めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

半藤一利 / 昭和史 1926-1945

半藤一利 / 昭和史 1926-1945 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 妻ライブラリーから拝借。以前書店で見かけて気になってはいたんだけど、買うには至っていなかった作品ではあるんだが、なんか妻が買ってました。

2.内容

 半藤氏の寺子屋的昭和史講座を元に、書籍として再構成された昭和史の講話集。  元が講話だけあって、あくまで語り掛ける形式で展開される本文は非常に読みやすい。自身が戦中に少年時代を過ごしたからこそ出てくる体験談も、貴重な記録と言っていいのでは。扱っている範囲は年号で想像がつくと思うが、満州事変~日中戦争~太平洋戦争に連なる一連の戦争と、それにまつわる政治の移り変わりが中心で、これが結構わかりやすくまとまっている。格調高さはない(し、そんなものは求めていない)が、軽妙で読み物として面白いと思います。昭和の通史に明るくない人には勉強になると思います。
 語り手(=著者)の情報は、1930年生まれで文芸春秋の編集長であるという点としか知らないので、政治思想等は知りません。でも、今調べてみると、東京裁判史観…戦勝国によって後付けされたシナリオ…に基づいており、客観性がない自虐史になっているという批判があるようです。まぁ、そういう側面があるということと、個人の体験・歴史観に基づくものであるということを前提に読めばいいんじゃないでしょうか(たとえ様々な一次資料を用いていたとしても、その資料の信ぴょう性、選択の恣意性があるので…)。というか、そういうツッコミが出来る人は昭和史に詳しい人だろうから、この本を読む必要はないと思われます。   

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 面白い。B面もセットでこの後読みます。あと、東京裁判史観に反対する立場の本も併せて読んでみようと思います。

4.どのような人に推奨するか

 私のような日本史(昭和史)をあんまり知らない、大まかなイベントは覚えているけど…というレベルの人向けです。