めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

安部公房 / 砂の女

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

安部公房 / 砂の女 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 名作と名高い。新潮文庫の100冊フェアで取り上げられていた。あと、『壁』は以前読んで結構好きだった。

2.内容

 原著は1962年か。ドナルドキーン先生が解説を書いているが、前衛作家として捉えるのがイイのだろうか。本作では結構ミステリ調の読み味となっており、主人公は冒頭で行方不明のち死亡認定されることが分かっていて、そうなる過程とその謎が体験されていく。蟻地獄のような砂が堆積し続ける村落の家に文字通り囚われる主人公と、そこに住む(いや、こちらも囚われた…なのか)女の話。不気味で村民も女も何を考えているのかさっぱり分からない。そんな村から逃げ出すことを画策する主人公…という話。これを一人称視点で多彩な比喩を交えて心象を丹念に描く。面白かったとは思うんだが、これが20数か国後に翻訳され世界中で評価されたのはどういうことなんだろうね。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 古典やね。

4.どのような人に推奨するか

 すごくハマったわけではないが、古典として読んでも損はしないくらいには面白いと思うよ。