めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

W・シェイクスピア / マクベス

マクベス (新潮文庫)

マクベス (新潮文庫)

シェイクスピア / マクベスのレビュー。新潮の福田さん訳。

1.作品を選んだ理由

 ハムレットリア王の次に読んだ。

2.内容

 1969年新潮文庫からの訳本。四代悲劇の中で最も遅く書かれたといわれる本作は、武将マクベスが魔女の予言を受けてダンカン王を弑逆し、自分自身がスコットランド王になってしまうという話。ハムレットの亡霊といい、本作の魔女と言い、人ならざるものが人間を脅かすのは定番なんだろうか。本人の愚かさによって没落するリアとも、叔父によって実父を殺されているハムレットとも違って、魔女の教唆があったにせよマクベスくんはあくまで自分の意思で「悪事」を行っている。つかの間の治世を得るが、最終的には夫人(この夫人も暗殺に前のめり過ぎて、マクベスくんもドン引いている…)ともども死ぬことになり、王位は元の系譜に戻るわけだが…。夫人に言われないと殺人もそもそも実行しなさそうだったし、罪を着せるために王の側近を斬殺した際の言訳(王への忠義あればこそ怒りで耐えきれなかっただのなんだの)といい、罪の意識と恐怖のためにバンクォーやその息子フリーアンスを殺そうとしてみたり、フリーアンスを取り逃がして超ビビッてたりと、なんとも言えない小物ムーブが目立つのがマクベスくんの特徴。そこが人間らしいということなのかもしれない。
 四代悲劇の中では短い作品で、ハムレットの半分ちょっと。話の筋もシンプルなので、入りやすいかもね。解説は難解だった…すまん。   

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 悲劇か?と言われるとどうだろう。

4.どのような人に推奨するか

 まぁ教養として読んでみてはいかがか。短いので読みやすいけど、自分はリアとハムレットのが好きかな?