W・シェイクスピア / ハムレット
- 作者:ウィリアム シェイクスピア
- 発売日: 1967/09/27
- メディア: 文庫
シェイクスピア / ハムレットのレビュー。新潮の福田さん訳だよ。
1.作品を選んだ理由
妻の推挙による。きっかけはRushの"limelight"がシェイクスピア(人生は劇)そのままであるという指摘。
2.内容
1967年新潮文庫からの訳本。原作は1601年頃と言われている…日本では関ヶ原とかやってる頃に、イギリスではこんな作品が生まれていたのですね。
作品そのものは古典中の古典。デンマークの王子ハムレットが先王(父)の亡霊から奸計により現王位を手に入れた叔父に復讐を誓うという話。To be or Not to beの名文句や、歌いながら水に呑まれるオフィーリアさんが有名である。実は詳しい話を知らずに読んだが、結末には戦慄。妻にその感想を漏らしたところ、「まぁ悲劇なので…」と言われた。
翻訳は古いが、特に読みにくいとも思わない。どちらかというと、劇の脚本であるという点に頭を慣らしたほうがいいという感じ。本編は200ページほどなのだが、その後の50ページほどの解説が非常に面白い。作者や作品背景について言及する一般的な解説もさることながら、「劇でシェイクスピアを演じるにあたって」という観点での解説が出色。作劇内に見える言動から性格を勝手に推測してキャラクターを作り上げるのではなくそのセリフの作劇上の効果を考えて演じるべしとか、ストーリーから見える言動に合理的な一貫性を求めるな、とかの私的が非常に面白い。あらゆるフィクションで言えると思うが、人間の言動は「その時」を示すものであって、恒久的にそういうキャラクターであることを示さない。また、彼らがみんな合理的な判断によってのみ行動するわけではない(=合理的に見えない、一貫性のない言動をとることもある)というのは非常に得心する話。この辺は劇作・演出の分野でも活躍する訳者だから書けた内容なのだろう。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
解説でプラス1点。
4.どのような人に推奨するか
まぁ古典なので…どのような人にというのはないと思うけど、演劇の脚本であること、16世紀に書かれた物語であることを念頭に読める人におススメです。単純なエンターテインメントとして現代的な目線で見ても、よくわからないかもしれないので。