めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

体験記:円山応挙から近代京都画壇へ(東京藝術大学大学美術館)

okyokindai2019.exhibit.jp

体験記シリーズ。「円山応挙から近代京都画壇へ」に行きました。

1.鑑賞のきっかけ

 どこだっけ?新宿駅京王線のどこかで見かけたポスターで、行かねばと思ったやつ。以前「奇想の系譜」展に行って、伊藤若冲とか長澤芦雪を知ってるんやで。あと、東京芸大って行ったことなかったから(行ったことない博物館に行きたい)。

2.内容

 会期ギリギリで行ってきた。行ったことない博物館といいつつ、結局場所は上野公園のすぐ近くやんけ…。都美、国立西洋美術館国立博物館などいろいろありすぎて回れませんな。しかし、芸大生はこんな芸術に囲まれた界隈で生活しているんですね。

 さて、円山応挙(まるやまおうきょ…「えんざん」ではないです。1敗)。江戸後期に活躍した画家で、頓に写生(スケッチ)を重視したとのことで、動物・植物や自然を捉えた題材とした絵画が多いのが特徴。なお、落款は「應擧」で当たり前だが旧字ですね。
 本展示では、応挙をはじめとて、応門十哲と呼ばれた著名な弟子たちの作品と、そこから近代(昭和初期くらいまで)の日本画を数多く展示しております。明治維新後って西洋画の流行が一気に入ってくるイメージがあったけど、同然日本画日本画で続いているんだなぁ。作品の並びは全然時系列ではないので平気で100年飛んだりするんだが(上村松園さんなんかは20世紀にもご活躍で本人の写真まで残っとるからな)、制作年代をちゃんと見ないとしれっと見過ごしてしまうくらい画風に統一性を感じられた。同じ一門の系譜にあるからかもしれないけど。
 最初の目玉は兵庫県大乗寺から持ってきたという『松と孔雀図』の屏風絵。金屏風に描かれた松と孔雀は単色の墨で描かれたとは思えないほど濃淡による表現が豊か。屏風そのもの持ってきたんか?あと、お寺の紹介も「奈良時代行基さんが開いた…」とか当然のように言ってたけどマジか?東大寺の大仏つくったあの行基さんですか?応挙の時代よりさらに1,000年位前やんか。戦乱で荒れ果ててたらしいが、密蔵という坊さんが再建に取り組み、なんやかんやあって応挙一門に屏風図を依頼する運びになったらしい。あと、この寺の客殿にある屏風絵の作品群は東西南北に四天王(持国天増長天広目天多聞天…覚えた)の属性に対応する作品を配置しており、これが立体曼荼羅(仏教の世界観をわかりやすく表すもの)の体を成しているらしいぞ。

 その他で感動した作品。応挙の『狗子図』。芦雪の犬と一緒だ!となった。あと『写生図鑑』のうさぎ。うさぎさん!うさうさ!これはカワイイですわ。後は、ちょっと年代は飛ぶんだが、作品名は『しぐれ』だったかな?木島櫻谷(このしまおうこく)だったと思うのだが、鹿の屏風絵。この作品に限らないのだが、動物の毛並みの繊細な表現は美しいものが多かった。弟子、岸駒(がんく)の孔雀絵。物凄く執拗な孔雀の書き込みにくらくらした。特に首元の羽のあたり。あれはスゴイ。あとこれも応挙だが、忠臣蔵を題材とした『大石良雄図』。これはとにかく着物の「透け感」の描写が素晴らしい。ダイナミックに水の動きを捉えた『保津川』も力強くてよかったね。最晩年の作とは思えん。最終版に配置されていた配置されていた近代画家 上村松園の『楚蓮香之図』、細さ・手足のしなやかさ(特にうちわみたいなものを持つ手!)が非常に繊細で幽玄な美しさで、ちょっと見入った。

 おっ、こうして振り返ると結構覚えてるな。しかし、皆さん読みが難しいわ名前がなんとなく似てるわで覚えづらいんだよー。画号に繋がりがあって、望月玉泉の一門に玉xxがいたりするのでややこしい…。

 いつものように音声ガイドも借りた。声優の羽多野さんは知らんかった。大乗寺の住職が映像付き(液晶に画面が映るのだ)で語ってくれるのが面白かったが、展示中にあれ見るのはなんか微妙ですね。展示エリアが地下と3階に分かれていて、エレベーターで行ったり来たりする動線がどうにもイケてないので、そこはどうにかならんかなーと思ったけど、展示そのものはとても良かったです。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 良かったよー。日本画をもっと知りたくなってきた。

4.どのような人に推奨するか

 会期がもう終わってしまうので、日本画に興味がある人は行っておくべきかな。うーん妻と一緒に行きたかった。

Ex.ギャラリー

すべて撮影禁止なのでポスターのみ