかしながら、曲は邪悪さよりヘヴィさより、疾走感が強い印象を残す。あまり刻まずパンクロック的に快走するパートもあり、爽快感すらある。早いパートはあほみたいに早いが、スピードを落とすパートもあり、全体的には1st/2ndより突撃感は減退しているかもしれない。感覚的には2ndに近いが、1st/2ndから比べるとより少しまっとうなメタルサウンドになった気もするが、総じて爆走してるし音楽性そのものにいい意味で変化はないです。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★-

 良質でおススメですよ。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 かっちりしたサウンドではなく、疾走感と勢いのあるスラッシュメタル好きへ。あまりブラックメタルとしては聞かないかな。

 

Sauron / Satanic Assasins

アメリカのブラック/スラッシュメタル SauronのSatanic Assasinsをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 これが一番最初のSauronだったようです。

 

2.内容

    2008年リリースの2nd。前作のノイジーさと薄っぺらさは主にギターサウンドにおいて払しょくされ、スラッシュメタルらしいザクザクとした音になっている。ドラムは相変わらず前のめりで荒々しいが、サウンドはスネアが乾いた高めの音になっており、やや軽快感を感じる。

 前作ではストレートなリフが多かったが、この作品では明らかにリフのバリエーションが増えており、より一層曲を印象的に仕上げることができている。刻み一辺倒でなく、口ずさめるようなリフや手数の多いテクニカルリフも挿入されるようになっている。曲の長さも少し長くなっており、展開を見せるようになった。ヘヴィメタルとしての進化を遂げた感じで、1stに比べるとスラッシュ寄りになったと思います。#2のリフは何だか明るくノリもよく、SodomのAusgebombtみたい。

 邪悪さやアンダーグラウンド感はやや減退しましたが、その分とにかく曲の魅力は上がっている。あと、1stと比較したらという話であって、音質はまだまだ荒々しい(演奏は前のめり感も含めて素晴らしい)し、トータルの印象は疾走感のある爆走スラッシュメタルであることに変わりはないです。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★★

 リフとスピード感が本当に素晴らしいですぞ。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 良いリフを持ったスラッシュメタル好きにどうぞ。Whiplashの1stとか好きな人にもいいんじゃないか。ちょっと似てるかもと思った。

 

Sauron / Thrash Assault

アメリカのブラック/スラッシュメタル SauronのThrash Assaultをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 どれを最初に買ったか覚えてないんだけど、多分最初に2nd買って、そのあとこの1stを入手しました。Amazonには…ないですね。

 

2.内容

    2004年リリースの1st。ノイジーで薄く尖った硬質なギターサウンドに、前のめりで荒々しいドラムで構成された蛮族スラッシュメタル。3rdに比べるとかなり勢い先行だが、この手のブラック/スラッシュバンドに求めるものを100%体現してくれていると思う。ブラストビートも含め攻撃性が高く、とにかく勢いがある。一方でリフもスラッシュメタル的わかりやすさがあり、結構印象的。#7はKreator 1stからのカバーとのことが、通して聞いてたら違和感ないので気づきません。

 いわゆる分厚くヘヴィなサウンドでは全然ないけれども、この薄っぺらさも含めてスラッシュメタル的にはOKです。初期KreatorとかDestructionを聞ける人なら行けると思います。個人的にはMutilatorの1stと同じような感じで聞けたが、このアルバムは2004年リリースなんだよね。いい意味で現代的でない、オールドスクールサウンドです。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★-

 汚いスラッシュとしてかなり高得点。おススメ。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 ブラックスラッシュって何?に対するわかりやすい模範解答になると思いました。汚くて勢いのあるメタルをご所望であればぜひ。

 

Condemned / Realms of The Ungodly

 

Realms Of The Ungodly

Realms Of The Ungodly

 

 

アメリカのブルータルデスメタルバンド CondemnedのRealms of The Ungodlyをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 新宿ディスクユニオンデスメタルコーナーで見かけて。レーベルがかのUnique Leaderだったのできっとブルータルデスだろうと思い購入。Unique Leaderとは、Deeds of Fleshのメンバーが興したブルータルデスのレーベルだそうです。

 

2.内容

    2011年リリースの2nd。上記の通りUnique Leaderからのリリース。果たして期待通りの高品質ブルータルデスであった。

 歌詞が判らない系の超低音グロウル、ハーモニクスを混ぜ合わせた低音の刻みリフ、アホみたいなスピードと持続力のブラストビートは、ブルータルデスに期待するそれである。テンポを落としたミドルパートもあるが、基本的には全編張り詰めたテンションで爆走している。ブルータルデスはどれも当然のようにテクニカルではあるのだが、このアルバムは結構曲やドラムパートが複雑めな印象。メロディやギターソロはほとんどなく、リフとドラムで押しまくる徹頭徹尾なブルータルデス。

