めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

マイケル・ファラデー / ロウソクの科学

ロウソクの科学 (角川文庫)

ロウソクの科学 (角川文庫)

マイケル・ファラデー / ロウソクの科学 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 本屋をうろうろしているときに「ノーベル賞受賞者が読んでいる本!」と話題になっていた。2019年ノーベル化学賞を受賞した吉野 彰さんがこの本をきっかけに化学に興味を持ったということで、買ってみた。

2.内容

 原著…といか原典は、1861年ロンドン王立研究所で行われたファラデー自身による全6回の講演会。これを見石巌さんが日本語に翻訳し1962年に角川文庫から初版が発行されたものが本作。
 1本のロウソクが燃えるという事象を出発点として、燃焼とは何か、何が燃えているのか・燃えるときに必要なもの、燃えた結果生成されるもの(水)、大気との同質性、人間の呼吸と燃焼の類似性などを、一般の人たちに向けた講演会だけあって1つ1つ丁寧に平易な説明を重ねていく。説明には常に実験(実証)が伴っている。中学理科で私もやったような、水の電気分解(2H2O⇒2H2 + O2)や、収集した水素の燃焼(ポンという音で小爆発し、水が出来る)など。これらの実験には挿絵が付いているものの、動きがないのでちょっとわかりにくいかもしれない。講演会ではこれらの実験をリアルタイムで見ながら現象を確かめられるので、見ている方はさぞかし楽しかっただろうと思う。
 後書きにもあるように、訳者のスタンスは「実験の部分だけに重点を置くのではなく。ファラデーの自然や人間に対する独特なありかたに対しても同等の比重を与え、講演の雰囲気を再現」しようとしている。この時70歳のファラデー自身も興が乗っているのか楽し気によく話す様子が見て取れる。これはファラデー自身の話術に加えて翻訳の巧緻さによるものだと思われる。まさしく講演会のように聴衆に語り掛けるスタイルで書かれたこの本は、非常に読みやすく面白い。ちょっとした中学化学の覚えなおしにもなる。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 これは名著。化学って面白いんだなって思える。本講演に沿った実験動画を見たいなぁ。

4.どのような人に推奨するか

 化学に興味がある人、ファラデーのことを知りたい人、おススメします。実験部分さえ理解できれば、子供が読んでもいい本だと思う(子供向けの企画本もありそう)。