めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

阿刀田高 / 新約聖書を知っていますか

新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

新約聖書を知っていますか (新潮文庫)

阿刀田高 / 新約聖書を知っていますか のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 ブックオフで偶々見かけて購入。西洋美術を見るにあたって、キリスト教の知識がないと鑑賞が難しいことが分かったので、こういう本を探していたのです。

2.内容

 1994年作。新約聖書福音書を中心とした大まかなストーリー(受胎告知~キリストの死と復活~弟子の布教活動)と、ヨハネの黙示録が解説範囲。ネタ的に使徒言行録や信徒への手紙系はややカット。…といったような聖書の基本構成を語れるのもこの本のおかげ。
 とにかく語り口やセリフ回しが軽妙で、聖書の登場人物たちに親しみを覚える。特に「この時期のペテロは律儀なだけの田舎のおっさんという気配があって、なんともほほえましい」などといった、ポンコツ感のある弟子たちの描写なんかは、大変に面白い。
 新約聖書の話や背景がとてもわかりやすく、且つ(後書きにもある通り)信仰ではなく知識ベースの情報提供が心掛けられているのが非常に良いです。聖書の内容のみに傾倒しすぎず、作者の体験がつづられたエッセイ要素ものんびりと読める。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 旧約聖書版や他のシリーズも買います。これをベースとして、聖書本体を読んでみるのもいいかも。

4.どのような人に推奨するか

 私のようなキリスト教初学者に推奨。聖書本体や固い解説書を読むより、入り口としては優れている。本書には基本的に挿絵や写真はないので内容をヴィジュアル的に理解したい人には、聖書をテーマにした西洋絵画本などを副読することをおススメする。