体験記:ふつうの系譜(府中市美術館)
府中市美術館の「ふつうの系譜」展に行きました。
1.鑑賞のきっかけ
地元の美術館で、且つあの「へそ曲がり」展で面白い企画と講演をしてくれた金子学芸員ということで、これは行かざるを得ない。 https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/futsu.htmlwww.city.fuchu.tokyo.jp
2.内容
件名は辻惟雄『奇想の系譜』と一昨年~昨年くらいに流行った関連展示への意趣返しとでも言おうか。江戸当時における奇想/最先端に対し、ではその時代の「ふつう」ってなんだったのさ?という観点から、普遍的な美しい作品を中心に並べた展示。大半が敦賀市美術館からの借り物による、コラボレーション企画となっている。
一言に「ふつう」といっても、平安時代から続くその世代の「普通」という価値観を示すものと、「普遍的な美」を追求したものと、異なる方向性のものが並んでいる。前者は「やまと絵」「水墨画」などの系譜、後者は円山応挙に代表される強固な観察力による写実性を追求したような美しい絵。後者は技法やコンセプトでいえば当時の最先端あるいは異端だったような気もするが、絵としてて見るとなるほど確かに、普遍的できれいな絵だなと現代でも感じられるもの。みんなが大好きな子犬の絵とかね。
この展示に奇想の画家たちの展示はないので、奇想との対比は各自でお願いします、ということになるが、目を楽しませる絵の数々は心穏やかに見ることができる。また、金子イズムをどことなく感じる、ややトボけた雰囲気を纏いつつも丁寧で詳細なキャプションが非常に助かる。「展示内には作者の説明はありません」とのことで別冊で作者解説が配布されていたが、絵のキャプション+別冊解説と考えれば、むしろ十分な解説量になっていたと思う!
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
安定の出来。もっとやってくれ。
4.どのような人に推奨するか
日本画好きは安定して訪れていただきたい。円山応挙・長澤芦雪などの子犬が見れるよ。
Ex.ギャラリー
外観
写真撮影用のボード
Devourment / 1.3.8
アメリカのデスメタルバンドDevourment / 1.3.8 をレビュー。
1.作品を選んだ理由
2019年に新作が出てから、過去作をずっと聞いている。
2.内容
1999年にリリースされた1stアルバム"Molesting the Decapitated"からの8曲に、新曲1曲、デモ3曲を加えて2000年に再発された、文字通り1.3.8なコンピレーションアルバム。手持ちはDispleased Recordsのもの。
デキサスデスメタル…超低音で圧殺するようなヘヴィリフに、全く聞き取れない低音グロウル、リズミックなビートダウン、超高速ブラストビート。これらの要素を極端に先鋭化した超激しいデスメタル。昨今ではスラミングブルータルデスメタルバンドっていっぱいいるみたいだけど、それらの始祖と崇められるバンド。高めにチューニングされた跳ね返りのよさそうなスネアから繰り出されるどうやって叩いているのかわからない「スコココココ」といった超高速ブラストビートがとにかく印象的。この軽快なスネアサウンドは後発のアルバムでは聞けないので、彼らのラインアップの中でもある意味唯一無二。ドラムのために聞いている。
新曲1曲は1stの曲と馴染んでいて違和感なし。デモ3曲はサウンドは荒いけど、十分迫力あり。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
名盤!この作品が上位互換なので、コレクション以外の目的で1stアルバムを別で買う必要はないです。
4.どのような人に推奨するか
乙一 / 天帝妖狐
- 作者:乙一
- 発売日: 2001/07/19
- メディア: 文庫
乙一 / 天帝妖狐 をレビュー。
1.作品を選んだ理由
本屋をうろついていた時に「そういえば乙一って見たことあるなぁ~昔流行ってなかったっけ?」と思って買ってみた。
2.内容
