めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

円城塔 / バナナ剥きには最適の日々

バナナ剥きには最適の日々

バナナ剥きには最適の日々

円城塔 / バナナ剥きには最適の日々 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 伊藤計劃の作品オモスレーって読んでた時に、この方のお名前もよく見かけた。これは作者名が同じア行で、書店の本棚で目に付いたという理由も大いにある。何を1作目に読んでみようかと裏表紙の解説を見ていると、どうも本作はどうやら「わからないけどおもしろい、の理由が少しわかるかもしれない」短編集だという。薄くて読みやすそうだし、ということでこれが円城塔の1冊目になったのです。

2.内容

 2012年に早川書房から単行本化され、2014年に文庫入り。既存短編9編にボーナストラック1篇の計10編が収録された短編集です。
 うむ、確かに何がなんだかわからない。分からない中で雰囲気や文章を楽しむものなのだろうか…。難しい理屈とわからない出来事が跋扈する中で、個人的には無人探査機がお仕事している短編『バナナ剝きには最適の日々』と、文章を読む・書くということについてのトリッキーな論考『Automatica』が気に入っています。なぜかというと、これはちょっとわかる気がするからです。…もう一度読んでみようかな。今度は分かるかもしれない。   

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★--
 嫌いじゃない。嫌いじゃないけど分からない。分からないので、長編に手を出すのをためらっている。そんな感じ。『屍者の帝国』は良かったけどね。

4.どのような人に推奨するか

 SFか?SF要素もあると思います。でも、やっぱり分からないという感想に落ち着く。解説でも触れられている通り、あらすじは重要ではなく(こと短編ではその傾向が強い気がする)、あくまで文章表現そのものの妙味が持ち味であると思います。そんな感じ。ひねくれた人におススメ。ちなみに、私は音楽としてのプログレが好きです。