めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Vai / Sex & Religion

  

Sex & Religion

Sex & Religion

 

 

Steve Vaiのバンド名義作品からSex & Religionをレビュー。

 

1.作品を選んだ理由

    Steve VaiのPassion & Warfareを聞いていたので、その続き。500円くらいで買えた記憶がある。多分今でも安く手に入る。

 

2.内容

    Steve Vai、Devin Townsend、T.M.Stevens、Terry Bozioというメンバーには触れないわけにはいかない。曲作りそのものは歌モノとしてシンプルな構成のロックであり、一聴してテクニカルなわけではない(複合拍子やリズムトリックが多いわけではない)ため、地味にも思えるが、曲の魅力とそれを彩るプレイヤー陣の個性が素晴らしい。

 ギターはある意味いつも通りとして、ベースはスラップをバシバシと入れてメロディアス且つキビキビとしたラインを刻む。ドラムは金物(シンバル系)の音が非常に多彩で、非常に心地よい。妙な表現かもしれないが、シンバルのチューニングが合っている、という感じがする。そしてヴォーカルのDevin Townsend(当時19か20歳くらいのはず)、清濁様々な声で曲を見事に表現していく。クリーンな声とコーラスは非常に美しい一方、声を潰すような獣じみたシャウトも飛び出し、これらの音がシームレスに行き来するのが本当にすごい。

 7曲目(7th song)は定番のギターインストバラードだが、中間でDevinの「ボーカルソロ」がある。歌詞がなくまさに声を楽器として使っているが、当時これは驚いた。

 

3.感想/評価(★の5段階評価)

    ★★★★★

     この後のバンドの道のり(これ一枚で解散)やソロ活動を考えたときに、結構このアルバムは奇跡的に思える素晴らしいアルバム。4曲目のStill My Bleeding Heartのコーラスが非常に美しく、曲としては一番好き。

 

4.作品をどのような人に推奨するか

    Steve Vaiに付きまといがちな「変態」とか「プログレッシブ」といったイメージを体現するアルバムではない。上記の通り、歌モノロックとして音楽は非常に良いので、そういった観点から聞くことを推奨する。