めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

Decrepit Birth / Polarity

Polarity

Polarity

アメリカのテクニカルデスメタルバンド Decrepit Birth の Polarityをレビュー。

1.作品を選んだ理由

 1st "...And Time Begins"が名盤だったので、これも収集。

2.内容

 2010年にNuclear Blastからリリースの3rdフル。Unique Leaderから大手に移籍したんだね。メンバーチェンジは基本的になかった模様。基本的には前作2nd "Diminishing Between Worlds"の方向性が継続されていて、中期DeathやCynic 1st"Focus"を髣髴とさせつつも、デスメタル的な攻撃性やブラストビートを保有した音楽。

 2ndよりもさらに浮遊感のあるサウンドが増え、Cynic的な感触が増えた。全体的にスピードは緩まり、よりメロディや楽曲の雰囲気が強調されている。クリーントーンの導入、あくまでオマケ的な使い方ではあるもののシンセサイザーの導入なども、その方向性に寄与している。特に#7 "A Brief Odyssey in Time"は1分と短い曲ながら、シンセサイザーがコーラス風の和音にムグムグとした単音シーケンスフレーズを曲全体に配していて、一方でドラムとギターはいつも通りのフレーズ詰め込み高速に駆け抜ける、実験的とも言える異色さ。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 1stのころとはもはや全然違うサウンドなので、個人的な思い入れは小さくなるのだけれど。2ndの方向性を研ぎ澄ましたテクニカル・プログレッシブなアルバムとしては十分な出来。

4.どのような人に推奨するか

 ブルデスではなく、ブルデス要素のあるテクニカルデスメタル系が好きな人向け。比較に挙げたCynic/Deathはもちろん、近年で言えばFallujahのデスメタルパートに通ずるものもあると思うので、その辺にピンとくる方は是非。