 音質は文句なし。籠って感じもなく、各楽器がまとまりある形できれいに聞こえるが、一方で綺麗すぎるわけでもない近代デスメタルサウンド。Mastered ByにScott Hull(@Anal Cunt, Pig Destrotyer)のお名前が。

 暴虐的な音が詰まった10曲33分です。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★★

 高品質。ラーメン屋でラーメンを頼んだら、ラーメンが出てきた。他のアルバムも聞いてみたい。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 Deeds of Fleshを筆頭とする暴虐的なブルータルデスが好きな方には間違いないかと。

 

Venomous Concept / Poisoned Apple

 

Poisoned Apple

Poisoned Apple

 

 

アメリカ(といっていいのかわからないが)のグラインドコアバンドVenomous Concept のPoisoned Appleをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 Burrn!誌のインタビューだったかな。グラインドコアに詳しくない私でも知っているメンバーが揃っており興味を持ったので覚えていた。中古で見つけて購入。

 

2.内容

    2008年リリースの2nd。Earacheからのリリース。Napalm Death/Brutal Truthのメンバーらによる新バンド。

 やや荒々しい騒がしい音質で、スタンダード・シンプルな曲が並ぶ。乾いた感じのギターに、ぶりぶりと歪んだベースがシンプルなリフを奏で、ドラムはツービート中心に疾走する。ブラストビートの頻度は高くなく、勢いや攻撃性より、ノリの良さや体感速度を重視している感じがする。演奏や曲も崩壊的なものはなく、曲の輪郭が非常にわかりやすいもの。20曲43分(後半3曲はデモ版なので、実際は34分)。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★--

 高品質だとは思うけど、普通かな。あまりグラインドコアだと思って聞くと、期待した内容ではないかも。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 ノリのよいハードコア的なサウンドを聞きたい人へ。突撃グラインドコア好きには、ちょっと合わないと思います。

 

Wormrot / Voices

 

VOICES

VOICES

 

シンガポールグラインドコアバンドWarmrotのVoicesをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 忘れたけど、浅草デスフェストで知ったんじゃなかったかな。知らずにライブで聞いて、あまりにかっこいいもので会場で即買っていった記憶がある。

 

2.内容

    2016年リリースの3rd。Earacheからのリリース。20曲27分のグラインドコアなのだが、リフの多彩さとフックが素晴らしい。基本的には低音でザグザグとしたリフではあるのだが、コード感・メロディ感のあるリフが非常に新鮮(#2 Hollow Rootsなどは顕著で、最初のリフはブラックメタルみたいな荒涼感がある)。だからといって落ち着いた印象というのは全くなく、グラインドコアとしての攻撃性は非常に高い。ブラスト以外にも変則拍子のリズムや高速ツービートもあり、テンポチェンジ・ストップ&ゴーで飽きさせない。ボーカルは低音でのグロウルと、デスメタル的な咆哮の両方を使いこなし、とても曲に合っている。

 1曲1曲がちゃんとアイコニックであり、すべてカッコいい。グラインドコアの範囲内で多彩な表現を用いて曲に緩急をつけており、全体としてはものすごい疾走感がありながら飽きずに一気に聞きとおさせる力がある。音質も演奏もパワーがあり且つ機械的な感じもなく、非常によい。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★★

 これは本当におススメです。1st, 2ndも欲しい。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 エクストリームミュージック好きには基本的にお勧めしたい。100%突撃のみのグラインドコアを聞きたい人にはダルい部分があるのかもしれないけど、曲の良さを求める向きにはとても良いと思います。

Cadaver Inc / Discipline

 

Discipline

Discipline

 

 ノルウェーのブルータルブラック/スラッシュメタル Cadaver IncのDisciplineをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 どこかのレビューサイトで推されていたからと思う。前身のCadaverは未だに聞いたことないんだよな。

 

2.内容

 2001年の1st。これ1枚で解散しているから、これだけ持っておけばいい。Earecheから出てたんですね。メンバーを見るとAura NoirやらDodheimsgardなどノルウェーブラックメタルの面々が見受けられる。

 まず耳に入るのは、物凄い手数と勢いで強烈なビートをたたき出すドラム。やや乾いた生々しい音で非常に切れ味があるサウンド。ブラストビートの体感速度はかなりのもの。曲は変拍子やミドルテンポも交えて展開されるため、ブラスト一辺倒ではなく緩急がある。

 ギターは、フレーズとしてはブラックメタル的なトレモロやコード感のリフなのだが、ギターの音色やメロディに寒々しいものはなく、むしろテンションの高さと熱さを感じる。ボーカルもブラックメタル的な喚き声であるが、非常に曲に合っている。

 音質はクリアだが、分離されすぎて機械的サウンドにはなっておらず、生々しい。曲はブラック・デスメタルの枠内でありつつも、バラエティに富んでいて39分を飽きずに一気に聞きとおさせる魅力がある。

 

