めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

荒川裕子 / もっと知りたいラファエル前派

荒川裕子 / もっと知りたいラファエル前派 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 ちょっと前に三菱一号館美術館の「ラファエル前派の軌跡展」に行ったのだけど、図書館でこの本を見かけて復習がてら借りてみた。↓これね
metal-metal-slime.hatenablog.jp

2.内容

 奥付見てびっくり、2019年3月に出たばかりの東京美術の本。図書館って新しい本も普通に所蔵されるんですね。ラファエル前派自体の解説を私がする意味はないので、書籍の話をすると、ここでは特に19世紀イギリスにおけるラファエル前派の面々…ミレイ・ロセッティ・コリンソン・ウォーターハウス等の画家を中心に大きく取り扱っている。イギリス以外の話はあまりないです。

 前にも書いたかもしれないけど、ラファエル前派はそのプリミティブ精神とサブカルチャーブラックメタルの興りに似ていて好きなんだよね。メインストリームに対する反発と先祖返りの志向について、ラファエル前派は数百年前ルネサンス時代のラファエルを規範としたが、ブラックメタルは十年前の初期スラッシュメタルを規範としようとした。あと若者が集まって結成したサークル集団(ラファエル前派ではBrotherhood)であったところ。ラファエル前派の連中は★0から★4まででランク付けした芸術の巨匠たちを「殿堂入りリスト」として列挙していたらしいのだが、これやってることが本当にただの「ぼくの考えた最強の芸術家ランキング」で面白い。ブラックメタルの連中がVenomがイイとか初期Sodomが手本とか言っているのと同じだからね。

 イギリスのラファエル前派における多くの作品とその作品背景、ラファエル前派の興りや活動、関連メンバーのパーソナリティなどがかなりしっかり描かれていて、非常に勉強になる。先に挙げた「ラファエル前派の軌跡展」をかなり補完する内容になっていると思う。本書リリースの時期は展覧会の時期とも重なるので、企画に合わせて制作された書籍だったのかも。よく出来た入門書。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 このシリーズよさげ。図書館からの借り物だけど、所有したいから買おうかなと思える出来。

4.どのような人に推奨するか

 他にも類似品あるかもしれないけど、ラファエル前派を知りたい人におススメ。発売が近年であるという点と、絵も大きく載っている点がイイです。