エラリー・クイーン / Xの悲劇
- 作者:エラリー・クイーン
- 発売日: 2019/04/24
- メディア: 文庫
エラリー・クイーン / Xの悲劇をレビュー。
1.作品を選んだ理由
『十角館の殺人』の登場人物の一人、エラリイの元ネタで読んでみようと思った。
2.内容
1932年の作品で、手持ちは創元推理文庫から2019年に出版された中村有希訳。角川や早川等複数出版社からのリリースもあったが、最も新しいと思われるこちらを選択。
ニューヨークの交通機関で起きる連続殺人。類まれな観察力と推理力を持つ引退俳優ドルリー・レーン氏を探偵役に戴く推理小説。発生事象(手がかり)が極めて綿密に描写され、その手がかりをもとに真実を探偵役が導く、名探偵モノの王道的な構成。足で稼ぐのは検事と警察で、その手がかりから推理をする安楽椅子探偵がドルリー・レーン氏という役割分担。都会的なニューヨークの街並みと、山奥のイギリス趣味の古風なハムレット荘という対比もわかりやすい特徴。
ドルリー・レーン氏はかなり初期段階から犯人が分かっている節がある(つまり、最初の事件が説明される時点で回答を導く材料は提示されているということか)が、読者である自分にはさっぱり分からないまま。いや、明らかに怪しいヤツはいるんだけど、絶対こいつは犯人じゃないだろうな、っていう。結局最後の解答編までわからなかったです。ただ、ドルリー・レーン氏も、「状況からこうであったに違いない」を導いているだけであって、その動機や背景の全てを椅子の上で把握しているわけではなく、最後の解答編でようやく氏が知り得ることもある。自分は推理小説で犯人を当てるつもりで読んでいないので、綿密な描写にやや疲れてしまったが、本気で読めば彼のように犯人Xがわかるものなのだろうか?
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
ネタが割れた今、再度読み返したい作品。
4.どのような人に推奨するか
古典やね。500ページ弱の長編でボリューム感あるので、元気があるときに読んでみてください。