2001年、集英社文庫から。1978年生まれで、本作出版時点ではまだ23歳。ジャンプ小説大賞の投稿時は高校生だったというから、早熟な作家であることだ。本作は中編の『A MASKED BALL』『天帝妖狐』の2編を収録。前者はトイレの落書きをめぐる卑近で世俗的な世界観のプチホラー。後者はややファンタジックではあるがホラー要素は薄く、どちらかといえば人との繋がりにフォーカスされているような気がした。結構テイストが異なる作品が収録されているなと思った。ホラー成分として期待される悪意や恐怖感はさほどでもなく、原因や仕組みは特に明かされるでもなく、なんともカジュアルでライトな感じだったな。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
ケンタッキー食べながら、なんとなく読了。
4.どのような人に推奨するか
どうだろう?これはホラーなんだろうか?青春小説的だと思ったけど。
我孫子武丸 / 殺戮にいたる病
- 作者:我孫子 武丸
- 発売日: 2017/10/13
- メディア: 文庫
我孫子武丸 / 殺戮にいたる病 をレビュー。
1.作品を選んだ理由
本屋で俗悪なタイトルとウエア表紙のキャプションに魅かれて購入。
2.内容
1996年、講談社文庫から。作者の我孫子氏はゲーム『かまいたちの夜』でのシナリオライターを務めていたらしいというのは、買ってから知った。本格的なホラー&ミステリー。
性的倒錯と悪徳がこれでもかというほどに詰め込まれ綿密に描写されるホラーパートが非常に恐ろしい。闇だとか未知への恐怖ではなく、残酷な肉体的な恐怖がある。東京で発生した猟奇的なシリアルキラー。読者目線では犯人は初めから分かっていて、犯人を含む複数人物の主観が入れ替わりながら物語は進んでいく。
本作は所謂「叙述トリック」が使われており、正直一番最初は、最終ページ最終行を読んだその瞬間ですら、どういう結末だったのか、あのシーンは何だったのか、理解できなかった。「????」となっていた。その仕掛けが判ると、頭に思い描いていた映像が急速に塗り替わり、技術的な観点で大変に感心・感動した。これはスゴイわ…。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
読み終えるつもりはなかったのに、深夜までかけて一気に読了してしまった。その後呆けながら、めっちゃ事件の推移とトリックを考えた。そんな本。
4.どのような人に推奨するか
まず前提として猟奇的で残酷な描写がOKな(耐えられる)人。そのうえで、叙述トリックとは何ぞやと思う人。是非。
エラリー・クイーン / Xの悲劇
- 作者:エラリー・クイーン
- 発売日: 2019/04/24
- メディア: 文庫
エラリー・クイーン / Xの悲劇をレビュー。
1.作品を選んだ理由
『十角館の殺人』の登場人物の一人、エラリイの元ネタで読んでみようと思った。
2.内容
1932年の作品で、手持ちは創元推理文庫から2019年に出版された中村有希訳。角川や早川等複数出版社からのリリースもあったが、最も新しいと思われるこちらを選択。
ニューヨークの交通機関で起きる連続殺人。類まれな観察力と推理力を持つ引退俳優ドルリー・レーン氏を探偵役に戴く推理小説。発生事象(手がかり)が極めて綿密に描写され、その手がかりをもとに真実を探偵役が導く、名探偵モノの王道的な構成。足で稼ぐのは検事と警察で、その手がかりから推理をする安楽椅子探偵がドルリー・レーン氏という役割分担。都会的なニューヨークの街並みと、山奥のイギリス趣味の古風なハムレット荘という対比もわかりやすい特徴。
ドルリー・レーン氏はかなり初期段階から犯人が分かっている節がある(つまり、最初の事件が説明される時点で回答を導く材料は提示されているということか)が、読者である自分にはさっぱり分からないまま。いや、明らかに怪しいヤツはいるんだけど、絶対こいつは犯人じゃないだろうな、っていう。結局最後の解答編までわからなかったです。ただ、ドルリー・レーン氏も、「状況からこうであったに違いない」を導いているだけであって、その動機や背景の全てを椅子の上で把握しているわけではなく、最後の解答編でようやく氏が知り得ることもある。自分は推理小説で犯人を当てるつもりで読んでいないので、綿密な描写にやや疲れてしまったが、本気で読めば彼のように犯人Xがわかるものなのだろうか?
