トルストイ / クロイツェル・ソナタ/悪魔
- 作者:トルストイ
- 発売日: 1952/06/16
- メディア: 文庫
トルストイ / クロイツェル・ソナタ/悪魔 のレビューです。
1.作品を選んだ理由
トルストイはまだ読んだことなかったのと、作品が短かったから(重要)。
2.内容
原作は1890年前後ですか…。新潮文庫で、原卓也さんの翻訳です。お、ドストエフスキーの『賭博者』と同じ訳者ですね。
性的欲望が人間を堕落させるというストイックな主義が色濃く出ている中編です。『クロイツェル・ソナタ』は、妻と間男(と言っていいのか…音楽友だち)の関係性を許せなくなったある男が妻を殺してしまった過去を語る話。ストーリーだけ書くとどうしようもない感じがするが、メインはこの男の語る心情や心の動きであって、その描写や感情がとにかく人間的で自分にも思い当たるようなところがあって、圧倒されるのですよ。現代日本且つ非キリスト教者の価値観ではうなずけない部分ももちろん多いが、その感情の機微は今の人間にも通じると思う。『悪魔』もまぁ広義に浮気とその葛藤に関する内容。最後に男は自殺してしまうわけだが、やはりその感情描写と葛藤が印象的。
なお、クロイツェル・ソナタとはベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第9番の俗称らしい。これがものすごくカッコイイ曲で作品とも合っているので、是非BGMに流しながら読んでみて欲しい。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
トルストイさんすげぇ、、、ってなります。
4.どのような人に推奨するか
嫉妬と色欲をテーマとして人間というものを緻密に描いた作品。感情のリアリスティックさを読んでいただきたい。中編なのでまぁ読みやすいはず。