めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

ドストエフスキー / 賭博者

賭博者 (新潮文庫)

賭博者 (新潮文庫)

ドストエフスキー / 賭博者 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 ドストエフスキーは面白いという点と、こち亀両さんの愛読書だからです(両さんが読書にハマる話)。

2.内容

 原作は1866年ですか…。新潮文庫で、原卓也さんの翻訳です。ほぼドストエフスキーの実体験に基づいているというのがとんでもない話だが、賭博に取り憑かれていく過程とその描写が読んでてゾクゾクする。主人公アレクセイはドストエフスキーっぽい皮肉っぽくて斜に構えたよくわからないやつという印象だが、それ以上に中盤で存在感を放つのがお金持ちのおばあちゃん。最初は観光程度の気分だったのだと思うが、最初に「ゼロ」一点張りで賭け続けて大勝したのがまずかった。全持ち金叩いて郷里に帰ろうと準備した矢先、やっぱり負け分を取り返そう思いなおし、やめときゃいいのに賭場に向かってしまうおばあちゃんはまたもぼろ負け(しかもギャラリーのポーランド人に好き放題されている)。ただ、おばあちゃんは資産家で家に帰ればまだお金があるようだし、おそらく郷里に帰ればもう賭けなんかしない気がするんだが、主人公は違う。各地を転々としながら延々と賭けの求め続けていくんだろう。最初はただ女の子の頼みでお金をちょっと増やそうとしてルーレットに手を出しただけのはずだったんだが。 『祖国や友人たちから遠く離れたよその国で…最後の一グルデンを、それこそ本当に最後の一グルデンを賭ける、その感覚には何か一種特別のものがある!』。これを見て「あぁこいつはあかんやつや…」と思ったね。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 人間関係(恋愛)パートがちょっと冗長に思ったが、賭博の心情と描写は素晴らしい。

4.どのような人に推奨するか

 ロシア文学っぽい。賭けが好き、もっというと「賭けで身を亡ぼす話が好き」ならおススメ。カイジかな?