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
ネタが割れた今、再度読み返したい作品。
4.どのような人に推奨するか
古典やね。500ページ弱の長編でボリューム感あるので、元気があるときに読んでみてください。
綾辻行人 / 緋色の囁き
- 作者:綾辻 行人
- 発売日: 1997/11/14
- メディア: 文庫
綾辻行人 / 緋色の囁きのレビュー。
1.作品を選んだ理由
『十角館』『水車館』ときて、別シリーズのこちらも読んでみる。
2.内容
原作は1988年、作者の4作目であり『館』シリーズから離れた『囁き』シリーズの第一作。館シリーズがミステリー:ホラーの割合が8:2だとするならば、少なくとも本作ではその割合は2:8に逆転している。つまりホラー要素が強まっている。闇と未知に対する恐怖感と緊張感が、非常なる臨場感を持って書かれている。最初の事件を発見する下り。開かずの間であるはずの特別室から漏れ出る光、それに近づき扉を開けようとする際の綿密な描写でやられた。とにかく読んでてドキドキする。また、その臨場感と表現力はとても映像を喚起する力がある。解説にもあるけど、非常に映像的・映画的であり、閉鎖的な伝統女子高という舞台設定も相まって耽美的とも言えるのではなかろうか。ドラマティック。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
確かに館シリーズとはテイストが異なるが、このシリーズも面白そうだなぁ。
4.どのような人に推奨するか
衝撃の結末ではなく、その恐ろしくも耽美な過程を楽しむ作品。
Human Mincer / Degradation Paradox
スペインのデスメタルバンド、Human Mincer / Degradation Paradoxをレビュー。
1.作品を選んだ理由
全く知らんけど、レーベル買い。Brutal Bandsっていうレーベル覚えとこ。
2.内容
2008年にBrutal Bandsからリリースされた3rdフルアルバム。今このバンドは活動休止中(On Hold)っぽいので、この3rdが現時点での最新・最終作。
スペインのデスメタルといえば、宇宙的なジャケで有名なWormedさんが有名だが、このバンドの方向性もそれに近いものがある。荒々しく歪んだヘヴィなギターによる低音中心のリフに、ムチムチと圧力のあるドラムによるツーバス&ブラストを中心としたストレートなブルータルデスメタル。Internal Sufferingとかにも近しい感じ。8曲27分とコンパクトなのもいい感じ。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
特徴的かといわれるとそうでもないんだが、素直に質が高くてイイのではないかと思います。
4.どのような人に推奨するか
いっぱいブルータルデスメタルを聞きたい人向け。
遠藤周作 / 白い人・黄色い人
- 作者:周作, 遠藤
- 発売日: 1960/03/17
- メディア: 文庫
遠藤周作 / 白い人・黄色い人のレビュー。
1.作品を選んだ理由
ブックオフうろうろしてて発見。『海と毒薬』で読んだ真っ黒な雰囲気を思い出して、手に取ってみた。
2.内容
中編2編を含む文庫。1955年に芥川龍之介賞を受賞した『白い人』と、これと似たような主題を持つ『黄色い人』が収録されている。やっぱり遠藤周作の作品を読む上では、氏がキリスト教を修めていて、これを主題と設定している点を抑えておかなければならない。そのうえで、人間の醜悪な面に触れた「人間」を追求するような作品。淡々と暗い。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
特にかなー。
4.どのような人に推奨するか
エドガー・アラン・ポー / 黒猫・モルグ街の殺人
エドガー・アラン・ポー / 黒猫・モルグ街の殺人 をレビュー。
1.作品を選んだ理由
本屋でふと目に入って。ポーを読んだことが無かったのと、Iron MaidenのKillersに『Murders in the Rue Morgue』というそのものずばりな曲名があるので。
2.内容
