めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

岡嶋裕史 / ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ

岡嶋裕史 / ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 漠然と、勉強しなきゃなぁ~流行ってるしなぁと思って手に取った。賤しくもIT業界にいるので。

2.内容

 2019年に講談社ブルーバックスから刊行。著者は情報ネットワーク・セキュリティの専門家で、これに類される本をいくつか書いているようです。まず冒頭からこの本の目的と読了後の達成目標が明示されているのが非常に良い。そして読んだ結果、その目標は達成されていると感じられる良質な技術入門本であった。ハッシュ関数公開鍵暗号方式・デジタル署名という基本から入るが、これが非常にわかりやすい。特に公開鍵暗号とデジタル署名の違いがよーやくまともに理解できた気がするよ。そして、そのうえでブロックチェーンの基幹技術について説明。ポイントは頭からすべての取引データを共有すること、ブロック間の結合を前後のハッシュ関数で保証し改竄を防止すること(逆にいうと改ざん防止以外に効力は基本的にないこと)であり、信頼がおけないネットワークにおいて情報の完全性を保証するための技術であると理解した。なるほどこれはなかなか既存システムには適用しづらいデータ形式だな…。プログラム面の記載はないので、さらに勉強したい人は専門書を読んで欲しいが、本書の目標である「とりあえずブロックチェーンについて聞かれたときに回答できる」という知識は得られた。文章のセンスもシンプルながらややオタク気質(挿入されるギャグも含め)で読みやすい。  

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★★
 読んでよかった。これは入門書の決定版と言って差し支えないわ。

4.どのような人に推奨するか

 「ブロックチェーンってなんだろう?」と漠然とした疑問を持っていて全然知らない人向け。ハッシュや暗号化についてもわかりやすい解説があるため、IT初学者が読んでも良いと思います。