 3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★★

 これは推せる。エクストリームメタルとして純粋に質が高い。ドラムのCzal氏が事故でもうドラムが叩けないというのは惜しいという他ない。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 広義のエクストリームメタル好きは聞いて損がないと思う。殊に「速さ」が好きな人。

Maze of Torment / The Force

 

Force

Force

 

スウェーデンのメロディックブラック/デスメタルMaze of TormentのThe Forceをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 買ったのは相当昔だから何も覚えていないが、バンド名がMorbid Angelの曲から取られていたから興味を持ったと思う。

 

2.内容

 1997年の1st。初期スウェディッシュデスメタル的な湿った雰囲気と音を持つ。この音の感じは聞き覚えがあるなと思ったら、Dan Swanoのミックスのようである。

 刻み多用ではなく、コード感のある和音リフやトレモロを伴ったメロディアスなリフが多いので、個人的にはDissectionを思い出した。キーボードはなく、ギターのみで曲の雰囲気を作っている。ボーカルもブラックメタル的な喚きと感じた。高速で駆ける曲が多いが、ブラストや曲自体の体感速度もそれほどではなく、割と聞かせる曲が並んでいる。

 クラシカルで派手なメロディはないが、メロディアスなリフを持ったブラック・デスメタルというところ。名前でMorbid Angelっぽさを期待したが、特に音楽的に似てはいない。

 

 3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★--

 久しぶりに聞いたけど、メロディあるデスメタルだったんですね。しかし、地味。でもあまりタイプのこういうバンドって思い浮かばない。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 湿った初期スウェディッシュデスの感覚と、メロディアスなギターリフが好きな人。Children of Bodomみたいな派手派手なメロディはないです。

The Faceless / Autotheism

 

Autotheism

Autotheism

 

アメリカのプログレッシブデスメタルThe FacelessのAutotheismをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

 事前情報なし。立川ディスクユニオンメタルコアコーナーに置いてあったのでなんとなく。調べてみると、プログレデスということで、あまり詳しくないが買ってみた。

 

2.内容

 2012年リリースの3rd。技術と複雑さを先鋭化しかBraindrill系なのか、幽玄な雰囲気で曲を聞かせるOpethやCynic系のどっちなのか知らずに買ったが、少なくともこのアルバムは後者。

 ピアノやストリングスを交えつつ、ミドルテンポでギターが不協和音や浮遊感のあるリフ・メロディを紡ぐパターンが多い。歪んだディストーションとツーバス・ブラストを組み合わせたデスメタルパートもあるかと思えば、アコースティックなギターとクリーンなヴォーカルによる静謐なパートもあり(OpethよりはポーランドのRIversideっぽい感触かな)。両方を組み合わせた、ブラスト+クリーンヴォーカルパートもある。

 リズムやギターフレーズで難易度の高いことはやっており、1曲の中で様々に展開するものの、総じて曲は聞きやすい。高速・ハイテンションな曲はあまりなく、デスメタル成分は要素として使っている感じ。デスヴォイスとクリーンボーカルの出番は半々くらい。

 音質はクリアで何の問題もなし。2000年代以降の高品質に作りこまれたメタルサウンドといった感じ。

 

 3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★★★-

 抒情系プログレッシブデスとしては非常に高品質だと思います。個人的にはデスメタルとしてではなく、AndromedaとかDrean Theaterのようなテクニカルメタルの感覚で聞いている。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 プログレメタル好きには刺さると思います。(ガチのデスメタルファンは買わなくていいです)

Vomitchapel / The House of the Lord Despoiled

 

House of the Lord Desp

House of the Lord Desp

 

 アメリカのブラック/デスメタルVomitchapelの The House of the Lord Despoiledをレビュー。Amazonで買えるのか…。

 

1.作品を選んだ理由

 事前情報なし。立川ディスクユニオンで非常にWar/Bestial感のあるジャケだなーと思い手に取ったもの(確かWar/Bestial Black Metal Guide Bookにも載っていたような)。名門Osmoseからのリリースだしええやろと思い購入。

 

2.内容

 2012年リリースの1st。これは凄いですよ。冒涜的且つ原始的な音の嵐。ギターは歪みまくって且つ低音のリフを弾くまくり、リフの輪郭はほとんど感じられない。ドラムもポコポコした音でリズムが合っているのかいないのかよくわからない混沌としたブラストビートをたたき出しておる。ボーカルは低音でひたすら吠える。これらの音が混然一体となってぶつかってくる(しかもドラムは録音レベルなのか音割れ感すらある)。勢いと迫力だけは凄い、ある意味究極的な音。メロディとかは存在しません。Procalamationみたい。全27分。

 

 3.感想/評価(★の5段階評価)

 ★★---

 凄いは凄いが、気に入っているか?と言われると微妙か。正直あんまり聞かないよね。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

 もっと汚く・もっと冒涜的な音楽を!と希求する方は聞いてみるよい。高品質でコンテンポラリー(現時代的)なデスメタルを求める方には全くおススメしません。