横溝正史 / 犬神家の一族
1.作品を選んだ理由
例のシーンだけ映像として知ってるが、原典は読んだことが無かったなあと。『獄門島』に続いて読んでみます。
2.内容
1972年に角川文庫から。横溝正史作品は角川社長が作者にほれ込んで角川レーベルでめっちゃ書いてもらったってホント?金田一耕助シリーズとしてはこれが5作目の模様。ちな、『獄門島』は3作目。Amazonの表紙画像とは違って、手持ちは黒字に石みたいなもので「族」の文字がデザインされたクールな装丁です。こっちのがカッコイイです。
巨大財閥の相続を巡る複雑な家庭のドメスティックな殺人劇。事件の内容や推理部分はさておき、文章のうまさ・美しさに触れておきたい。簡潔でありながら豊かな語彙と描写力に引き込まれます。また、当時雑誌連載作品だったからなのか、興味を維持させるような仕掛けがよく施されている。事件簿を後から回想したような作りになっているので、例えば冒頭で既に何人かが死亡する殺人犯罪が起きることは示唆されているし、リアルタイムで読み進めている読者目線では未来の事件に触れられたりする(後にして思えば、この出来事こそが事件のカギだったのである…的な)。そこがまたうまいなと思う。その辺も含めて、金田一少年の事件簿の世界観だなと思った。ホラー・グロテスクな感じはそんなにない。感情の機微の方がよく描かれている。映像で有名なあのシーンも、どういった状況なのかが理解できたので良かった。映像の絵面と小説の描写、結構違うじゃんね!
メモ:有名なスケキヨくんはこいつかぁ。あと、珠世さんもいるんだね。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
獄門島よりこっちのほうが大変面白く読めた。文章が洗練されている。
4.どのような人に推奨するか
個人的には文章が美しい古典として読んだ感じだったかな。ホラー・ミステリーとして読んでいたかというと、そこまででもないかな。