めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

池上英洋・荒井咲紀 / 美少女美術史 人々を狂わせる究極の美

池上英洋・荒井咲紀 / 美少女美術史 人々を狂わせる究極の美 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 確か美術館で『子供の絵』展かなんかを見に行ったときに、帰りに買ったんですよね。美少女の絵を見たかったというのがほんとに購入理由です。

2.内容

 2017年にちくま文庫から出版された。類似シリーズに、官能・残酷・美少年の美術史があります。美術史という観点から見たとき、「子供」が題材になったのはかなり現代になってからだという。18世紀位までの子供は「大人の縮小版あるいは未熟版」であり、労働力として期待されることはあれど、それ以上の個を認められていなかったということらしい。それが産業革命による工業化の中で余暇や財を持つようになった市民が、子供に目を向けかわいがるという概念が醸成されていったとか。冒頭ではそんな19世紀頃の絵が数多く紹介されるわけだが、この絵がとにかくカワイイ女子がいっぱいで凄いのである。ブグローすげぇ。ミレイの『お説教』連作もカワイイ。お説教聞いてて寝ちゃうシーンを切り取るというのがいい。本書では神話時代から始まり、宗教画や英雄等に表れる美少女の絵画を経て、上記の「ふつうのこども」が描かれるようになる19世紀頃までの美術史を「題材=美少女」に焦点を当てて紹介している。

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 絵がカラーでいっぱい載っていて、絵だけ見てても楽しい。解説もよい。

4.どのような人に推奨するか

 所謂西洋画での「美少女」の絵を見たい人(直球)。また、この観点からの美術史に興味がある人。