めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

三島由紀夫 / 夏子の冒険

夏子の冒険 (角川文庫)

夏子の冒険 (角川文庫)

三島由紀夫 / 夏子の冒険 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 妻の本棚シリーズ。

2.内容

 原作は1951年で、手持ちは角川文庫からのもの。三島にしては…という言い方が正しいのかわからんが、北海道の熊退治をめぐる冒険譚、その熊退治を志す井田青年と気位の高いイイトコのお嬢さん夏子の恋模様が中心で、表現も文体も極めて読みやすい部類に入る。数ページ単位で全30章に分割されているのも、なんだか連続テレビ小説ドラマみたいな感じ。当時の発表形体知らないんだけど、連載モノっぽいですよね。女性誌に載ってそう(偏見)。夏子を心配する家族たちの奔走はコメディタッチで描かれており、全体的にはかなりライトな雰囲気。一方で人間の肉体表現がどうにも艶めかしかったり、迫りくる熊の恐怖が克明な描写だったりに、あぁやはり史の作品だなとも思う。オチも良い。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 まぁまぁ。漫画みたい。

4.どのような人に推奨するか

 三島由紀夫の1作目には勧めないが、氏のライトな作品を読んでみたい人に。