めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

芥川龍之介 / 侏儒の言葉・西方の人

侏儒の言葉・西方の人 (新潮文庫)

侏儒の言葉・西方の人 (新潮文庫)

芥川龍之介 / 侏儒の言葉西方の人 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 『侏儒の言葉』が芥川版「悪魔の辞典」と聞いて。これを読みたかったのである。

2.内容

 1968年かな?新潮文庫からリリース。 何度か改版されているのかな、手持ちには平成5年(1994年)に書かれた解説が巻末にあります。
 『侏儒の言葉』は芥川版「悪魔の辞典」と書きましたが、様々な事柄に対する芥川くんのひねくれた厭世的一言コメント集みたいなものです。時期的に晩年(1927年自殺に対して、1925~1927年頃の作品)であり体調が悪かったという点は、本編の内容と無関係ではないだろうなぁと思わせる。本編冒頭で『必ずしも私の思想を伝えるものではない』と言ってはいるものの、やはり思想的な書だと感じますな。
 「理性の私に教えてるものは、畢竟理性の無力さであった」
 「眠りは死よりも愉快である。少なくとも容易には違いあるまい」
 なお、侏儒というのは「見識のない人をあざけっていうこと」らしいですよ。自嘲的・自虐的なタイトルです。

 『西方の人』は、芥川流のイエスキリスト論であるという。すいませんよくわかりませんでした。聖書を履修したのち、もう一度読んでみようと思います。  

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 すごい面白い!という類の本ではない。

4.どのような人に推奨するか

 物語ではないです。芥川のモノの捉え方や語る言葉の妙味を味わう本です。芥川の思想的な部分に興味がある人に推奨します。興味がない人、キリスト教知らない人あたりは…全然面白くないのかもしれない。