めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

体験記:特別展 三国志(東京国立博物館:平成館)

体験記シリーズ。「特別展 三国志」に行きました。

1.鑑賞のきっかけ

 三国志演義は好きです。横山光輝の漫画や吉川英治の小説、KOEIテクモの各種ゲームソフトで一般的な知識はあるつもりなので、行ってみたよ。基本的には「演義(小説)」としての三国志に馴染んでいるので、陳寿の歴史書の方は全然知らん。

2.内容

 雨もなく気持ちよい夏らしい暑さの中、上野の東京国立博物館へ。2019年初頭に『顔真卿展』に来て以来となる(↓こちら↓)

 チケットアプリ:イープラスの「スマチケ」機能によりチケット購入も入場もスマホで完結するのは大変手軽でよろしい。もっと対応する美術館・企画展が増えて欲しい。

 まずは音声ガイド。三国志ならある程度知っているからガイドはいらないかな?とも思ったのだが、通常の音声ガイド(吉川晃司さん担当)の他、三國無双コラボの音声ガイドがあるではないか!三國無双から曹操曹丕・夏候惇・関羽の4名を担当する声優さんがキャラクターを演じるもので、通常の音声ガイドより300円高い800円だったが、無双ファンとしてはこちらを選択。結果的には非常に良かった(しかし、なぜこの魏の面々に関羽?魏にいた時期があるからかな?)。ガイドは各キャラクターが展示を一緒に回ってくれているような構成で、「フッ、この展示までたどり着いたか…(曹丕)」みたいなノリが聞いていて楽しい。

 展示本体の話。基本的に写真撮影は全作品自由。後は展示品の圧倒的な物量。展示対象は所謂三国時代のみではなく、「黄巾の乱」に始まり「晋による中華統一」までの小説等でもお馴染みの範囲。これらの発掘や研究は近年でも進んでおり、呉の武将朱然の墓だったり、曹操の墓だったりから出土した副葬品が今回かなり展示されている。
 各展示品は魏呉蜀の各国単位で展示されているケースが多く、展示の設営彩色はどことなく三國無双カラー、すなわち魏/晋=青、蜀=緑、呉=赤と色分けされているようであった。しかし、副葬品とは言え、1,800年も前の品がこれだけ綺麗に残っているというのはスゴイことだ。これでも散々盗掘にあった後らしいが…。数々の埇(ヨウ;人形)からは、当時の風俗が感じられる。プロローグで展示されていた明・清期に描かれた三国志はあくまで「物語」だけど、こちらは「史実」。曹操の墓であることを確定する決定打となった石牌に書かれた漢文「魏武王…」を見て、あぁ曹操って実在したんだな…といった不思議な感慨があった。
 曹操墓所は今回の目玉コンテンツの1つであり、墓所を実物大で再現した一画もあり。従来6世紀頃から発達したと考えられていた「白磁」が3世紀の曹操の墓から出土したというのは、先ごろニュースにもなっていたと思う。最新の研究成果が反映されていると感じた。
 あるエリアでは、演義のエピソードとして有名な「十万本の矢」のモニュメントが大胆にも天井いっぱいに張り巡らしてあり、見た目のインパクトがあってよろしい。

 顔真卿展でも思ったことだが、平成館の展示はとにかく物量がスゴイね。同チケットで常設展や東洋館にも行けるわけだが、そんな気力はなく企画展鑑賞だけでおなか一杯。平日午前であるにもかかわらず、結構な人で賑わっていたように思う。疲れた~。  

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 史実の観点から三国志を調べたことはなかったので、大変勉強になった。ラストトラックでの「また会おう…我々はいつでもここで待っている」的なセリフには感傷を覚えた。あぁ、できればもう1周したいね。

4.どのような人に推奨するか

 三国志ファンは行こう。無双ファンは、無双コラボの音声ガイドを必ずつけよう。

Ex.ギャラリー

関羽ゥーーー!

副葬品。よくこんなの綺麗に残ってたね。

十万本の矢!

よくわからんが、犬

曹操の墓からの出土品

曹植の庭にいた?カワイイ

三国時代の終焉を示す石碑