めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

島田荘司 / 完全改訂版 異邦の騎士

島田荘司 / 完全改訂版 異邦の騎士 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 読むのはこれが2作目。

2.内容

 原作は1980年以前に書かれていて、10年位寝かされていて1988年に世に出た模様。この完全改訂版であるとことの文庫版は1998年に出た模様。講談社文庫です。記憶喪失となった男を巡るミステリ。御手洗潔シリーズの実質的な第一弾で、バディ石岡君との出会いが描かれている。記憶喪失の男が所謂「信頼できない語り手」というやつに相当するのかな。本人の記憶・記録が正しいのか、何が事実なのか分からない(でも本人は正しいと思っている)まま、そして読者も分からないまま話が進んでいく。最後の解き明かしと感情の爆発はなかなか読み応えがあったように思う。ストーリーというかお話の筋自体が仕掛けのような感じで、事件性そのもののが主眼ではない感じというか。こういうミステリもあるんですね。記憶喪失の人間の寄る辺ない感じの孤独感を描写した文章は結構好き。  

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 まぁまぁ。

4.どのような人に推奨するか

 アヤシイ犯罪と鮮やかなトリックが主眼ではないので、そこは分かって上で手を出してみてください。