めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

体験記:コートールド美術館展 魅惑の印象派(東京都美術館)

体験記シリーズ。コートールド美術館展に行きました。

1.鑑賞のきっかけ

 なんか行きたかった。コートールド美術館がなんだか知らずに、でもバーの絵(マネ『フォリー・ベルジェールのバー』)は知っているなあと思って行ってみた。

2.内容

 土曜日朝9:00に上野に現着。誰もいないかとおもったけど、開館前から並んでる人っているんだね。以前のミュシャ展も開館前から行列が出来ていたけど、あれは初日だったからなぁ…。上野動物園に並んでる人もおり、そもそも上野恩賜公園が朝から人気ということが分かった。平和で天気も良くて良かった。

ミュシャ展の時

 チケットはオンラインでスマチケ購入済みのため余裕の入場。便利。そういやこの建物は、前に『奇想の系譜展』で来たな。音声ガイドは取り敢えず借りておくのがポリシー。三浦春馬くんがナビゲーターでした。音声ガイド借りるときに財布持っていないといけないから荷物に財布預けられないんだけど、あれ何とかならんのか?手ぶらで鑑賞したいんだが。

 企画展。全然知らなかったけど、レーヨンの製造で莫大な富を得たイギリスの実業家サミュエル・コートールドが蒐集した作品群。国立西洋美術館の松方幸次郎みたいだね。このコートールド美術館が改装・休館するので、所蔵作品をこの企画展で借りることができたということらしい。
 美術に明るくない自分でもその名を聞いた・作品を見たことがある19世紀後半の印象派巨匠の作品群がいっぱい。これってもしかして結構スゴイ展示なのでは?と入って思った。コートールド美術館が元は教育・研究施設の付属機関として作られたものであるからか、科学的な分析を含むキャプションがあったのが記憶に残っている。X線による筆致の解析だったり、下書き・書き直しによる制作過程から完成品への編成が説明されていて、ちょっと面白い。マネ『フォリー・ベルジェールのバー』は、画面右側に移りこんでいるのは鏡に映ったバーメイドの女性らしいのだが、鏡の角度的に「そうはならんやろ」というもので全然納得していなかったが、解析によるともともとこの女性の鏡像はもっと人物寄り(=より左、より自然な位置関係)に書かれていたものを、意図的に敢えて右側に移動して描き直しているということがわかるらしい。

 ブーダンの空の色、スーラの細かい点描(黒い木や青い水の中にオレンジを混ぜる科学的見地に基づいた色選び!)、毎度のようにダンス少女を描くドガ、妙にリアルな裸婦を書くモディリアーニオペラ座で他の観客を見たりキメポーズで視線を送ったりと全くオペラを見てない光景を描くルノワール『桟敷席』…桟敷席というのは、会場の上の方に設置された半個室のようなエリアで、当時は風刺画も含め絵画のテーマによく取り上げられたらしい…と、いろいろな作品が楽しい。あとやはりアンリ・ルソーは良い。その絵は平面的でどこか不安定で、正直「これって下手ではないのか?」と思うんだけど、それがなんかツボに入る。マネやルノワールも彫刻やってたんだね、一部作品では彫刻もありました(別にうまくはないけど)。終盤に思い出したようにロダンの彫刻がいっぱい並んでいたのにちょっと笑った。

 音声ガイドは普通、特に不可もなし。音楽が良かった!特によかったと思った曲は『グリーンスリーブスによる幻想曲』。暗くて寂しげでタイトル通り幻想的。コートールド本人を解説するパートで使われていたけど、そこだけ2回聞いた。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 とても良かった。みんなも行くといいよ。

4.どのような人に推奨するか

 美術の教科書に出てくるような人たちの、美術の教科書に載っているような作品が生で見れるよ。これって結構スゴイことだと思う。印象派は人気なのでいろんな展示をやっているけど、この展示はかなり強力な作品が集まっていると思った。

Ex.ギャラリー

美術館前

唯一のフォトスポット。ワイはおひとり様なんや…