東野圭吾 / 容疑者Xの献身
1.作品を選んだ理由
先に『秘密』を読んで、まぁあっちはそこそこな感想だったわけだが、超有名なこっちを。
2.内容
原作は2005年、オール読物に連載されていた作品が単行本化されたもの。これはその文庫版で、文春文庫からのリリース。黒字に赤薔薇の表紙がクール。2006年に134回直樹三十五賞を受賞しているという。
物理学者湯川学シリーズ、通称探偵ガリレオシリーズの1つということだが、知らなくても独立した長編ミステリーとして読める。最初から犯人の犯行の姿が描かれるため、Whoはあらかじめ分かっている。その焦点は自然とHowに向かうわけだが…終盤で明かされるそのHowは結構スゴイ。作中はバディ役とも言える刑事草薙(こいつはあんま好きじゃない)をはじめとする警察による捜査が大半なんだが、読者は犯人が分かっていて、捜査者が犯人に迫っていく緊張j感が終始持続するため退屈はしない。動機(Why)はなかなかそのまま共感することが難しいが、WhyとHowが相まって本作のエンディングは悲しい読後感に溢れている。そこがまた非常にうまい。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★★
名誉ある賞も納得の素晴らしい作品だと思いますよ。
4.どのような人に推奨するか
上質のミステリーであり人間ドラマ。どっちの観点で読んでも、とにかくエンターテインメントとして抜群に面白いデス。凄いね。