めたすらいむの舟

メタル/書評を通じて、ものを書く練習を行っています。原則平日朝更新予定。なお、推理\ミステリ小説のネタバレは書きません。

プーシキン / スペードのクイーン・ベールキン物語

プーシキン / スペードのクイーン・ベールキン物語 のレビューです。

1.作品を選んだ理由

 妻の本棚から。最近買ってたやつ。直接のきっかけはQuizKnockで『スペードのクイーン』が出てきたからかな?

2.内容

 18世紀ロシアの文学者、プーシキンによる短編集。2015年光文社古典新訳文庫から、望月哲夫さん訳で発刊された。作者本人も相当な賭博キチだったこと、『寝取られ騎士』の汚名を返上すべく血統を挑むが敗れて37歳で亡くなったことなどを加味して読むとより面白い。やや幻想/ファンタジーを含んだ寓話的な小品散文小説集。『スペードのクイーン』で必ず賭けに勝つ魔法のカードをおばあちゃんがヴィジェ=ルブランに書いてもらった絵を持ってたりして、あぁ同時代人かぁと別の角度で感心したりした。皮肉的でアンハッピーなストーリーがいい感じ。『ベールキン物語』はなぜベールキン氏という架空の人物に語らせたのか不思議だが、中身は一つ一つが訓話めいていて、それでいてやや喜劇的だったり悲劇的だったりの方向付けが為されている。『百姓貴族』なんてわかりやすく喜劇的だね。光文社古典新訳によくある豊富な解説(60ページほどある)は作品背景を知るうえで有用だが、「スペードのクイーンで勝ち札がなぜ3-7-Aなのか」だったりの下りに結構な分量が割かれている。そんなに考察しがいがあるんかこれは…

3.感想/評価(★の5段階)

 ★★★★-
 まぁまぁ。

4.どのような人に推奨するか

 ロシア文学好きというか、ドストエフスキーが読める人なら。あれよりもっとカジュアルでポップだと思うが、やっぱり皮肉的な雰囲気はあるよな。