めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Decrepit Birth / Diminishing Between Worlds

Diminishing Between Worlds

Diminishing Between Worlds

アメリカのテクニカルデスメタルバンド Decrepit Birth の Diminishing Between Worldsをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 1st "...And Time Begins"が名盤だったので、収集。

2.内容

 2008年にUnique Leader Recordsからリリースの2ndフル。ボーカル・ギターの2名以外はメンバーチェンジとなっている模様。

 1stのSuffocation或いはDeeds of Fleshスタイルのブルータルデスメタルとは、大分趣を異にしている。一言で言えば、ブルータルさが増した中期Death、またはCynicの1st "Focus"といった感じで、とにかくギターフレーズの感触が全く違う。
 前作はデスメタル直系でメロディ感のない低音ズンズン系のリフがほぼ全体を占めていたが、今作ではメロディアスなリードメロディと浮遊感のある音階で刻まれるハモりリフが非常に多く、流麗なギターソロも多数登場することから、ブルータルテクニカルプログレデスといった感じになっている。演奏のタイトさ、ディープなデスヴォイス、曲を引っ張る高速且つ手数の多いドラムは基本的にそのまま、リズムやメロディが雄大でどっしりと構えるようになった。
 なお、#9 "..And The Time Begins"は前作ラストに収録されていた曲の再録で、曲の構造はそのままっぽい。他の収録曲とのギャップが感じられるが、全体的に攻撃性は十分高いので、アルバムとしての一貫性は保たれていると思う。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 前作とは方向性が著しく異なるが、Death要素により個性化が進んだ。そして内容はとってもハイレヴェル。

4.どのような人に推奨するか

 演奏は激烈だが、リフの感触がかなり異なっているため、メロディ不要派の真正ブルータルデスメタルファンには推奨しない。広くエクストリームメタルあるいはテクニカルデスメタルが好きな人であれば、是非聞いてみてほしい。