体験記:辰野金吾と日本銀行&辰野金吾と美術のはなし(貨幣博物館、東京ステーションギャラリー)
体験記シリーズ。日銀の貨幣博物館での「辰野金吾と日本銀行 ~日本近代建築のパイオニア~」と、東京ステーションギャラリーでの「辰野金吾と美術の話」に行った。3館連携企画(あと1館は旧日本銀行京都支店である京都博物館)のうち2館に行ってきた。
1.鑑賞のきっかけ
東京駅を作ったという建築家ということだけの知識で突撃。行ったことない博物館に行きたいというのと、2館が相互に徒歩圏内だったのでまとめて行った。
2.内容
2-1.辰野金吾と日本銀行 ~日本近代建築のパイオニア~
まずは貨幣博物館。貨幣博物館の展示については別記事を参照してもらうとして、ここでは「辰野金吾と日本銀行」の展示について。貨幣博物館の一角を使った小さな展示で、彼が建築した著名な建造物の一つである日本銀行が建てられるまでの過程と、関連する当時のスケッチや手記・手紙等の物品展示があった。初代日銀はジョサイア・コンドル(三菱一号館美術館で知った)によって建てられたが、辰野は工部大学校でコンドルに師事し実習として参加していたらしい。あとは、日銀設計において、海外渡航とイギリスなどの各地で見た最先端の建築物をインスピレーションとして持ち帰り、日銀に反映させた様子がわかる。と言っても、日銀は友人から「辰野堅固」と呼ばれるほど質実剛健で堅苦しい作りだったようだ。とはいえ内装は採光・金庫・エレベーターなどは先進的な設備を取り入れていたという。
展示自体は本当に館の一角という感じで、そんなに多くない。日本銀行を中心に、本店から日本各地の日銀支店を建築するまでを取り扱う小展示というところ。30分くらいのボリューム感かな。でも入館料自体が無料なので充分。
2-1.辰野金吾と美術のはなし 没後100年特別小企画展
貨幣博物館から歩いて10分ほど、東京駅の駅中にある美術館。本来2フロアあるらしいが、今回は小企画展故か1フロアのみでの展示。貨幣博物館の展示は日銀中心だったが、こちらはもちろん東京駅と辰野金吾自身を中心とした展示。松岡壽の絵画などの展示と、後半フロアは東京駅の図面(青図というらしい)が数多く展示されている。
短いなーと思って出口を出た後にも、再建前の東京駅に使われた部品があったり、2度の再建の歴史などが展示されていてよかった。東京駅は1914年に竣工している。その後東京空襲で焼けてしまったので戦後に再建したのだが、その時は元の形に再現する、という発想はしなかったようで、ドーム部分の形が全然違った利している。老朽化対応の観点あったろうが近年になって本来の姿に戻すためのプロジェクトが組まれ、2012年には1914年当初の設計に近い形で再オープンしたとのこと。柱を見たらローマ数字で2012を表す「AD MMXII」のエングレーブがあったよ。
小さな展示だったので500円だった。音声ガイド等もなし。展示室内は全編撮影禁止。時間があるときにもサラっと寄れますな。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★--
値段なりかな。貨幣博物館の展示とセットで考えればコスパは高い。
4.どのような人に推奨するか
日銀や東京駅、そして奈良ホテルや両国国技館を立てたという辰野金吾の歩みを知れるよ。興味あればどうぞ。
Ex.ギャラリー
入口!
東京駅!
東京駅(初代)当時の部品
AD MMXIIと掘られたイオニア式の円柱