坂口安吾 / 白痴
坂口安吾 / 白痴のレビュー。
1.作品を選んだ理由
府中市美術館で叩き売られていた。作者名は知っていたけど、読んだことないので買った。
2.内容
1948年に新潮文庫から発刊。7編を収めた短編集。坂口安吾は初めて読んだが、なんとも暗くてつかみどころがない。エンターテインメント的に面白いかということもなく、ただただ退廃的。あと、人間の不合理で理不尽で首尾一貫しない様子や、社会に対してMisfitsな人間が書かれているような気がした。個々のエピソードでどれがというのはないのだけれど、太平洋戦争を背景とする中で「日本などどうなってもいい」「負けて蹂躙されてもいい」「空襲は美しい」というような感情を吐くというのはやや衝撃だった。いや、もちろんそういう思いを持つ人は当然いくらでもいただろうけれども。あからさまに作品テーマの中で示すという意味で。この辺の表現は良かった。そういう意味では、『戦争と一人の女』『青鬼の褌を洗う女』の2編が好きかな。作者の「女」観はあまり納得感がないので肉欲・堕落がテーマっぽい部分は感じ入るものが少なかった。
解説はシェイクスピアでもお馴染みの福田恆存さん。また難しいこと書いてる…
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
坂口安吾ってこんな感じの作風なんですね
4.どのような人に推奨するか
なかなかにハードで精神的・観念的、そして全編に立ち込める閉塞感。ハマる人にはハマりそうな雰囲気です。