宮口幸治 / ケーキの切れない非行少年たち
宮口幸治 / ケーキの切れない非行少年たち のレビューです。
1.作品を選んだ理由
2020年新書大賞第2位とのことで本屋でもプッシュされていて、よく見かけた。たまにはこういう本も読んで見識を広げようと思って。新書と同サイズの真っ赤な帯はなかなか目を引くインパクトがある。
2.内容
2019年に新潮新書からのリリース。作者は児童精神科医としての勤務経験から様々な支援活動をしており、本書の執筆もその1つ。なるほどと思った点。思考ができず「反省させようにも、何が反省することなのかわからない(理解させることができない)」というハードル。この状態は少年院での刑期や更生プログラムはただただ彼らを素通りするだけで何の効果もないので、まずはそこを「認知させる」ことが重要であると。なるほど。さてそうなる原因はというと、「認知機能」「感情統制」「融通」「自己評価」「対人スキル」に問題があることが多く、学校でいじめられていたような所謂「優しい子」が非行に走る傾向を指摘する。卵が先か鶏が先か…だが、学校等での集団生活でそういった機能に問題が生じる(いじめ等により生じさせられる)こともあると思うのだが、「いじめをやめさせること」が主題ではないので、そこへの追求は特にない。「うちの息子をいじめたのだから、その報復をされるのは当然だ」と主張する親御さんが悪い例のように紹介されているが、それはちょっとイヤだったかな。
3.感想/評価(★の5段階)
★★★★-
確かに面白い。本としては、結構同じようなことを手を変え品を変え書いている感じがする。
4.どのような人に推奨するか
犯罪心理・少年犯罪等に問題意識を持っている方、あるいはそういった心療内科領域に興味がある人。