めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

綾辻行人 / 水車館の殺人 <新装改訂版>

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

綾辻行人 / 水車館の殺人のレビュー。

1.作品を選んだ理由

 『十角館』で衝撃を受け、2作目を早速購入。

2.内容

 原作は1988年、作者の2作目であり『館』シリーズとしての2作目。『十角館』同様、近年になって作者本人が手を加えて新装改訂して講談社文庫より出版された。相変わらず、怪しい館に妖しい住人の集まりと、奇々怪々なる殺人事件。プロローグで既に発生している猟奇的な殺人の雰囲気と、現在と過去を行き来する構成が特徴的。仮面をつけた車椅子を使う館の当主が既に妖しさ満点すぎる…。どうしても漫画版『金田一少年の事件簿』を思い出すなあ。個人的には非人間的な因果を感じさせる最終盤のエピソードも好き。
 推理小説である、という点について優れている。キャラクターやドラマで魅了するではなく、まず舞台とトリックがある。所謂名探偵というキャラがいないところがイイ(いや一応いるにはいるんだが、全編を貫く主要人物ではない)。  

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 衝撃度は十角館のが上だけど、これも構成が美しい。

4.どのような人に推奨するか

 トリックとアイデアと妖しい雰囲気に溢れた推理小説を読みたい人。