めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

朝井リョウ / 何者

何者(新潮文庫)

何者(新潮文庫)

朝井リョウ / 何者 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 本屋でエッセイを立ち読みして、面白い文を書く人だと思った。そのエッセイを買わずに、こちらを買ってみた。

2.内容

 2013年に直木賞を受賞した作品の新潮文庫版。執筆当時23歳くらいじゃない?うーん若い。そんな年代らしくテーマは就職活動とSNSの表裏/虚実(どー見てもTwitter)。作中の登場人物の一人は就職活動でOB訪問を繰り返しまくったり、名刺(大学生なのに…)を作ったりで自分を飾り、それでいて自分語りに過ぎる性格でグループワークや面接に受からず空回り。あなた(読者)はそんな子のことを冷笑するだろうか?主人公は冷笑する。基本的に主人公の一人称で書かれていることもあり、その点で主人公と読者はシンクロする部分があると思うが、その姿勢は物語後半で確実に刺されることになる。そこが本編の最高潮だと思った。自分はTwitterで裏垢を作ろうとは全然思わんし、自分自身で語れることしか発信しないつもりであるので、その点は共感しないがね。2013年ではあるけど、あぁこれがコンテンポラリーな小説なんだなぁと思った。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 スピード感のある文章と、後半で心を抉る描写を評価。

4.どのような人に推奨するか

 SNS時代を生きる学生向け。リクナビマイナビに侵された退屈な就活経験者には特にくるものがあるのでは。