めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

白倉 敬彦(編) / 完全保存版 浮世絵を知りたい

完全保存版 浮世絵を知りたい。

完全保存版 浮世絵を知りたい。

完全保存版 浮世絵を知りたいのレビューです。

1.作品を選んだ理由

 ↓これに行くための事前勉強。

2.内容

 2012年に学研パブリッシングから刊行。ムック的な解説本。浮世絵とはそもそも何か、時代ごとに流行ったテーマ・作者・社会的な位置づけなどの基本事項を解説してくれている。葛飾北斎や歌川一門の有名どころはもちろん、明治以降の近代浮世絵作品も取り扱っている。基本的に作品1点1点を主眼においた解説となっている(特定作者にフォーカスするのではない)。
 浮世絵を理解するうえで、基本的に幕府の検閲をくぐり抜けたもののみが一般販売された(そのために版元と作者が印されるという点と、木版刷りによる低価格な大量生産品である(所謂一点モノの芸術品ではない)という点は、非常に重要だと感じた。暗喩的な政治風刺絵があったり、大地震の混乱のさなかに売り抜けた幕府非公認の絵があったりするものの、基本的には大衆娯楽であったということがよくわかる。舞台(歌舞伎)の絵が多いのだけれど、歌舞伎にはまったく明るくないので…西洋画でもそうだけど、表現されているテーマの時代背景・風俗を知っている方が面白いので、歌舞伎についても知りたくなってきた。取り敢えず八代目市川團十郎が超人気だったということは分かった。近代浮世絵師だと、西洋画の影響を感じさせる真っ暗な河岸を影と光のみで描いた小林清親の作品が異質を放つ美しさでびっくり。あと、明治初期に流行った文明開化の頃をテーマに多く描かれた浮世絵は「開化絵」というらしい。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 面白いし、いろんな絵が見られて勉強になります。

4.どのような人に推奨するか

 私みたいに、展覧会の副読本に使ってくれ。浮世絵初心者の方は読んでみて。