本書は2006年に光文社古典新訳文庫からリリースされたもの。エドガー・アラン・ポーは19世紀前半に活躍した詩人・小説家で、本作では1840年前後に書かれた8編の怪奇的な短編集が納められている。解説にもある通り、結構書き方が特徴的で、イントロダクションとして一般論的な枕をひとしきり語った後に本題に入っていくという、落語的な構成となっているケースが多い。そういう意味で、小説よりエッセイ風な雰囲気も感じられる。前半をすっ飛ばして本編部分だけ読みたいと思ってしまうときもある。『モルグ街の殺人』はその面倒なイントロ部分を抜きにすれば、不可能犯罪に挑戦する探偵と、状況証拠を一つ一つ読み解き論理的に原因を導く様は、極めて推理小説的。なるほど確かに元祖と言われるだけある。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
『モルグ街の殺人』はわかりやすい方。何が何だったのか、よくわからない話もある。
4.どのような人に推奨するか
怪奇的な短編小説を読みたい方へ。
綾辻行人 / 水車館の殺人 <新装改訂版>
- 作者:綾辻 行人
- 発売日: 2008/04/15
- メディア: 文庫
1.作品を選んだ理由
『十角館』で衝撃を受け、2作目を早速購入。
2.内容
原作は1988年、作者の2作目であり『館』シリーズとしての2作目。『十角館』同様、近年になって作者本人が手を加えて新装改訂して講談社文庫より出版された。相変わらず、怪しい館に妖しい住人の集まりと、奇々怪々なる殺人事件。プロローグで既に発生している猟奇的な殺人の雰囲気と、現在と過去を行き来する構成が特徴的。仮面をつけた車椅子を使う館の当主が既に妖しさ満点すぎる…。どうしても漫画版『金田一少年の事件簿』を思い出すなあ。個人的には非人間的な因果を感じさせる最終盤のエピソードも好き。
推理小説である、という点について優れている。キャラクターやドラマで魅了するではなく、まず舞台とトリックがある。所謂名探偵というキャラがいないところがイイ(いや一応いるにはいるんだが、全編を貫く主要人物ではない)。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
衝撃度は十角館のが上だけど、これも構成が美しい。
4.どのような人に推奨するか
中川右介 / クラシック音楽の歴史
- 作者:中川 右介
- 発売日: 2017/09/23
- メディア: 文庫
1.作品を選んだ理由
本屋で目立つところに陳列されており、タイトル買い。
2.内容
2013年の本を加筆修正する形で2018年に角川ソフィア文庫から刊行された。ルネサンス期以降に西洋で発達した所謂『教科書で習いみんながクラシック音楽だと思っているクラシック音楽』について、ジャンルとしての歴史を書いた本。時代順に99のトピックを積み重ねる形で構成されており、どこから読み始めてもよい、という構成。特定の作曲者にフォーカスした章もあり、トリビア的なエピソードもあり。取り上げられている作曲家は本当に基本的。多分クラシック音楽に詳しい人は、浅いと感じるであろう。あくまで観点は、クラシック音楽が現代にいたるまでに進化していく音楽の歴史。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
タイトル通りの本。
4.どのような人に推奨するか
Sabaton / Heroes
スウェーデンのパワーメタルバンド Sabaton / Heroesをレビュー。
1.作品を選んだ理由
遡って購入。既にThe Last Stand, Great Warや本作に伴うライブ盤を持っております。
2.内容
2014年リリースの7thアルバム、毎度のNuclear Blastからのリリース。
これ以降のライブでおなじみ"Night Witches"や"To Hell And Back"、"Regist and Bite"などが並ぶ。楽曲的にはThe Sabaton以外の何物でもない感じで、特にいうことなし。プロダクションもクリアでスッキリ(ちょっと重厚感が足りないかも)。日本盤ボーナスでMetallicaのカバーを含む4曲アリ。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
普通に優れた一枚です。
4.どのような人に推奨するか
Sabatonに興味がある人、好きな人はこれも買ってOK。日本盤ボーナスはあってもなくても…な感じなので、輸入盤購入でも全く問題ないです。
綾辻行人 / 十角館の殺人 <新装改訂版>
- 作者:綾辻 行人
- 発売日: 2007/10/16
- メディア: 文庫
1.作品を選んだ理由
普段ミステリーは読まないのですが。この記事で読んで、買ってみた。
prtimes.jp
2.内容
