めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

今村晶弘 / 屍人荘の殺人

今村晶弘 / 屍人荘の殺人 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 ジャンプ+でコミック版が連載中でぼんやり読んでいたのだが、先が気になるので原作を読んでしまうことにした。

2.内容

 2017年に第27回鮎川哲也賞を受賞したミステリー小説での作者デビュー作。先に漫画を見ていたことに加え、キャラクターの命名規則が分かりやすい(説明もある)、館自体もシンプル(綾辻氏の館シリーズのようなトンデモ館ではない)とあって、掴みは分かりやすい。タイトルで大体バレているような気もするが一応答えは書かないことにするが、そのフィクション設定はフィクションなりに一定のルールが提示されており、舞台装置として十分な整合性を持って機能している。リアルであることとリアリティは異なる概念なわけだが、この作品は、事件の範囲内においては後者のリアリティに説得力を持たせるようにちゃんと書いていると思う(ここで自分が言っている説得力というのは、るろうに剣心の「二重の極み」のように「それっぽい理屈があってそれがその作品のルールである」というようなものですが)。探偵役・助手役も先人のミステリ作品群を踏まえたメタ的な要素を持ち合わせつつ、よいキャラクターとして描けていると思う。文章力もあって可読性に優れていると感じた。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 これは面白い。2作目読みたいンゴね。

4.どのような人に推奨するか

 ミステリー好きは是非読むといいよ。現実に即した設定でないとダメな人(そんな人いるのか?)には推奨しない、くらい。あと、漫画版とは描写が違う(というか流石に情報量が違いすぎる)ので、漫画の方が好きなら原作読んで損はしない。