我孫子武丸 / 殺戮にいたる病
- 作者:我孫子 武丸
- 発売日: 2017/10/13
- メディア: 文庫
我孫子武丸 / 殺戮にいたる病 をレビュー。
1.作品を選んだ理由
本屋で俗悪なタイトルとウエア表紙のキャプションに魅かれて購入。
2.内容
1996年、講談社文庫から。作者の我孫子氏はゲーム『かまいたちの夜』でのシナリオライターを務めていたらしいというのは、買ってから知った。本格的なホラー&ミステリー。
性的倒錯と悪徳がこれでもかというほどに詰め込まれ綿密に描写されるホラーパートが非常に恐ろしい。闇だとか未知への恐怖ではなく、残酷な肉体的な恐怖がある。東京で発生した猟奇的なシリアルキラー。読者目線では犯人は初めから分かっていて、犯人を含む複数人物の主観が入れ替わりながら物語は進んでいく。
本作は所謂「叙述トリック」が使われており、正直一番最初は、最終ページ最終行を読んだその瞬間ですら、どういう結末だったのか、あのシーンは何だったのか、理解できなかった。「????」となっていた。その仕掛けが判ると、頭に思い描いていた映像が急速に塗り替わり、技術的な観点で大変に感心・感動した。これはスゴイわ…。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
読み終えるつもりはなかったのに、深夜までかけて一気に読了してしまった。その後呆けながら、めっちゃ事件の推移とトリックを考えた。そんな本。
4.どのような人に推奨するか
まず前提として猟奇的で残酷な描写がOKな(耐えられる)人。そのうえで、叙述トリックとは何ぞやと思う人。是非。