原作は1987年だが、近年になって作者本人がやや手を加えて新装改訂された。講談社文庫より。500ページくらいあるけど、字と余白が大き目なので、結構短く感じた。もちろん短く感じたのは、作品自身が読ませる力に優れているからであるが。文体は新聞か教科書かというようなというほどに明快でわかりやすい。次々に起こる死は、恐怖よりも次なる謎を呼び起こし、どんどん読み進めたくなる。そして明かされる犯人とあの事実。本当に美しくてため息が漏れるようだった。その後の解答編も丁寧で、何が起きていたかが明快に明かされる。そしてプロローグと対をなすエピローグ。舞台設定や動機設定にケチを付けようと思えば思えなくもないが、このまとまり感と納得感の前には些事。とにかく面白かった。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
あまりに面白くてビビリ散らかしている。ミステリーってこんな感覚が楽しくて読むものなんだろうな。
4.どのような人に推奨するか
ミステリー初心者でもすごく読みやすいと思います。大変おススメ。こんな感覚が味わえるなら、同作者の他シリーズも読んでいきたい所存。
Cattle Decapitation / Death Atlas
- アーティスト:Cattle Decapitation
- 発売日: 2019/11/29
- メディア: CD
アメリカのデスメタルバンド Cattle Decapitation / Death Atlasをレビュー。
1.作品を選んだ理由
凄く前に牛ジャケで有名な3rdを聞いたことがあるので、今どんなもんかな?と買ってみた。
2.内容
2019年にMetal Bladeからリリースされた8thフルアルバム。なんかのインタビューで読んだけど、彼らはCarcassっぽいことをやろうとしてバンドを結成したらしい。歌詞のテーマも動物虐待や環境破壊などの社会的なものであるらしいし、バンドメンバー自身もヴィーガンであるとか聞いたぞ。
サウンドは、かっちりと硬質なデスメタルをベースとしながら多彩で振れ幅が大きい。Marduk, The Legionあたりを想起するスウェディッシュスタイルのファストブラックメタルっぽい壮大でメロディックなブラストパートもあれば、低音でゴリゴリに刻むモダンなデスメタルパートもアリ。ボーカルが特徴的で、影響源であるCarcassも思わせる喚き系のハーシュヴォイスと低音グロウルのコンビネーションに加え、クリーンボーカルもかなりの割合で顔を出す。クリーンボーカルといっても、朗々と綺麗に歌う感じではなく、なんというかAcceptのUdo Dirkschneiderさんのような金切りダミ声で、浮遊感のあるメロディーを歌い上げている。この点は好き嫌いがわかれそうな気がする。加えてムーディなインストもありで、激烈ではありつつもメロディー成分が多めなエクストリームメタルといった感がある。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
先に挙げた諸要素が効果的に働いているかというと、自分にとってはそうでもなかったので、普通。
4.どのような人に推奨するか
いろんな要素があるのでターゲットを明言するのが難しい。エクストリームメタルではある。
W・シェイクスピア / 新訳 オセロー
- 作者:シェイクスピア
- 発売日: 2018/07/24
- メディア: 文庫
1.作品を選んだ理由
初オセロー。新潮版ではなく新訳の角川版を選んだのは、新訳ハムレットの丁寧さに心打たれたから。
2.内容
2018年角川文庫から、河合祥一郎氏の訳本。ムーア人の将軍オセローが、副官イアーゴーの奸計によりその妻デズモデーナの愛情に対して疑念の塊になってしまい、無実の不義を追求した挙句最終的には自身の手で妻を殺してしまう。お話自体は分かりやすく、月曜夜11:00くらいにやってそーなドロドロの恋愛ドラマといった趣がある。それに合わせて登場人物たちの会話も卑近で、悲劇に至る動機も含め現代人にとっても理解できる内容だなと思えた(オセローは大仰な話し方をするクセがあるが…)。
河合さん訳だけに、掛詞や言葉遊び・韻文といった英語の原文要素をうまいこと日本語に置き換えている。卑近さとわかりやすさはこの翻訳によるところが非常に大きいと思う。他の訳者だったらもっと格調高い感じになるのかもしれないね。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
わかりやすい!
4.どのような人に推奨するか
四大悲劇の中では、短いし登場人物の心情もわかりやすいしで、最も読みやすいのではないかしら。