めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

島田荘司 / 改訂完全版 占星術殺人事件

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

島田荘司 / 占星術殺人事件 のレビュー。

1.作品を選んだ理由

 これもミステリ会に名高い名作とのことで手を付けてみたよ。

2.内容

 原作は1981年、2013年に作者自身の手によって改訂され、講談社文庫よりリリースされた再発版。これがデビュー作らしい。裏表紙の説明を見ただけで、「これはあの漫画のアレでは?」と疑ってかかってしまい、読み進めると果たして本当にそうだったという。有名すぎるので、仕方ないね。冒頭プロローグに相当する人物手記(小説)が入口の扉を重くしている。いったん本筋に入ってしまえば、あとはあっという間だった。作中で2回、中座が入り「ここまでの推理材料で答えを出してみてね」の挑戦状が出される。解けるわけがないが…。やや猟奇的で本格的な「トリックの面白さ」が楽しい名作(ちょっと綱渡りすぎる気がするが…)。
 社会不適合者感がありありとしている名探偵:御手洗潔とそのバディ石岡のキャラクター性も、なんともホームズとワトソン君みたい。40年もの間迷宮入りしたままの難事件に挑むというストーリーであり、主人公たちからしたら「過去の話」であるため、彼らに危険が及んだりはしない。その意味ではその情報と謎解き過程を楽しむ、純粋なミステリーと言えるのかな。  

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 知っていてもびっくり。プロローグこそ重々しいが、本筋のホラー度はそんなでもない。むしろ軽快。

4.どのような人に推奨するか

 トリックの面白さと謎解きミステリー。